あれから、数か月が経った。
季節は少しずつ夏から秋へと変わり、あれほど眩しかった日差しも、いつの間にか柔らかくなっていた。
私は今、学校へ向かっている。
毎日ではない。
多少慣れてきたとはいえ、まだ、朝起きてもどうしても身体が動かない日もあるし、玄関まで行ったのに、外へ出られない日もある。
以前の私なら、そんな日は自分を責めていた。
『また行けなかった』
『どうして私は普通にできないんだろう…?』
『明日もきっと無理だろうな』
そんな言葉を頭の中で何度も繰り返していた。
でも、今は少し違う。行けなかった日は、行けなかった日として、自分で認めることが出来るようになった。
それだけだ。
次の日に行けたなら、それでいい。
二時間だけの日もあれば、三時間の日もある。午前中だけの日もあれば、一日中、学校で過ごせる日もある。
最初は二時間授業を受けるところから始め、少しずつ慣らしてきた。そして、気がつけば一日を学校で過ごせる日も少しずつ増えてきた。
ただ、これだけ月日が流れても、毎日完璧にできるわけじゃない。
だからこそ、私はその事に自分で向き合って、今できる精一杯を尽くす。
そんなある朝。
「葵依、準備できた?」
玄関から声がした。
私は靴を履きながら顔を上げた。
「うん。今行く」
玄関に出ると、お兄ちゃんが鞄を肩にかけて立っていた。
「今日、一緒に行かない?」
朝ご飯を食べている時に、お兄ちゃんが聞いてきた。
『え……?』と、思わず聞き返した。
お兄ちゃんは少しだけ笑った。
「学校まで行こうよ」
「……いいの?」
「なんで俺に許可取るんだよ」
「だって……」
中学のあの時からは、お兄ちゃんと一緒に学校へ行くことなんてなかった。
お兄ちゃんはいつも私より先に家を出ていて、学校でも、『颯斗は颯斗』『葵依は葵依』として一線を引いていた。
…それが当たり前だった。兄弟というより、あくまで他人同士だと言い張れるような関係性だった。
「嫌なら先に行くけど」
「嫌じゃないよ」
私はすぐに答えた。
「……一緒に行きたい」
お兄ちゃんは少しだけ目を丸くして、それから頷いた。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
そうして、先程玄関のドアを開けてくれたのだった。
朝の空気が、頬に触れた。
少し冷たい。夏とは違う匂いがした。
私たちは並んで歩き始めた。
どちらも何も話さず、住宅街を抜ける。
朝の道には、学校へ向かう学生たちがちらほらいた。
私は無意識に周りを見た。
以前なら、人がいるだけで緊張していたし、誰かがこちらを見ているような気がして、俯いてしまっていた。
だけど今となっては、不思議とそこまで怖くない。隣に誰かがいてくれる、少しだけ安心できた。
「……そういえばさ」
お兄ちゃんが口を開いた。
「なに?」
「最近、学校どう?」
「普通だよ」
「普通か」
「うん」
私は少し考えてから続けた。
「授業受けて、休み時間にちょっと話したりして……」
「友達?」
「うーん……。まだ、友達って言えるほどじゃないかもね」
「そっか」
お兄ちゃんは、これ以上は聞いてこなかった。お兄ちゃんなりの気遣いだろう。
嬉しくて、顔がちょっとにやけた。
しばらく歩くと、信号に差しかかった。
赤信号で立ち止まる。
隣には、私と同じ制服を着たお兄ちゃん。
少し不思議な感じがした。
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん?」
「前にも一回聞いたことがあるけどさ…。昔……私のこと、どう思ってた?」
「うーん…」
お兄ちゃんは少し唸った。
「どうって?」
「私が学校に行けなくなってから」
信号の向こうを見ながら、お兄ちゃんが答える。
「……心配だったよ」
「そうだったの?」
「当たり前だろ」
「でも、何も言わなかったじゃん」
「言えなかったんだよ」
お兄ちゃんは少しだけ苦笑した。
「俺が何か言ったら、余計に葵依が苦しくなる気がして」
私は黙った。
「だから、何も言わずにいた」
「……そっか」
信号が青になり、私たちは再び歩き始めた。
「でも」
お兄ちゃんが言った。
「葵依がまた学校に行こうとしてるのは、ちゃんと分かってた」
「……見てたの?」
「こう見えて同じ家にいるからな」
私は少し笑った。
「そっか」
「無理してる日もあっただろ」
「……そうだね」
「分かるよ、それくらい」
「お兄ちゃん、意外と見てるんだね」
「意外ってなんだよ」
「だって、いつも自分のことばっかりだと思ってた」
「ひどいし、失礼だな」
お兄ちゃんが笑う。私も笑った。その笑い声が、朝の道に小さく響いた。
