桃色のユリと青いバラ



 鳥の声が聞こえはじめる時間。そのくらいの時間には自然と目が覚めていた。眠い目をこすりながら、スマホに表示された時間を確認する。大抵スマホのアラームが鳴る時間より前には起きることができていた。受験生だったころの生活が、2年ほどたった今でも抜けずに残っているらしい。

 顔を洗い、髪を整え、制服を着る。身支度を済ませれば、朝ご飯を食べ、概ねすべての準備が終わる。朝に焦って準備することはない。少し深呼吸をして、鏡の前で寝癖がないこと、制服のリボンが曲がっていないことを確認する。

(今日も、大丈夫。がんばってこよう。)

「お母さん、お父さん、言ってくるね。」
「いってらっしゃい。気を付けてね。」母親はいつも、事故に遭わないこと、それだけが大事で、それさえあれば大丈夫だと言っている。

「今日も特にすることないから、学校終わったらすぐ帰ってくるよ」
「ちゃんと勉強するんだよ。がんばっておいで。」父親は大抵勉強の話だ。時間をかけて丁寧に勉強をすること。それが最も重要だと考えているようである。