最寄り駅から10分離れた住宅街に僕の家がある。
結局あの後、この教科のあの内容がどうだとか、あの教科のあの先生があれだとか、学生らしい会話を始めたので僕はさっきの事が無かったかのようにその会話に参加した。
たまには複数人と会話しながら帰るのもいいなぁ、なんて思う。
僕たちから見て、十字路の左側へと向かう横断歩道を渡り歩みを進めてくと、モダン建築でグレーの外壁をした家が見えてくる。
「家庭科の先生、俺少し苦手で……」
「まじ?俺以外とあのサバサバした感じやりやすいけどなぁ」
「僕は普通ですね……やりやすいのは同意しますが。お二人とも着きましたよ」
「久々のりっくんちだ〜」
「菓子折りとか持ってこなかったけど大丈夫かな……?」
「両親はこの時間仕事で出払ってますし、いたとしても歳の離れた兄くらいなので気にしないでください」
「そうなんだ、じゃぁお言葉に甘えさせてもらうね。お昼の時言ってたね歳の離れたお兄さんと従兄弟がいるって」
「はい、歳が離れてるせいか猫可愛がりされてて……」
そう、メイクポーチがしまわれてるしまわれてない云々よりも気掛かりなのは兄だ。
兄は、基本在宅ワーカーでたまに出勤してと言った感じで勤めているので、高確率で鉢合わせる。
僕と兄は歳が離れてるせいか、弟かわいいかわいいで育てられてしまったので自己肯定感激高な人間に育ってしまった。
そんな元凶の兄がもしかしたら家にいるかもしれないのだ。
家の塀の中に入り、玄関の前まで行き家の鍵を取り出し鍵穴に差し入れ、回すとガチャリ__と扉のロックが解除される音が鳴る。
(閉まってた……ってことは今日は会社に出向いてるのかな?)
「お二人とも、上がったら手洗いして少し待っててもらってもいいですか?」
「りっくんなんか恥ずかしいものでも出しっぱなのー?」
「いえ、普通にちょっと散らかってるので……」
嘘は言ってない。メイクポーチ出しっぱだし、多分服もハンガーにかけて出しっぱだった気がする。
明真さんが僕の部屋に入るなら尚更片付けたい。
「なるほど、俺も散らかってる部屋を見られるのあまり好きじゃないし待ってるよ。急がなくていいからね?碧維と話して待ってるから」
「まぁそれは俺も嫌かも、ごめんね?りっくん。はるっちと話しながらいい子に待ってるね」
「僕の都合にもかかわらずすみません……なるべく早く片付けますので!!あ、洗面所はこちらです」
そう言い、洗面所に案内して新しくタオルを出しそれを使ってもらい、うがい用に紙コップも持ってくる。
流石に使用済みのタオルとコップは友達とは言えお客さんに使わせられない。
「流石に使用済みはどうかと思いまして新しいタオルと、うがい用に紙コップも持ってきたのでよければ使ってください」
「りっくんありがと〜!」
「ありがと璃斗くん」
「いえ、では片付けてきますね」
急いで2階へと上がる階段を登り、自分の部屋へと少し早足で歩き【璃斗】と書かれたボードのある部屋に入る。
中に入るなりどさり、とバッグを落とし中を見渡せば案の定ローテーブルにメイク道具とポーチ、ほとんどバッグ掛けになっているコートなどを掛けるポールラックに洗った昨日の服が掛かっている。
他にも雑誌が散乱してたり、ネイルポリッシュやジェルネイルの入ったケースがそのまま出しっぱになってたりとだいぶ酷かった。
「これは待ってもらって正解だ……」
「とりあえず、元の場所に戻さなきゃ……真面目委員長らしくないものはクローゼットに一旦しまおう」
ハンガーに掛かっている服はクローゼットのハンガーパイプへ、メイクポーチやネイル類のケースはラックへしまう。
雑誌も一緒にラックの中へと一旦片付け、とりあえず物はしまった。
趣味の物さえなければ、物が少なめの部屋へと変わる……と思いたい。
少し経って、ある程度片付けることに成功した。
これ以上友達とは言え、お客様を待たせるのは良くないだろう。
