『浩さんって、部活とかサークル?って入ってるんですか??』
『イベントを運営するみたいなサークルに入ってる』
『高校でいう、生徒会みたいなものなんですかね』
『そうそう、生徒会みたいなもの。でもまあ、そんな偉いとかなくて、学祭とかそういうの運営する感じかな』
『え! 大学にも学祭ってあるんですか??』
『うん、あるよ。しかも模擬店とかあるから、高校の文化祭とかよりも規模は大きめ。それに、一般の人もたくさん来るからね』
『そうなんですね! やっぱり社会のことを知るには学祭から、みたいな感じで入ったんですか?』
『そんなこと全くないよ。友梨佳さんは真面目すぎなんだって』
『じゃあ、何か理由は特になかったり?』
『えっとね、先輩に誘われたんだよ。同じ学部にいた先輩に。授業のこととかも聞けるし、その先輩は美人で有名だったらしいしね』
『美人ってことは、女性だったんですか?』
『うん。別に性別とか気にしてなかったけどね』
浩を誘ってきた先輩が女性だった。異性と関わって今の道を作ったらしい。そんなことは何も特別じゃなく、いたって普通のことだった。ただ、それになぜか心を動かされていることが、自分でも不思議だった。
『なんか、ますます大学に興味出てきちゃいました』
『楽しそうって思った?』
『それもあるんですけど、まだまだ知らない世界がこの先に待ってるって思うと、わくわくしてきました』
『おお、なんか主人公っぽいね』
『主人公だなんて、そんなそんな。脇役みたいなものですから』
『ううん、そんなことないよ。いつだって、自分の人生の主人公は自分なんだから。卑下しちゃダメ』
『やさしいですね、ほんとに』
『まあ、少し年上のお兄さんからのアドバイスだと思って受け取っといてよ』
『わかりました。ありがとうございます!』
気づけばもう0時だった。話し始めた正確な時間は覚えていないけれど、2時間近くは話していたような気がする。時間が一瞬でなくなるという感覚は、今までの人生の中で何かに焦って必死になっていた時だけだったような気がする。こんなに穏やかで温かい時間があっという間に流れていくことに、友梨佳は驚きを隠せなかった。