歩道に、私たちの影が並んで伸びている。
昔は、お兄ちゃんと比べられることが嫌だった。
お兄ちゃんは成績もよくて、何でもできて、周りから褒められていた。
私は、そんなお兄ちゃんを見るたびに、自分だけが置いていかれているような気がしていた。
でも、それは違う。
お兄ちゃんは私の前を歩く人じゃない。同じ道を歩いている、ただ一人の家族だ。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「今日、帰り遅くなるかも」
「分かった」
「…放課後迅とどこか行くのか?」
ニヤニヤと悪い顔をしながら聞いてきた。
一瞬、足が止まりそうになった。一気に顔が赤くなる。
「……なんで知ってるの⁈」
「なんとなく。ただの勘だよ」
「なんとなくって何よ!」
お兄ちゃんは楽しそうに笑った。
「まあ、いいじゃん」
「もう……」
私は少しだけ頬が熱くなるのを感じながら、前を向いた。
学校へ続く坂道に入ると、少しずつ、同じ制服の生徒が増えてくる。
私は前を向いた。
この道を、私は何度も避けてきた。見るだけで苦しくなっていた学校。そこへ今、自分の足で向かっている。
「疲れた?」
お兄ちゃんが聞いた。
「全然」
「本当に?」
「うん」
「今日は、大丈夫」
「そっか」
お兄ちゃんはどこか安心したような顔をした。そして、歩く速さを少しだけ私に合わせてくれた。
校門が見えてくる。
心臓が少しだけ速くなる。
何人もの生徒が校門を通っていく様子を少し足を止めて眺める。
私は一度だけ深呼吸した。
「じゃあ、俺、友達のところ行くわ」
お兄ちゃんが言った。
「うん」
「放課後、家でな」
「……わかった」
お兄ちゃんが歩き出す。私はその背中を見ながら、少しだけ制服を引っ張り声をかけた。
「お兄ちゃん」
「ん?」
こっちに振り返る。
「一緒に来てくれて、ありがとう」
お兄ちゃんは一瞬黙った。それから、いつものように笑った。
「また一緒に行けばいいだろ」
そう言って、お兄ちゃんは校舎の方へ歩いていった。
私はその背中を見送ってから、自分の教室へ向かった。
「おはよう」
教室の前で、声をかけられる。私は少し驚いてから、笑って答えた。
「おはよう」
最初は、それだけだった。
誰かに話しかけられると、何を言えばいいのか分からなくなったし、目を合わせることさえ怖いときもあった。
だから無難に、挨拶を交わすところから始めることにした。
でも、学校に行くにつれ、少しずつ変わった。
「今日の宿題やった?」
「うん。昨日のうちにやったよ」
「え、早……」
そんな、何でもない会話。
授業のこと。先生のこと。テストのこと。
休み時間に聞こえてくるくだらない話に、思わず笑ってしまうこともあった。
昔の私なら、そんな日が来るなんて想像できなかった。
教室にいるだけで苦しかった場所が、少しずつ『私もいる場所』になっていった。
そして、その変化を一番近くで見ていた人がいる。
「今日は一日いるの?」
廊下で会った迅が、少し驚いたように言った。
「うん。今日は大丈夫そうだから」
「そっか」
迅は、それ以上何も言わなかった。
『すごいじゃん』とも言わない。『無理しないで』と何度も心配することもない。
ただ、いつも通りに隣を歩いてくれる。言葉にはしないだけで、迅は私のことを気にかけてくれてるし、心配してくれてもいる。
わざわざ言うことはしないで、行動で示してくれるその背中が、私を安心させてくれる。
「そういえば、今日さ」
「なに?」
「朝、葵依のこと見た気がする」
「え?」
「校門のところ。颯斗さんと歩いてただろ」
「あ……見てたの?」
「たまたま見えただけだよ」
「そっか」
私は少しだけ笑った。
「今日は一緒に学校まで来たの」
「へえ」
「すごく久しぶりだった」
「仲いいんだな」
「……最近はね」
そう答えると、迅が笑った。
「よかったじゃん」
その言葉が、なんだか嬉しかった。
その日の放課後。
昇降口を出ると、校門の近くに迅が立っていた。
「お疲れ」
「お疲れさま」
「今日、一日どうだった?」
「ちょっと疲れた」
「そりゃ一日いたからな」
「でも……楽しかった。体育は地獄だったけどね」
私がそう言うと、迅は嬉しそうに笑った。
「そりゃ大変だな」
私たちは並んで歩き始めた。
学校を出てしばらくすると、迅が少しだけ手を動かした。それに気づいて、私は隣を見る。
「どうしたの?」
「……いや」
迅は少しだけ気まずそうにそっぽを向いた。
「……手、つなぐ?」
その一言に、胸が跳ねた。
『付き合っている』
そう分かっていても、こういう瞬間はまだ慣れない。
私は少し迷ってから、自分の手を差し出した。