もし何か聞かれたら兄の物ということにしよう、ある意味間違ってはないし。
一度、下の階へと戻り二人を呼びに戻る。
「あの、大変お待たせいたしました……」
「あ!りっくんおかえり〜!ねぇはるっちちょ〜おもろいんだけど!」
「おかえり璃斗くん。碧維も十分面白い人だよ」
「ふふ、仲良くなれたようで何よりです。片付いたので部屋にご案内しますね、その前に飲み物はさっき買ったのでちょっとしたお菓子持ってきます」
「やった〜!やっぱ糖分必須だよねぇ」
適度に摘めるようなお菓子を持って自分の部屋へと案内する。
「ここが僕の部屋です。ボードがあるので間違えないとは思いますが、向かいは兄の部屋なのでお手洗い後とか気をつけてくださいね」
「わ、かわいいボードだね。うん覚えとくね」
「わかる〜、かわいいよね」
扉をくぐり部屋へと通す。
ローテーブルに持ってきたものを置き、腰を下ろす。
「どうぞ、お好きなところに座ってください。クッションもあるので好きなの使ってください」
「りっくんの左側もーらい!にしても、相変わらず部屋の匂い良すぎない?何使ってんのー?」
「そうですかね?この棚の上にあるリードディフューザーの匂いですよ。確かホワイトティーの香りだったはずです」
「あれ?はるっちもこっちおいでよ」
「あ、えっと……うん」
どうしたのだろうか?変なものは置いてなかったはずだが……
よーく見ると少し顔が赤いような……?窓の位置的にこの時間は日が差し安いので気のせいだろう。
右側に明真さんが座り、ノートやルーズリーフ、返却されたテストなどをリュックから取り出す。
僕と仙石もいそいそ、と準備し始める。
「俺は、現国と数学II・B・Cやるんだけど二人は何やるの?」
「んー、俺は〜古典と数II、世界史かな。うへぇ……三つ同時並行とかやってることえぐ〜……」
「僕は、現国と情報Iと、今日の世界史の振り返りします」
「あはは、意外と慣れればいけるよ?みんないい感じに教え合えるね」
「ですね、とりあえず何かわからないところが出るまでそれぞれのに集中しましょうか」
「賛成〜!数学はほんとボロボロだからもしかしたら早々に聞くかも……はるっちごめんね〜!」
「全然いいよ、じゃ始めよう」
カリカリ__とそれぞれがノートやルーズリーフなどにシャープペンシルを走らせる音や、消しゴムで消す音だけが聞こえる。
僕も、現国の惜しかったところを教科書を見ながら照らし合わせ、ルーズリーフにテストの間違えたところと直した回答を書いていき赤インクのボールペンで線を引いておく。
高校に入ってからの全てのテストの直しや、授業の振り返りをまとめたファイルを作ってあるので、突然小テストでこの範囲が出て次こそは間違えないためにもこうして書いて保存しておきたい。
(ふ〜……取り敢えず現国はこんなもんかな。一度机にファイル取りに行かなきゃ……)
そう思い立ち上がると、ちょうど顔を上げた明真さんと目があう。
「どうしたの、わからないところでもあった?」
「あ、いえ違くて。ルーズリーフをまとめてあるファイルをそこの机から取りたいなぁ、と思いまして」
「なるほど。あ、もしかして今までのテストの間違え直しとかまとめてるの?」
「そうなんです」
そう言いながら机へと近づき、複数のファイルをまとめているブックエンドの間から『高校テスト』と書かれた水色のファイルを取り出す。
それを持ち、ローテーブルへと戻る。
「これは、高校に入ってからのやつです」
「へぇ、すごいね……あの真面目委員長の璃斗くんでもこんなに間違えるんだね」
「そりゃそうですよ。少し苦手な教科から凡ミスまで様々です」
「そういう割にはりっくん中学生の頃からすごいらしいじゃん?」
「いえ、そんな……てかそれ誰から聞いたんです?」
「え?ルカさんだけど」
いつ僕の目を盗んで兄は僕の話をしたんだ……!!!!
