桃色のユリと青いバラ



 家に帰れば、誰かと話せるというわけでもなかった。確かに両親は優しい。でも、すごく厳しい人たちでもあった。両親はともに国立大学を卒業しており、特に勉強においては非常に熱心だった。毎日宿題を丁寧にこなしたのかを確認され、少しでも方法が間違っていれば、徹底的に正しい方法を身につけさせる。
 思えば受験生だった中学三年生の頃は、両親の教育にさらに熱が入っていた。思い出すたび、父親の声が頭の中でこだまする。
「友梨佳、ここの方程式はどのように立式できると思う?」
「求める値が二つだから、文字を二つ使った方程式、かな。」
「それでは難しい問題は解けない。シンプルに考えるのが大事なんだ。一つの文字で表せるのではないか、そんな風に考えてみるといい。」

そういった教育の賜物なのだろう、友梨佳は県内でも片手で数えられる中に入るくらいの偏差値の高い高校に通えていた。合格したとき、両親は喜んでくれたが、どことなく安堵しているようにも感じられた。きっと自分たちの教育の成果がそこで確認されたからだと思う。