桃色のユリと青いバラ



『なんかいろいろ喋っちゃってすいません。こっちの家の問題なのに』
『まあ、聞くぶんには全然大丈夫ですから。それに、そうやって見知らぬ他者にでもいいから吐き出した方が、すっきりすると思いますしね』
『なんだか、落ち着くんです。えっと、お兄さん?に話すと』
『そういえば、性別の話してなかったですね。僕は男性です。お兄さんであってますよ』
『あ、えっと、私は女性です。一人称とかからわかってたかもですけど』
『なんとなくね。ちなみに、5歳年上です。今は大学4年生なんですよ』
『すごい、大学生だったんですね。大人っぽいから社会人かと思ってました』
『そんなそんな、ほんとどこにでもいる普通の大学生です』
『お兄さんのこと、なんて呼べばいいですか?』
『そうだね、浩って呼んで』
『わかりました。えっと、私のことは。。。』
『アイコンがお花だから、はなちゃんでいいかな。女子高生に本名聞くのなんかだめそうだし』
『あ、いえ。友梨佳でいいです。本名伝えても別に問題ないですし』
『わかった。よかったら、DM機能でつながりますか?』

(「DM機能でつながる」。本当にあったんだ。)

 友梨佳は胸の高鳴りを感じながら、返事をした。
『ぜひ!また話したいですし』
『よかった。じゃあ、またDMのリクエスト送っておくから許可しといてね』
『はい、わかりました』
『じゃあ、おやすみ。夜遅いからもう寝てね』
『おやすみなさい、です』

 友梨佳は夢見心地な気分で、ベッドに倒れこんだ。ほんとうにあったんだ、DMでつながるって。驚きと喜びといろいろな感情でいっぱいになっていた。ただ、一つだけ確実だったのは、自分の胸がとても暖かくなっていたことだった。

(浩さん、、浩さん。。)

 何も特別なことなんて起きないと思っていた。でも、初めての出来事が起こった。これからどんなことが起こるのだろうか。友梨佳は、両親とのいざこざなんてどこか忘れていて、温かい気持ちを抱きしめていた。