(誰かと、話したい。誰でもいいからつながりたい)
椅子に座り、部屋に置いておいたスマホの画面を開き、いつものようにアイコンをタップする。
「誰かと話す」
今はこれを推した先にいる誰かと、ただただつながっていたかった。愛情とか同情とか、そういったものは何もいらなかった。ただひたすらに、つながっていたかった。
数秒で誰かとマッチングした。友梨佳はすかさず、簡単な挨拶を送った。
『こんにちは』
『こんにちは、よろしくお願いします』
『こちらこそです』
(やばい、何話そう。特に決めてなかった)
友梨佳が内心そんなことを思っているうちに向こう側からメッセージがきた。
『夜遅いですけど、寝る前の暇つぶしですか?』
『いえ、ちょっと両親とのいざこざがあって。誰かと話したくてここに』
いつもはあまりいない、丁寧な物腰の相手だったからだろうか。特に質問をされたわけでもなかったが、友梨佳は気づけば、自分の事情を相手に伝えていた。
『そうでしたか。あなたの親御さんは、相当あなたのことを気にかけてくれてるんですね』
『過保護だと思います。勉強にも口出ししてくるし』
『勉強に口出し。ということは、あなたは学生さんですかね』
『そうです。今高校生でして』
『高校生でしたか、それは勉強も大変ですね』
それからただ何となく、友梨佳は今日あった出来事の話をし続けていた。相手は、同情するでもなく、否定するでもなく、ひたすらに話を聞いてくれた。話しているうちに落ち着いていたきたので、友梨佳は話を変えた。
