一階に降りていくと、美味しそうなにおいが部屋の中に漂っていた。今日は豚肉の生姜焼きらしい。生姜の香ばしいにおいが友梨佳の食欲を刺激していた。
「さ、友梨佳もお父さんも早く食べちゃってね」
「うん、ありがと、お母さん。じゃあ、いただきます」
「お父さん、今日仕事頑張ったよ。友梨佳のこと考えたら頑張れる」
「お父さん、そういうのいいから。私、そんなこと言っても別に何にも思わないもん」
すごく日常的で、穏やかな時間。友梨佳にとっての普通の時間。これがずっと続けばいいのに、なんてことを思いながら食事を済ませた。
お風呂に入って、一通り髪を乾かして寝る準備を整えた。今日は参考書を買ってきたからと、机に向かい、手にした参考書のページを数ページほど眺めてみる。苦手な数式が並んでいる紙面に少しばかり嫌気がさした。ただ、どことなくやり切れそうな気もして、不思議な心持ちだった。