迅がその手をそっと握る。強く握るわけでもない。ただ、離れないように自然につないでいる。それだけなのに、胸の奥が温かくなった。
「……なんか、変な感じ」
私が言うと、迅が笑った。
「何で?」
「だって…。前はただ一緒に歩いてただけなのに」
「今も歩いてるだけだろ」
「でも、全くの別物だよ」
「まあ……確かにそうだな」
私達は2人とも顔を赤く染め、お互いに歩調を合わせながら歩いた。
手をつないだまま、学校の話をした。
今日の授業で、先生の言っていたことや、クラスで起きた小さな出来事。
特別な話じゃない。くだらない話をする…。
私はそんな時間が好きだった。
以前の私は、『誰かと一緒にいること』を特別なことだと思っていた。
だけど今は、何でもない時間を、一緒に過ごすこと。
それが嬉しいし、私にとっての新たな『特別なこと』になった。
「葵依」
「ん?」
「今日も、学校に来てよかった?」
少し間を置いて答える。
「うん」
私は笑った。
「でも、一番よかったのは……」
「なに?」
「………。帰りに迅と会えたこと」
言ってから、恥ずかしくなって前を向く。
迅も少し黙っていた。虚をつかれたかのように、口がぽかんとあいている。
「……それ、反則だろ」
「なんで?」
「嬉しいからに決まってる」
そう言って、迅は歯を見せて笑った。私も笑った。
家の中も、少しずつ変わった。
ある日の夕食で、お母さんが、私の学校の話を聞いてきた。
「今日、学校どうだった?」
以前なら、その質問だけで胸が苦しくなっていたし、すぐに部屋にこもっただろう。
でもね、お母さん…。今の私は、ちゃんと、強くなったんだよ。
「普通だったよ」
「普通?」
「うん。授業受けて、友達と少し話して……」
そこまで言ってから、私は箸を止めた。
お母さんがこちらを見ている。
その視線にさえ緊張していた。だが、今思い返すと、逃げなくてもいい気がした。
「……楽しかったよ」
小さな声だった。
お母さんは少しだけ目を細めて、それから笑った。
「そう、いいじゃない。」
お兄ちゃんも、向かい側からこちらを見ていた。
「明日も行くの?」
「たぶん」
「たぶんかよ」
「だって、明日のことは明日にならないと分からないし」
そう言うと、お兄ちゃんは口角を上げて頷いた。
「まあ、それもそうか」
昔なら、もっと違う言葉が返ってきたかもしれない。
『お兄ちゃんはできてるのに』『どうして葵依はできないの』
そんな言葉を、何度も聞いてきたが、お母さんも、お兄ちゃんも、私を誰かと比べることをしなくなった。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだし、私は私。それだけのことだった。
その日の夜。
自分の部屋に戻った私は、久しぶりに机の引き出しを開けた。そこには、一冊のノートを入れている。
ふと、初めてこのノートを開いた日のことを思い出した。
私は、何が嫌だった?誰の言葉が怖かった?本当は、どうしてほしかった?
あの頃の私は、自分の中にあるものを一つずつ探すように、言葉を書き続けた。
途中で何度も手が止まった。書くのが怖くなることもあった。思い出したくないこともあった。
それでも、自分の中を整理する為にも、少しずつ書き出した。
そして、気づいた。
私は、自分が白いことが嫌だったわけじゃない。自分の見た目そのものを嫌っていたわけじゃない。
嫌だったのは、それを理由にして『普通じゃない』と決めつけられることだった。『アルビノ』だからと言って、周りと比較されることだった。
誰かの言葉に傷ついて、それをいつの間にか自分のせいにしていた。
でも、本当は違った。
私が悪かったわけじゃない。
その言葉を書いたとき、胸の奥にあった何かが、ほんの少しだけ軽くなった。
そして今。
私はもう一度、ノートを開いた。
最後のページには、何も書かれていない。
ペンを持つ。
少しだけ考えてから、ゆっくりと文字を書いた。
『私は、私のままでいい。』
書き終えて、しばらくその文字を見つめる。
昔の私がこの言葉を見たら、きっと信じられなかっただろう。『そんな事思っても無駄だ』と。でも、今の私は少しだけ信じられる。
私は、私のままでいい。無理に誰かと同じになる必要なんてない。歩く速さだって、人それぞれでいい。
私はノートを閉じた。そのとき、机の上に置いていたスマートフォンが震えた。
迅からだった。
『明日、放課後空いてる?』
私は少しだけ笑って、返信を打つ。
『空いてるよ』
送信してから、すぐに既読がついた。
『じゃあ、いつものところ行く?少し鬱憤を吐こうぜ』
私は少し考えてから、
『うん』
と返した。
翌日の放課後。
