ひとりのじかん

16歳の誕生日ーー11月21日。
私はノートを開いた。私が葛藤してきた記憶のすべて。今までたくさんのことを書いてきた。だけど、今日で書くのはお終いにしようと決めた。

**

拝啓、17歳の葵依へ 〜1年前の私からのメッセージ〜
ーHappy birthday!!ー

16歳の私です。
今の私は、まだ学校に毎日通えていません。
朝、玄関の前で立ち止まる日もあるし、人の視線が怖くなったり、誰かの言葉を思い出したりして、ひとりになりたくなる日もある。
私はアルビノだから、生まれたときから髪も肌も瞳も白い。
それを見て驚く人もいるし、『どうしてそんなに白いの?』と聞かれることもある。
それが嫌だった。みんなと違う自分が、普通じゃない自分が嫌だった。
でも、今は少しだけ思える。私は、私のままでいい。
白い髪も、白い肌も、私の大切な一部。
誰かに何を言われても、それだけで私の価値が変わるわけじゃない。だから、自信をもって欲しい。
そう思えるようになったのは、私ひとりの力だけじゃない。
迅と出会ったから。
最初は、ただ偶然出会っただけだった。
でも、何度も話して、一緒に歩いて、海を見て、くだらないことで笑って。気づけば、迅と過ごす時間が楽しみになっていた。
迅は、私を変えようとはしなかった。
学校へ行けと言うことも、無理に人と関わらせることもしなかった。ただ、私が私のペースで進むのを待ってくれた。
だから私は、少しずつ外へ出てみようと思えた。もう一度、学校へ行ってみようと思えた。『普通』に合わせることより、自分の気持ちを大切にしたいと思えた。
17歳の私。
今から1年後のその時までには、自分の足で学校へ通えるようになっていてほしい。
毎日じゃなくてもいいし、途中で立ち止まってもいい。
それでも、自分で決めた道を少しずつ進んでいてほしい。
そして、迅とこれからも笑っていられたらいい。
きっと、これから先も怖くなることはある。誰かの視線が気になったり、自分だけ周りと違うように感じたりすることもあると思う。
そんなときは思い出して。
私は、ひとりの時間も好きだった。
ひとりでいることで、自分の心を守ることができた。でも、誰かと過ごす時間も、同じくらい大切だと知った。
もし……17歳の私がまだ迷っていたとしても、自分を責めないで。ここまで頑張ってきた16歳の私のことを、ちゃんと認めてあげて。
ひとりでいることと、誰かといること。
どちらかを選ばなくてもいい。
私は、私のままでいい。
アルビノであることも。
学校へ行けなかったことも。
ひとりの時間を大切にすることも。
迅を好きになったことも。
全部、今の私をつくっているものだから。
17歳の私が、今より少しだけ自分のことを好きになれていますように。
そして、迅と一緒に笑っていられますように。
焦らなくていい。
今日より少しだけ前へ。
自分らしく生きることを、諦めないで。
1年後の私は、今の私より少しだけ前を向いていますように。