桃色のユリと青いバラ



 そんな友梨佳にとって、癒しとも言える時間、自分の心を解放できる時間がSNSを利用している時だった。「つながりちゃっと」。今、若者の間で流行っているSNSだ。他のSNSとは少し違い、まずは匿名で会話を始める。その後、お互いにもっと話したいと感じたら、DMが解放されるという仕組みになっていた。他にも、人の投稿を見て楽しんだりできるという点は、そのほかのSNSと大差がなかった。

 匿名で話せるというところに、友梨佳は大きな魅力を感じていた。まず、「つながりちゃっと」は、自分から誰かに話しかけに行く必要がない。「誰かと話す」というところを一回タップするだけで、暇な人といくらでも会話が始められるのだった。

 もちろん、全員が全員、優しかったり、話して心地よいわけではない。中には、変なことを言ってくる人やむやみやたらと会おうとしてくる人など、規約違反であるはずの会話をしている人も多くいた。
『どこに住んでるんですか?』
『よかったら会いたいです。ご飯でも行きませんか?』
『名前は漢字でどう書くんですか?』
『見た目ってどんな感じですか?』

 なぜ人はそんなパーソナルなところを知りたがるのだろう。知ったって意味など何もないのに。所詮、それを都合のいいように利用しようとしているだけだ。純真無垢な女の子が一人でもいれば、その人を都合よく使える、なんて思っている人もいるのだろう。