桃色のユリと青いバラ



『今日、参考書買いに行ったんです、友達と』
『そうなんだ。勉強熱心で偉いじゃん』
『高校生だから、普通です。勉強するのが本業っていう感じですし』
『ううん。そうやってコツコツ続けられるのってすごいと思う』
『なんか、浩さんにほめられるの、変な感じです。普通のことですし』
『これからも勉強頑張ってね。応援してる』
『ありがとうございます』

 少しずつ、自分のことを受け止めてもらっている。そんな感じがして、嬉しかった。同時に、前にスマホの使い方を講演する集会みたいなことで聞いたことも少し引っかかっていた。たしか、大人と未成年がSNSでつながるのってまずかったんじゃ、そんな疑問がわいてきてしまった。

『あの、浩さん。ちょっとだけ聞いてもいいですか』
『うん、なんでもいいよ。』
『前に学校で、SNSで大人の人とつながるのは危ないって話をされたんです』
『たしかに、よく聞くやつだよね』
『これって、私、危ないことしちゃってるんですかね』
『うーんとね、会話すること自体がだめなわけじゃないよ。だからね、ルールを決めとこう』
『ルール、ですか?』
『そうそう。一つめに、写真はお互いに送らないこと。もちろん、動画も禁止ね』
『わかりました。写真と動画はなしですね』
『二つめに、会う約束も絶対しない。あくまでもSNSでのやりとりだけ』
『会うのもしないんですね』
『そして最後に、性的な会話も一切だめ。そういうのしたいわけじゃないからね』
『それは、私もあんまり話したくないので、ありがたいです』
『じゃあ、これだけはお互い守ろうね』
『はい、お気遣いありがとうございます!』

 友梨佳にとって、浩はすごく紳士的な人物に写っていた。ここまで丁寧に前置きをするなんて、予想外だった。私が断ればいいものを、全て先に話しておくことで安心させてくれる。そんな大人びた姿にどことなく惹かれているような気がした。

 その夜もたわいもない話を繰り返していた。大学のことを質問してみたり、逆に高校のことを話してみたり。お互いが話し手になり、聞き手になる。お互いのことを知っていく。ほめられるのも、ほめるのも、隔たりなく行われる。そんな温かな会話はどこか家族の会話と重なるものがあり、とても心地よかった。