結局あの後、この教科のあの内容がどうだとか、あの教科のあの先生があれだとか、学生らしい会話を始めたので僕はさっきの事が無かったかのようにその会話に参加した。
たまには複数人と会話しながら帰るのもいいなぁ、なんて思う。
僕たちから見て、十字路の左側へと向かう横断歩道を渡り歩みを進めてくと、モダン建築でグレーの外壁をした家が見えてくる。
「家庭科の先生、俺少し苦手で……」
「まじ?俺以外とあのサバサバした感じやりやすいけどなぁ」
「僕は普通ですね……やりやすいのは同意しますが。お二人とも着きましたよ」
「久々のりっくんちだ〜」
「菓子折りとか持ってこなかったけど大丈夫かな……?」
「両親はこの時間仕事で出払ってますし、いたとしても歳の離れた兄くらいなので気にしないでください」
「そうなんだ、じゃぁお言葉に甘えさせてもらうね。お昼の時言ってたね歳の離れたお兄さんと従兄弟がいるって」
「はい、歳が離れてるせいか猫可愛がりされてて……」
そう、メイクポーチがしまわれてるしまわれてない云々よりも気掛かりなのは兄だ。
兄は、基本在宅ワーカーでたまに出勤してと言った感じで勤めているので、高確率で鉢合わせる。
僕と兄は歳が離れてるせいか、弟かわいいかわいいで育てられてしまったので自己肯定感激高な人間に育ってしまった。
そんな元凶の兄がもしかしたら家にいるかもしれないのだ。
家の塀の中に入り、玄関の前まで行き家の鍵を取り出し鍵穴に差し入れ、回すとガチャリ__と扉のロックが解除される音が鳴る。
(閉まってた……ってことは今日は会社に出向いてるのかな?)
「お二人とも、上がったら手洗いして少し待っててもらってもいいですか?」
「りっくんなんか恥ずかしいものでも出しっぱなのー?」
「いえ、普通にちょっと散らかってるので……」
嘘は言ってない。メイクポーチ出しっぱだし、多分服もハンガーにかけて出しっぱだった気がする。
明真さんが僕の部屋に入るなら尚更片付けたい。
「なるほど、俺も散らかってる部屋を見られるのあまり好きじゃないし待ってるよ。急がなくていいからね?碧維と話して待ってるから」
「まぁそれは俺も嫌かも、ごめんね?りっくん。はるっちと話しながらいい子に待ってるね」
「僕の都合にもかかわらずすみません……なるべく早く片付けますので!!あ、洗面所はこちらです」
そう言い、洗面所に案内して新しくタオルを出しそれを使ってもらい、うがい用に紙コップも持ってくる。
流石に使用済みのタオルとコップは友達とは言えお客さんに使わせられない。
「流石に使用済みはどうかと思いまして新しいタオルと、うがい用に紙コップも持ってきたのでよければ使ってください」
「りっくんありがと〜!」
「ありがと璃斗くん」
「いえ、では片付けてきますね」
急いで2階へと上がる階段を登り、自分の部屋へと少し早足で歩き【璃斗】と書かれたボードのある部屋に入る。
中に入るなりどさり、とバッグを落とし中を見渡せば案の定ローテーブルにメイク道具とポーチ、ほとんどバッグ掛けになっているコートなどを掛けるポールラックに洗った昨日の服が掛かっている。
他にも雑誌が散乱してたり、ネイルポリッシュやジェルネイルの入ったケースがそのまま出しっぱになってたりとだいぶ酷かった。
「これは待ってもらって正解だ……」
「とりあえず、元の場所に戻さなきゃ……真面目委員長らしくないものはクローゼットに一旦しまおう」
ハンガーに掛かっている服はクローゼットのハンガーパイプへ、メイクポーチやネイル類のケースはラックへしまう。
雑誌も一緒にラックの中へと一旦片付け、とりあえず物はしまった。
趣味の物さえなければ、物が少なめの部屋へと変わる……と思いたい。
少し経って、ある程度片付けることに成功した。
これ以上友達とは言え、お客様を待たせるのは良くないだろう。