私たちは、あの海へ向かった。
初めて来たときと同じ道だけど、見える景色は少し違っていた。
海に近づくにつれて、潮の匂いが強くなる。やがて、木々の隙間から青い海が見えた。
波は静かだった。岩場の間を通り抜ける水が、きらきらと光っている。
「久しぶりだな」
迅が言った。
「うん、本当に久々に来た」
私たちは砂浜に座った。
少し離れた場所には岩があり、その向こうでは波が静かに打ち寄せている。
初めてここへ来た日のことを思い出す。
あの頃の私は、まだ外の世界が怖かった。
誰かに見られることも。誰かに何かを言われることも。明日が来ることさえ、少し怖かった。
「葵依」
「なに?」
「葵依はさ、最初に会ったときより随分変わったよな」
私は海を見ながら答えた。
「そうだね。だけど、迅も大分変わったよ」
「俺が?」
「うん」
「どこが?」
私は考えた。でも、答えはすでに分かっている。
だからこそ、笑いながら言った。
「私を放っておけなくなったところ」
「……それ、俺が面倒見のいい人みたいじゃん」
「違うの?」
「違う…。いや、案外そうなのか…?」
可笑しくなって、笑った。海の音に、私たちの笑い声が混ざる。
そんな中、迅がぽつりと言った。
「でも、葵依が変わったっていうより……」
「?」
「葵依が、葵依のままでいられるようになったんじゃない?」
私は何も言わなかった。その言葉が、胸の奥にゆっくりと染み込んでいく。
「……そうかも」
私は海を見た。青い空。白い雲。光を反射する水面。
どれも、初めて見たときと同じ景色なのに、今は少し違って見えた。
「ねえ、迅。聞いてくれない?」
「ん?」
「私、ひとりの時間も好きなんだ」
「知ってる」
「でもね」
私は隣を見る。思いっきり迅と目が合った。
「誰かといる時間も、好きになった」
迅は一瞬だけ黙った。それから、いつものように小さく笑った。
「俺もだよ」
胸が少しだけ跳ねる。何度聞いても、この言葉には慣れない。
嬉しくて、少し恥ずかしくて、私は海へ視線を戻した。
「……また来ようね」
「うん」
「学校にも」
「頑張る」
「でも、行けない日があっても許してね」
「最初から許すも何もないだろ」
迅はそう言って、海を見た。
「葵依が行きたいときに行けばいいじゃん」
その言葉に、私は笑った。
「ありがとう」
「どういたしまして」
帰る時間になり、私たちは砂浜から立ち上がった。
帰り道、少し歩いたところで、迅が手を差し出した。
「……手」
私はその手を見る。
「また?」
「嫌?」
「……嫌じゃない」
私はその手を取った。二人の手が重なる。
夕暮れの道を、並んで歩く。海から吹いてくる風が少し冷たかった。
「寒くない?」
迅が聞いた。
「大丈夫」
「ならよかった」
そのまま、駅まで歩き続けた。
私は隣にいる迅を見る。
出会った頃は、こんな日が来るなんて考えたこともなかった。
学校へ行ける日が来ることも。家族と笑って話せる日が来ることも。誰かと並んで歩くことが、こんなに自然になることも。そして、その『誰か』が迅になることも。
思わず笑みをこぼした。
「どうした?」
「ううん」
「何かあった?」
「……幸せだなって思っただけ」
言った瞬間、少し恥ずかしくなった。
迅も照れたように笑った。
「そっか」
夕方。
太陽が少しずつ低くなっていく。
私たちはいつもの駅で別れた。
「また明日」
「うん。また明日」
迅が手を振る。私も手を振り返した。
一人になった私は、家への道を歩き始める。
昔なら、一人になると不安になっていたし、誰も隣にいないことが怖かった。
けれど、今は一人で歩いたり、誰かと一緒に歩いたりする事も出来る。両方できるようになった。どちらかを選ばなくてもいいんだ。
私は空を見上げた。
夕暮れの空は、少しずつ色を変えている。
今日も一日が終わって…、そして、明日が来る。
明日、学校へ行けるかは分からない。また玄関口で不安になって、立ち止まっちゃうかもしれない。
それでも、もう前ほど怖くはない。
私は、自分の歩幅で進んでいけばいい。誰かと比べなくていい。誰かに決められた『普通』に合わせなくてもいい。
ひとりの時間も。誰かと過ごす時間も。笑った時間も。泣いた時間も。
全部、私が生きてきた時間だから。『アルビノ』の私が背負った運命であり、それこそが自分自身と闘った歴史だから。
私は笑って、前を向いた。
ひとりで歩く道の先に、明日が待っている。そしてその先には、きっとまた、誰かと笑える時間がある。
私はもう知っている。
ひとりでいることと、ひとりぼっちでいることは、同じじゃない事を。
だから私は、これからも自分の時間を大切にしていく。
どちらも、私の大切な時間だから。
