桃色のユリと青いバラ



 そういえば、大学のことをあまり聞いたことがなかった。浩はどんな大学に通っているんだろう。学部はどこなのだろう。部活とかサークルは入っているのか。普段は気にならない他人のことをすごく気にしている自分に対して違和感を持ちながらも、友梨佳は大学のことを尋ねてみた。

『そういえば、浩さんって大学はどういうところ通ってるんですか?』
『えっとね、大学名は言えないけど、国立の大学に通ってるよ』
『国立ですか!? すごい賢いって聞いたことあります』
『そんなにすごくないよ。別に日本で一番賢いとかじゃないから』
『文系ってことは法学部とかなんですかね』
『えっとね、ちょっとマニアックなんだけど、社会学部ってところ』
『社会学部? どういうことを学ぶんですか?』
『この社会がどういう構造を持ってるのかとか、社会の中に生きる人間がどういう存在なのか、とか。そういうことを研究する学部かな』
『てことは、高校の社会科とは違う感じなんですね。そんな学部あるなんて知らなかったです』
『まあね、俺もそんなに考えずにノリで選んだというか。消去法で残ったのが社会学だっただけなんだけどね』

 社会学。そんな学問があるなんて、全く知らなかった。大学には高校で勉強することのないような、もっと面白い勉強があるのかもしれない。今まで自分が勉強している理由は、たいていが親に喜んでほしいからだった。でも、もっと興味がある勉強を考えてみて、自分が本当にしたい勉強のために頑張るということも悪くないのかもな、なんて思ったりした。