もし何か聞かれたら兄の物ということにしよう、ある意味間違ってはないし。
一度、下の階へと戻り二人を呼びに戻る。
「あの、大変お待たせいたしました……」
「あ!りっくんおかえり〜!ねぇはるっちちょ〜おもろいんだけど!」
「おかえり璃斗くん。碧維も十分面白い人だよ」
「ふふ、仲良くなれたようで何よりです。片付いたので部屋にご案内しますね、その前に飲み物はさっき買ったのでちょっとしたお菓子持ってきます」
「やった〜!やっぱ糖分必須だよねぇ」
適度に摘めるようなお菓子を持って自分の部屋へと案内する。
「ここが僕の部屋です。ボードがあるので間違えないとは思いますが、向かいは兄の部屋なのでお手洗い後とか気をつけてくださいね」
「わ、かわいいボードだね。うん覚えとくね」
「わかる〜、かわいいよね」
扉をくぐり部屋へと通す。
ローテーブルに持ってきたものを置き、腰を下ろす。
「どうぞ、お好きなところに座ってください。クッションもあるので好きなの使ってください」
「りっくんの左側もーらい!にしても、相変わらず部屋の匂い良すぎない?何使ってんのー?」
「そうですかね?この棚の上にあるリードディフューザーの匂いですよ。確かホワイトティーの香りだったはずです」
「あれ?はるっちもこっちおいでよ」
「あ、えっと……うん」
どうしたのだろうか?変なものは置いてなかったはずだが……
よーく見ると少し顔が赤いような……?窓の位置的にこの時間は日が差し安いので気のせいだろう。
右側に明真さんが座り、ノートやルーズリーフ、返却されたテストなどをリュックから取り出す。
僕と仙石もいそいそ、と準備し始める。
「俺は、現国と数学II・B・Cやるんだけど二人は何やるの?」
「んー、俺は〜古典と数II、世界史かな。うへぇ……三つ同時並行とかやってることえぐ〜……」
「僕は、現国と情報Iと、今日の世界史の振り返りします」
「あはは、意外と慣れればいけるよ?みんないい感じに教え合えるね」
「ですね、とりあえず何かわからないところが出るまでそれぞれのに集中しましょうか」
「賛成〜!数学はほんとボロボロだからもしかしたら早々に聞くかも……はるっちごめんね〜!」
「全然いいよ、じゃ始めよう」
カリカリ__とそれぞれがノートやルーズリーフなどにシャープペンシルを走らせる音や、消しゴムで消す音だけが聞こえる。
僕も、現国の惜しかったところを教科書を見ながら照らし合わせ、ルーズリーフにテストの間違えたところと直した回答を書いていき赤インクのボールペンで線を引いておく。
高校に入ってからの全てのテストの直しや、授業の振り返りをまとめたファイルを作ってあるので、突然小テストでこの範囲が出て次こそは間違えないためにもこうして書いて保存しておきたい。
(ふ〜……取り敢えず現国はこんなもんかな。一度机にファイル取りに行かなきゃ……)
そう思い立ち上がると、ちょうど顔を上げた明真さんと目があう。
「どうしたの、わからないところでもあった?」
「あ、いえ違くて。ルーズリーフをまとめてあるファイルをそこの机から取りたいなぁ、と思いまして」
「なるほど。あ、もしかして今までのテストの間違え直しとかまとめてるの?」
「そうなんです」
そう言いながら机へと近づき、複数のファイルをまとめているブックエンドの間から『高校テスト』と書かれた水色のファイルを取り出す。
それを持ち、ローテーブルへと戻る。
「これは、高校に入ってからのやつです」
「へぇ、すごいね……あの真面目委員長の璃斗くんでもこんなに間違えるんだね」
「そりゃそうですよ。少し苦手な教科から凡ミスまで様々です」
「そういう割にはりっくん中学生の頃からすごいらしいじゃん?」
「いえ、そんな……てかそれ誰から聞いたんです?」
「え?ルカさんだけど」
いつ僕の目を盗んで兄は僕の話をしたんだ……!!!!
