START☆MUSIC

「Aクラス、Aクラス…ここか」
ジャージに着替えた陶揮は、ため息を付きながら歩いていく。
なぜなら、先程まで流歌にずっとひっつかれていたからだ。
どうやらあちらはBクラスなようで助かった。
(…というか、あの人でもBって…え、Aクラスってやばくないか?様子見とか言ってたけど)
ついたところは、第5体育館室。
体育館が5個あるとかどういうことだ、と思いながらも入る。
すると目の前には、10人ちょっとぐらいの人がいた。
全員スタイルよくて、何人かテレビで見たことあった人もいる。
その中に、あの学園長室へ案内してくれた、マアイがいた。
マアイは陶揮にすぐ気付き、駆け寄ってくる。
「陶揮くん‼‼‼Aだったんですねぇ〜‼‼」
「マアイさんAクラスだったんですか⁉」
「はい〜♪」
マアイは嬉しそうに笑う。
(Aクラス…ってことはこの人、すごい人だったのかな…?)
頭の片隅で考える。
「陶揮くん、行きましょうかぁ。というか、ジャージ似合ってますねぇ」
「え、そう、ですか、ありがとうございます…」
集合がかかり、急いでスタジオの真ん中へ行く。
そして前に立った仕切り役らしい、男子が喋り始める。
「我々Aクラスに転入生が来たので…今回は自己紹介をしましょうか‼‼」
(いやまて?自己紹介って…授業内容勝手に決めちゃって良いのか?)
陶揮は思わず脳内でツッコミをしてしまった。
その心を読んだように、横にいたマアイが説明してくれる。
「アイドル科専攻では基本的にねぇ、教師が仕切ったりぃ、授業をすることがないんだぁ〜」
「え?なんで?」
「生徒が仕切ることによってねぇ、自尊心や司会などのバライティー性やスター性が育つんだってさぁ〜」
「へぇ…」
前に立って仕切っている生徒はすごいのかと思わず感心してしまう陶揮。
そして、なぜか輪になって座る。
そしてまた心を読んだように説明してくるマアイ。
「こうして輪になってぇ、中心に喋る人が立つことによってぇ、360度見られていることお意識してぇ、普段から緊張をしないようにするための対策なんだってさぁ〜〜」
「ほぇ…望早学園ってすごいな…」
コソコソ喋っているうちに、一人目の自己紹介が始まる。
前で仕切っていた男子が真ん中へ出てきた。
「では、僕からしようかな。…僕は津葉木 士。高2。『T&M』っていうアイドルグループ所属だよ。よろしく」
ニコリときれいな整った顔で微笑む。
いかにも『純粋』枠だ。
「はいはーい‼‼次俺‼」
士が終わった瞬間、陶揮から少し離れたところに座っている男子がうるさく手を上げた。
「亮君、もうちょっと声ダウン」
「良いだろ別に‼‼俺は井生 亮、高3だ‼‼得意なことはダンス‼‼『COUNT』所属‼‼よろしく‼‼‼」
士が注意するのも無視し、亮は簡潔に自己紹介をする。
これは明らかに『俺様』枠だ。
終わったあと、おずおずと手を上げたのは、色白のオドオドした男子。
「桜間 光希、です。高2、です。『COUNT』所属、です…、お願い、します」
(…『COUNT』って花乃が言ってたグループだ…)
花乃が聞いたら発狂案件だな、、と苦笑いする。
この人は『静か』枠だ。
次に手を上げたのは、背の低い可愛らしい男の子だった。
「狛江 菊です。中2で、『PHASS』所属です。歌が得意です。よろしく」
菊はニコリと笑った。
その可愛い笑顔は、恐らく、狼も襲えないだろう。
明らかに『可愛い』枠。
「はい、次まっつーな」
「はっ⁉」
まっつーと呼ばれた男の子が、亮に無理やり円の中心に立たされる。
「えと、松田 和樹です。高校2年で『DRAW』というアイドルグループ所属です。お願いします」
「ブー、面接かよ、まっつー」
「いや、他にどんなバリエーションがあるんだよ⁉」
和樹は亮に無理やり立たされた挙げ句、ダメ出しを食らって戸惑っている。
(…被害者過ぎる。…あと普通にこの人なら話通じそう)
この人は『常人』枠だ。
そして横のマアイが手を挙げる。
「西野 マアイ、高2でぇ、グループには所属してないけどダンスが得意だよぉ〜、よろしくねぇ〜」
この人はいい人だが、少しクセが強い、いや、これも多様性だ。
よって『奇妙』枠だ。
次に手を上げたのは、背の高い男の子だった。
「蓮月 樋坂。高3。『SNOW・SNOW』所属だ。よろしく」
この人はなぜか安定している。
よって『常人』枠だ。
「一ノ瀬 憐。高1。『SNOW・SNOW』所属でっす、よろ」
いかにもチャラって感じの雰囲気。
けれど真面目さもするから…
『チャラ(真面目)』枠だ。
その他もどんどん自己紹介していく。       ・・・・・・・・・・
そしてそろそろ残り人数が少なくなってきたとき、士が士と顔がそっくりな男の子をつつく。
「ほら、巳、次だよ」
「ッチ…」
(態度わっる⁉)
巳と呼ばれた男の子は、士に突かれ、舌打ちをした。
そしてボソリと自己紹介をする。
「津葉木 巳。高2。『T&M』所属」
え、今なんて?と、聞き返したくなるほどの小さい声だった。
(津葉木で同年齢…ってことは、士さんと双子…)
こちらは士に対してすごく反抗的な態度だ。
言うまでもなく『怖い』枠だ。
(アイドルって…)
陶揮は今まで自己紹介してきた人を見る。
(なんでこんなに癖強い人多いんだよ‼‼‼)
「…じゃあ最後、転入生の佐久間さん」
(…そうだった、自分、まだ自己紹介してなかったんだった…)
焦って立ち上がる。
陶揮は周りからの視線を感じ、反射で目を閉じてしまう。
それを阻止しようと無理やり目を開く。
「…佐久間 陶揮、です。高1です。得意なことは作曲、です、よろしく、お願いします」
早口だったが、人見知りな陶揮にしては頑張ったほうだろう。
そそくさとマアイの下へ帰る。
「良かったよぉ〜、はじめてにしてはぁ〜」
「全然」
そうして、陶揮の転入してから最初の授業が終わった。

「おかえり、陶揮くん」
学園長室に戻ると、やはりきれいなご尊顔があった。
その顔はつかれている陶揮を見て面白そうに笑っている。
(しつれいだな…)
「疲れているところ申し訳ないけど、寮について説明するから座って?」
「…はい」
ソファーに座るとご尊顔が話し始める。
「寮についてだけど、二人で一室を使うよ」
「はい」
「食事・洗濯は寮の方でやるけど掃除とか、自分のことは自分でしてもらうからね」
「はい」
陶揮は早く部屋で休みたいため、早口で答える。
「あ、そうそう、グループを作れば、この学園の敷地内に立ってある家にグループ全員で住んでもらうから。シェアハウスってやつかな?」
「はい、はい、シェアハウス、はい」
「ふふ、はい、これ寮の場所と部屋番号と予備鍵。なくさないようにね?」
早く帰りたがる陶揮の様子をみて、笑いながら紙を手渡す。
「また明日〜」