季節は少しずつ夏から秋へと変わり、あれほど眩しかった日差しも、いつの間にか柔らかくなっていた。
私は今、学校へ向かっている。
毎日ではない。
多少慣れてきたとはいえ、まだ、朝起きてもどうしても身体が動かない日もあるし、玄関まで行ったのに、外へ出られない日もある。
以前の私なら、そんな日は自分を責めていた。
『また行けなかった』
『どうして私は普通にできないんだろう…?』
『明日もきっと無理だろうな』
そんな言葉を頭の中で何度も繰り返していた。
でも、今は少し違う。行けなかった日は、行けなかった日として、自分で認めることが出来るようになった。
それだけだ。
次の日に行けたなら、それでいい。
二時間だけの日もあれば、三時間の日もある。午前中だけの日もあれば、一日中、学校で過ごせる日もある。
最初は二時間授業を受けるところから始め、少しずつ慣らしてきた。そして、気がつけば一日を学校で過ごせる日も少しずつ増えてきた。
ただ、これだけ月日が流れても、毎日完璧にできるわけじゃない。
だからこそ、私はその事に自分で向き合って、今できる精一杯を尽くす。
そんなある朝。
「葵依、準備できた?」
玄関から声がした。
私は靴を履きながら顔を上げた。
「うん。今行く」
玄関に出ると、お兄ちゃんが鞄を肩にかけて立っていた。
「今日、一緒に行かない?」
朝ご飯を食べている時に、お兄ちゃんが聞いてきた。
『え……?』と、思わず聞き返した。
お兄ちゃんは少しだけ笑った。
「学校まで行こうよ」
「……いいの?」
「なんで俺に許可取るんだよ」
「だって……」
中学のあの時からは、お兄ちゃんと一緒に学校へ行くことなんてなかった。
お兄ちゃんはいつも私より先に家を出ていて、学校でも、『颯斗は颯斗』『葵依は葵依』として一線を引いていた。
…それが当たり前だった。兄弟というより、あくまで他人同士だと言い張れるような関係性だった。
「嫌なら先に行くけど」
「嫌じゃないよ」
私はすぐに答えた。
「……一緒に行きたい」
お兄ちゃんは少しだけ目を丸くして、それから頷いた。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
そうして、先程玄関のドアを開けてくれたのだった。
朝の空気が、頬に触れた。
少し冷たい。夏とは違う匂いがした。
私たちは並んで歩き始めた。
どちらも何も話さず、住宅街を抜ける。
朝の道には、学校へ向かう学生たちがちらほらいた。
私は無意識に周りを見た。
以前なら、人がいるだけで緊張していたし、誰かがこちらを見ているような気がして、俯いてしまっていた。
だけど今となっては、不思議とそこまで怖くない。隣に誰かがいてくれる、少しだけ安心できた。
「……そういえばさ」
お兄ちゃんが口を開いた。
「なに?」
「最近、学校どう?」
「普通だよ」
「普通か」
「うん」
私は少し考えてから続けた。
「授業受けて、休み時間にちょっと話したりして……」
「友達?」
「うーん……。まだ、友達って言えるほどじゃないかもね」
「そっか」
お兄ちゃんは、これ以上は聞いてこなかった。お兄ちゃんなりの気遣いだろう。
嬉しくて、顔がちょっとにやけた。
しばらく歩くと、信号に差しかかった。
赤信号で立ち止まる。
隣には、私と同じ制服を着たお兄ちゃん。
少し不思議な感じがした。
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん?」
「前にも一回聞いたことがあるけどさ…。昔……私のこと、どう思ってた?」
「うーん…」
お兄ちゃんは少し唸った。
「どうって?」
「私が学校に行けなくなってから」
信号の向こうを見ながら、お兄ちゃんが答える。
「……心配だったよ」
「そうだったの?」
「当たり前だろ」
「でも、何も言わなかったじゃん」
「言えなかったんだよ」
お兄ちゃんは少しだけ苦笑した。
「俺が何か言ったら、余計に葵依が苦しくなる気がして」
私は黙った。
「だから、何も言わずにいた」
「……そっか」
信号が青になり、私たちは再び歩き始めた。
「でも」
お兄ちゃんが言った。
「葵依がまた学校に行こうとしてるのは、ちゃんと分かってた」
「……見てたの?」
「こう見えて同じ家にいるからな」
私は少し笑った。
「そっか」
「無理してる日もあっただろ」
「……そうだね」
「分かるよ、それくらい」
「お兄ちゃん、意外と見てるんだね」
「意外ってなんだよ」
「だって、いつも自分のことばっかりだと思ってた」
「ひどいし、失礼だな」
お兄ちゃんが笑う。私も笑った。その笑い声が、朝の道に小さく響いた。
