桃色のユリと青いバラ



 20時を過ぎて、父親が帰ってきたら、3人で夕食を食べた。家族で食事をするこの時間が、友梨佳にとって一番孤独を忘れられる時間だった。

「友梨佳、勉強は順調かい?」
 母親が返ってきた時にした質問と同じ質問だった。
「まあ、頑張ってるけど、やっぱり難しいね。理系科目は特にやばいかも。」
 そんな友梨佳の表情を察してか、母親がフォローに入った。
「大丈夫よ、お父さん。友梨佳ならできるから。心配しすぎるとプレッシャーになっちゃうでしょ。」
「そうだね、お母さん。友梨佳ならきっと大丈夫だね。そういえば、友梨佳、最近ますます大人っぽくなってきたじゃない。」
「お父さん、恥ずかしいからやめてよ。別に服装も髪型も去年と変わってないでしょ。」
「なんか身長も伸びた気がするし、顔つきも大人っぽくなってきてるよ。そうだよね、お母さん。」
「もう、お父さん。わざわざ友梨佳の見た目のこと言わなくていいの。年頃の女の子はそういうの気にするんだからね。」
「そうだよ、お父さん。乙女心わかってないんだから。別に怒ってるわけじゃないけどね。」

 こんな、ありふれた日常的な会話が好きだった。家族といられる時間は、友梨佳にとってとても大事なものだ。全てを受け止めてくれる場所がここにはある。それだけで十分だった。