桃色のユリと青いバラ



 今日も授業が終わった。相変わらず、授業のスピードは速く、内容も難しい。今日も授業の復習をしなきゃと考えながら、友梨佳は自転車置き場に向かった。そんな時、友梨佳の後ろからほがらかな声が聞こえた。

「やっほー、友梨佳、元気にしてる?」
「あ、陽菜じゃん。うん、元気にしてるよ」

 陽菜、西藤陽菜。少し前まで、同じ合唱部に入っていた子だ。1年生の時はクラスが同じで、基本的にはずっと一緒に行動していたのだった。友梨佳が合唱部をやめたタイミングで一緒にやめていた。どうも部活の空気がおかしいよねと、前々から言っていたからだった。

「陽菜ちゃん、友梨佳に会いたかったよ。今年はクラスも離れちゃってさみしいんだからね」
「私だってさみしいよ。ていうか、陽菜、さみしいっていうくせに元気じゃん」
「そんなことないもん。陽菜ちゃんは、友梨佳に充電してもらわないと元気にならないんだもん」
「充電していいけどさ、こんなところで抱きつかないでよ、恥ずかしいじゃん」
「抱きついちゃうもんね。あ、そういえば、今から帰り?」
「うん、そうだよ。今から帰るとこ。用事とかはないんだけどね」
「そうなんだ!せっかくだから一緒に帰ろうよ。陽菜ちゃん、本日は生徒会の活動もないんだよねん」
「わかった、じゃあ一緒に帰ろ。寄り道でもしてく?」
「あ、じゃあね、参考書見たいから本屋さん行ってもいい?」
「いいよ、陽菜の好きなとこ、前みたいに連れ回してよ」

 そういえば二人で話す時間はひさしぶりだった。陽菜は合唱部をやめた後、先生のすすめもあって生徒会に入っていた。陽菜は抜けてるところがあるようで、やるべきことは正確にこなすし、実際、真面目で成績もよかった。生徒会の活動も着実にこなしているみたいで、先生がほめているのを何度か耳にしたことがあった。

「陽菜はさ、最近生徒会はどう?やっぱり忙しい?」
「うーんとね、忙しくしてるのはだいたい生徒会長さんだよ。陽菜ちゃんはね、お手伝いしてるだけだし、基本的にできたものをまとめる作業だからさ。」
「そうなんだ。生徒会長、いつも忙しそうだもんね。あれで成績いいなんてすごいよ」
「あの子ね、医学部志望らしいよ。親がお医者さんなのもあって、自分もそうなるって言ってた」
「医学部なんだ。すごいなー、理系だとトップらしいもんね。文系の私からしたら殿上人みたいな方ですよ」
「まあ、私も文系だし。別にあの子と勝負するつもりもないんだけどね。自分の志望校に受かれば大勝利じゃん?」
「だね。陽菜の言うとおりだよ」

 お互いにここ数週間に何があったのかを話ながら、本屋さんにたどり着いた。地域でも有数の大きな本屋さんで、小説や新書、参考書など、ほぼ全ジャンルを網羅的に取り揃えている非常にいい本屋さんだった。