歩道に、私たちの影が並んで伸びている。
昔は、お兄ちゃんと比べられることが嫌だった。
お兄ちゃんは成績もよくて、何でもできて、周りから褒められていた。
私は、そんなお兄ちゃんを見るたびに、自分だけが置いていかれているような気がしていた。
でも、それは違う。
お兄ちゃんは私の前を歩く人じゃない。同じ道を歩いている、ただ一人の家族だ。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「今日、帰り遅くなるかも」
「分かった」
「…放課後迅とどこか行くのか?」
ニヤニヤと悪い顔をしながら聞いてきた。
一瞬、足が止まりそうになった。一気に顔が赤くなる。
「……なんで知ってるの⁈」
「なんとなく。ただの勘だよ」
「なんとなくって何よ!」
お兄ちゃんは楽しそうに笑った。
「まあ、いいじゃん」
「もう……」
私は少しだけ頬が熱くなるのを感じながら、前を向いた。
学校へ続く坂道に入ると、少しずつ、同じ制服の生徒が増えてくる。
私は前を向いた。
この道を、私は何度も避けてきた。見るだけで苦しくなっていた学校。そこへ今、自分の足で向かっている。
「疲れた?」
お兄ちゃんが聞いた。
「全然」
「本当に?」
「うん」
「今日は、大丈夫」
「そっか」
お兄ちゃんはどこか安心したような顔をした。そして、歩く速さを少しだけ私に合わせてくれた。
校門が見えてくる。
心臓が少しだけ速くなる。
何人もの生徒が校門を通っていく様子を少し足を止めて眺める。
私は一度だけ深呼吸した。
「じゃあ、俺、友達のところ行くわ」
お兄ちゃんが言った。
「うん」
「放課後、家でな」
「……わかった」
お兄ちゃんが歩き出す。私はその背中を見ながら、少しだけ制服を引っ張り声をかけた。
「お兄ちゃん」
「ん?」
こっちに振り返る。
「一緒に来てくれて、ありがとう」
お兄ちゃんは一瞬黙った。それから、いつものように笑った。
「また一緒に行けばいいだろ」
そう言って、お兄ちゃんは校舎の方へ歩いていった。
私はその背中を見送ってから、自分の教室へ向かった。
「おはよう」
教室の前で、声をかけられる。私は少し驚いてから、笑って答えた。
「おはよう」
最初は、それだけだった。
誰かに話しかけられると、何を言えばいいのか分からなくなったし、目を合わせることさえ怖いときもあった。
だから無難に、挨拶を交わすところから始めることにした。
でも、学校に行くにつれ、少しずつ変わった。
「今日の宿題やった?」
「うん。昨日のうちにやったよ」
「え、早……」
そんな、何でもない会話。
授業のこと。先生のこと。テストのこと。
休み時間に聞こえてくるくだらない話に、思わず笑ってしまうこともあった。
昔の私なら、そんな日が来るなんて想像できなかった。
教室にいるだけで苦しかった場所が、少しずつ『私もいる場所』になっていった。
そして、その変化を一番近くで見ていた人がいる。
「今日は一日いるの?」
廊下で会った迅が、少し驚いたように言った。
「うん。今日は大丈夫そうだから」
「そっか」
迅は、それ以上何も言わなかった。
『すごいじゃん』とも言わない。『無理しないで』と何度も心配することもない。
ただ、いつも通りに隣を歩いてくれる。言葉にはしないだけで、迅は私のことを気にかけてくれてるし、心配してくれてもいる。
わざわざ言うことはしないで、行動で示してくれるその背中が、私を安心させてくれる。
「そういえば、今日さ」
「なに?」
「朝、葵依のこと見た気がする」
「え?」
「校門のところ。颯斗さんと歩いてただろ」
「あ……見てたの?」
「たまたま見えただけだよ」
「そっか」
私は少しだけ笑った。
「今日は一緒に学校まで来たの」
「へえ」
「すごく久しぶりだった」
「仲いいんだな」
「……最近はね」
そう答えると、迅が笑った。
「よかったじゃん」
その言葉が、なんだか嬉しかった。
その日の放課後。
昇降口を出ると、校門の近くに迅が立っていた。
「お疲れ」
「お疲れさま」
「今日、一日どうだった?」
「ちょっと疲れた」
「そりゃ一日いたからな」
「でも……楽しかった。体育は地獄だったけどね」
私がそう言うと、迅は嬉しそうに笑った。
「そりゃ大変だな」
私たちは並んで歩き始めた。
学校を出てしばらくすると、迅が少しだけ手を動かした。それに気づいて、私は隣を見る。
「どうしたの?」
「……いや」
迅は少しだけ気まずそうにそっぽを向いた。
「……手、つなぐ?」
その一言に、胸が跳ねた。
『付き合っている』
そう分かっていても、こういう瞬間はまだ慣れない。
私は少し迷ってから、自分の手を差し出した。
迅がその手をそっと握る。強く握るわけでもない。ただ、離れないように自然につないでいる。それだけなのに、胸の奥が温かくなった。
「……なんか、変な感じ」
私が言うと、迅が笑った。
「何で?」
「だって…。前はただ一緒に歩いてただけなのに」
「今も歩いてるだけだろ」
「でも、全くの別物だよ」
「まあ……確かにそうだな」
私達は2人とも顔を赤く染め、お互いに歩調を合わせながら歩いた。
手をつないだまま、学校の話をした。
今日の授業で、先生の言っていたことや、クラスで起きた小さな出来事。
特別な話じゃない。くだらない話をする…。
私はそんな時間が好きだった。
以前の私は、『誰かと一緒にいること』を特別なことだと思っていた。
だけど今は、何でもない時間を、一緒に過ごすこと。
それが嬉しいし、私にとっての新たな『特別なこと』になった。
「葵依」
「ん?」
「今日も、学校に来てよかった?」
少し間を置いて答える。
「うん」
私は笑った。
「でも、一番よかったのは……」
「なに?」
「………。帰りに迅と会えたこと」
言ってから、恥ずかしくなって前を向く。
迅も少し黙っていた。虚をつかれたかのように、口がぽかんとあいている。
「……それ、反則だろ」
「なんで?」
「嬉しいからに決まってる」
そう言って、迅は歯を見せて笑った。私も笑った。
家の中も、少しずつ変わった。
ある日の夕食で、お母さんが、私の学校の話を聞いてきた。
「今日、学校どうだった?」
以前なら、その質問だけで胸が苦しくなっていたし、すぐに部屋にこもっただろう。
でもね、お母さん…。今の私は、ちゃんと、強くなったんだよ。
「普通だったよ」
「普通?」
「うん。授業受けて、友達と少し話して……」
そこまで言ってから、私は箸を止めた。
お母さんがこちらを見ている。
その視線にさえ緊張していた。だが、今思い返すと、逃げなくてもいい気がした。
「……楽しかったよ」
小さな声だった。
お母さんは少しだけ目を細めて、それから笑った。
「そう、いいじゃない。」
お兄ちゃんも、向かい側からこちらを見ていた。
「明日も行くの?」
「たぶん」
「たぶんかよ」
「だって、明日のことは明日にならないと分からないし」
そう言うと、お兄ちゃんは口角を上げて頷いた。
「まあ、それもそうか」
昔なら、もっと違う言葉が返ってきたかもしれない。
『お兄ちゃんはできてるのに』『どうして葵依はできないの』
そんな言葉を、何度も聞いてきたが、お母さんも、お兄ちゃんも、私を誰かと比べることをしなくなった。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだし、私は私。それだけのことだった。
その日の夜。
自分の部屋に戻った私は、久しぶりに机の引き出しを開けた。そこには、一冊のノートを入れている。
ふと、初めてこのノートを開いた日のことを思い出した。
私は、何が嫌だった?誰の言葉が怖かった?本当は、どうしてほしかった?
あの頃の私は、自分の中にあるものを一つずつ探すように、言葉を書き続けた。
途中で何度も手が止まった。書くのが怖くなることもあった。思い出したくないこともあった。
それでも、自分の中を整理する為にも、少しずつ書き出した。
そして、気づいた。
私は、自分が白いことが嫌だったわけじゃない。自分の見た目そのものを嫌っていたわけじゃない。
嫌だったのは、それを理由にして『普通じゃない』と決めつけられることだった。『アルビノ』だからと言って、周りと比較されることだった。
誰かの言葉に傷ついて、それをいつの間にか自分のせいにしていた。
でも、本当は違った。
私が悪かったわけじゃない。
その言葉を書いたとき、胸の奥にあった何かが、ほんの少しだけ軽くなった。
そして今。
私はもう一度、ノートを開いた。
最後のページには、何も書かれていない。
ペンを持つ。
少しだけ考えてから、ゆっくりと文字を書いた。
『私は、私のままでいい。』
書き終えて、しばらくその文字を見つめる。
昔の私がこの言葉を見たら、きっと信じられなかっただろう。『そんな事思っても無駄だ』と。でも、今の私は少しだけ信じられる。
私は、私のままでいい。無理に誰かと同じになる必要なんてない。歩く速さだって、人それぞれでいい。
私はノートを閉じた。そのとき、机の上に置いていたスマートフォンが震えた。
迅からだった。
『明日、放課後空いてる?』
私は少しだけ笑って、返信を打つ。
『空いてるよ』
送信してから、すぐに既読がついた。
『じゃあ、いつものところ行く?少し鬱憤を吐こうぜ』
私は少し考えてから、
『うん』
と返した。
翌日の放課後。
私たちは、あの海へ向かった。
初めて来たときと同じ道だけど、見える景色は少し違っていた。
海に近づくにつれて、潮の匂いが強くなる。やがて、木々の隙間から青い海が見えた。
波は静かだった。岩場の間を通り抜ける水が、きらきらと光っている。
「久しぶりだな」
迅が言った。
「うん、本当に久々に来た」
私たちは砂浜に座った。
少し離れた場所には岩があり、その向こうでは波が静かに打ち寄せている。
初めてここへ来た日のことを思い出す。
あの頃の私は、まだ外の世界が怖かった。
誰かに見られることも。誰かに何かを言われることも。明日が来ることさえ、少し怖かった。
「葵依」
「なに?」
「葵依はさ、最初に会ったときより随分変わったよな」
私は海を見ながら答えた。
「そうだね。だけど、迅も大分変わったよ」
「俺が?」
「うん」
「どこが?」
私は考えた。でも、答えはすでに分かっている。
だからこそ、笑いながら言った。
「私を放っておけなくなったところ」
「……それ、俺が面倒見のいい人みたいじゃん」
「違うの?」
「違う…。いや、案外そうなのか…?」
可笑しくなって、笑った。海の音に、私たちの笑い声が混ざる。
そんな中、迅がぽつりと言った。
「でも、葵依が変わったっていうより……」
「?」
「葵依が、葵依のままでいられるようになったんじゃない?」
私は何も言わなかった。その言葉が、胸の奥にゆっくりと染み込んでいく。
「……そうかも」
私は海を見た。青い空。白い雲。光を反射する水面。
どれも、初めて見たときと同じ景色なのに、今は少し違って見えた。
「ねえ、迅。聞いてくれない?」
「ん?」
「私、ひとりの時間も好きなんだ」
「知ってる」
「でもね」
私は隣を見る。思いっきり迅と目が合った。
「誰かといる時間も、好きになった」
迅は一瞬だけ黙った。それから、いつものように小さく笑った。
「俺もだよ」
胸が少しだけ跳ねる。何度聞いても、この言葉には慣れない。
嬉しくて、少し恥ずかしくて、私は海へ視線を戻した。
「……また来ようね」
「うん」
「学校にも」
「頑張る」
「でも、行けない日があっても許してね」
「最初から許すも何もないだろ」
迅はそう言って、海を見た。
「葵依が行きたいときに行けばいいじゃん」
その言葉に、私は笑った。
「ありがとう」
「どういたしまして」
帰る時間になり、私たちは砂浜から立ち上がった。
帰り道、少し歩いたところで、迅が手を差し出した。
「……手」
私はその手を見る。
「また?」
「嫌?」
「……嫌じゃない」
私はその手を取った。二人の手が重なる。
夕暮れの道を、並んで歩く。海から吹いてくる風が少し冷たかった。
「寒くない?」
迅が聞いた。
「大丈夫」
「ならよかった」
そのまま、駅まで歩き続けた。
私は隣にいる迅を見る。
出会った頃は、こんな日が来るなんて考えたこともなかった。
学校へ行ける日が来ることも。家族と笑って話せる日が来ることも。誰かと並んで歩くことが、こんなに自然になることも。そして、その『誰か』が迅になることも。
思わず笑みをこぼした。
「どうした?」
「ううん」
「何かあった?」
「……幸せだなって思っただけ」
言った瞬間、少し恥ずかしくなった。
迅も照れたように笑った。
「そっか」
夕方。
太陽が少しずつ低くなっていく。
私たちはいつもの駅で別れた。
「また明日」
「うん。また明日」
迅が手を振る。私も手を振り返した。
一人になった私は、家への道を歩き始める。
昔なら、一人になると不安になっていたし、誰も隣にいないことが怖かった。
けれど、今は一人で歩いたり、誰かと一緒に歩いたりする事も出来る。両方できるようになった。どちらかを選ばなくてもいいんだ。
私は空を見上げた。
夕暮れの空は、少しずつ色を変えている。
今日も一日が終わって…、そして、明日が来る。
明日、学校へ行けるかは分からない。また玄関口で不安になって、立ち止まっちゃうかもしれない。
それでも、もう前ほど怖くはない。
私は、自分の歩幅で進んでいけばいい。誰かと比べなくていい。誰かに決められた『普通』に合わせなくてもいい。
ひとりの時間も。誰かと過ごす時間も。笑った時間も。泣いた時間も。
全部、私が生きてきた時間だから。『アルビノ』の私が背負った運命であり、それこそが自分自身と闘った歴史だから。
私は笑って、前を向いた。
ひとりで歩く道の先に、明日が待っている。そしてその先には、きっとまた、誰かと笑える時間がある。
私はもう知っている。
ひとりでいることと、ひとりぼっちでいることは、同じじゃない事を。
だから私は、これからも自分の時間を大切にしていく。
どちらも、私の大切な時間だから。
