午後からはそれぞれの専攻科目の教室へと移動する。
僕は世界史の教室、明真さんは化学の教室だ。
気まずさや申し訳なさをそのままに僕は教室を後にした。
◇◇◇ ◇◇◇
久しぶりに昼休みの時間をいっぱいまで使った気がする。
いつもなら余裕を持って教室を出るのだが、今日は一緒にご飯を食べたて会話したりしたことで教室に移動できたのが、担当の先生のくるギリギリになってしまった。
「あれ、りっくんがギリギリなの珍しいね。なんかあった?」
「こんにちは、仙石。ちょっと色々ありまして」
目の前の男はニヤニヤとした顔で僕の腕をツンツンと突いてくる。
「はーいこんにちは。その色々ってさ、2年女子が噂してた”Aクラスの王子と堅物委員長が一緒にお昼食べて会話してた”ってやつ?」
「なんです?その噂。まぁ事実ですけど……」
渾名で呼んで声を掛けてくれたのは、同じ専攻でたまたま席が近かったことや委員会の関係で仲良くなった仙石 碧唯だ。
(数分前までの事なのに、もう噂として2学年で広まっているとは……!!!)
「え〜!事実なの?!ちなみにどんな話してたかとか……」
「元を辿ると、珍しく彼が朝早くてたまたま二人きりで向こうから話しかけられて、そこから初めて会話をしました。休み時間は本当に文字通り何もなかったんですけど、昼休みの時に話しかけられて一緒にお昼を食べることになりました」
「いつも早いりっくんよりも早かったんだね。なるほどね〜」
「ここに来る前に、気まずい別れ方をしてしまったのでこれから仲良くしてもらえるか怪しいですが……」
「どゆこと?何したんだよ璃斗」
「いや、距離感を間違えてしまったというか……なんというか……」
仙石に聞いてもらおうとしたところで__
__ガラガラガラ
と、教室の扉が開く。
「皆さん、揃ってますか?……はい、揃っているようなので世界史の授業を始めたいと思います。どなたか号令をお願いできますか?」
「先生、僕がやります」
「巴さん、ではお願いします」
「はい、起立……気をつけ、礼。よろしくお願いします」
「お願いしまーす」
「お願いします!」
挨拶を終えるとちょうどキーンコーンカーンコーンと本鈴が鳴り、5コマ目の世界史の授業が始まった。
「じゃぁまず、期末テストの返却を行います。呼ばれた方から取りに来てくださいね」
再び50音順で名前が呼ばれていく、それを僕はぼーっとしながら眺めている。
少しでも気を抜くと、思い浮かぶのはさっきのクラスでの明真さんとの会話。
(帰りのHR後にでも声掛けましょうか……でも普段のノリで行けないし、難しいですね)
ふむ……と考えていると、横からツンツンと突かれる。
「?どうしました?仙石」
「りっくんはテストの手応えどうかな〜ってで、実際どうなの?」
「自信ありますよ。復習もしっかりしましたし……そういう仙石はどうなんです?」
「俺〜?あるにはあるんだけど、ずっとここ間違えたかもって思ってる所がってさ」
「しっかり勉強もしてたんですし合ってるといいですね?」
「本当に……「次、仙石さん」呼ばれたから行くわ」
「はい、行ってらっしゃいませ」
上の空だったことに気づいていたのかいないのか……意識を授業に戻してくれた仙石には感謝だ。
(本当、チャラいくせにちゃんと周りを見ているんだよなぁ……いや、アイツの場合周りってよりも身近な人?)
そんなことを思っていると、仙石が少し神妙な顔で戻ってきた。
「たっだいま〜」
「お帰りなさい、どうでしたか?」
「んーっと……あちゃ〜、さっき言ってた所ダメだったわ」
「ありゃ、どんまいです」
「次、巴さん」
「すみません、呼ばれたので行きますね」
「おう、行ってこい」
他の生徒たちの座る席と席の間を通り、教卓へと近づく。
仙石には自信があると言ってしまった手前、こんな事を思うのはアレだが取れても97点辺りだろうなぁってのが本音だ。
少し不安を抱えつつもいつも通り、
「ありがとうございます」
と、言ってからテストを受け取る。
一旦点数を見ないように、紙の端と端をゆるく合わせ持ち席へと戻る。
「どうだった?」
「まだ見てなくて……今見ますね」
ゆるく合わせて持っていた紙を開くと……
(わ、100点……ふふ、何回取っても嬉しいなぁ)
少し嬉しさを出しつつ仙石に報告をする。
「ふふ、100点でした」
「さっすがりっくん!」
2人でコソコソと話しつつテストが全員に行き渡るのを待った。
普段は、授業中に話すなんてもってのほかだが仙石といると素の自分がひょっこりと顔を出すから少し困る。
「呼ばれなかった方は居ませんね?それでは、あまり残り時間も多くはないのでパッパと行きましょう。それでは教科書42ページを開いてください。前回のテスト前の授業ではペルシア戦争やアレクサンドロス帝国について学びましたね、今回は古代ギリシアとヘレニズム文化について教えていこうと思います」
古代ギリシアとヘレニズム文化……自然哲学や詩人、科学者と色々な偉人が出てくるイメージがある所だ。
(ちゃんと覚えておかないと……絶対テストで偉人の名前を答えよ〜とかある)
「紀元前8世紀、ホメロスがまとめた叙事書は……」
黒板に書かれたことや先生が口頭で話した重要になりそうなポイントをひたすらノートに書いていく。
(万物の根源を数とみなしたのが、”ピタゴラス”で数学の基盤をきずいた……そして病因を究明したのが”ヒッポクラテス”で医学の父と言われた……)
(国家の定例行事として演劇の競演……へ〜、裁判や政治議論に参与する市民の教育として特別な重要性があったんだ。楽しみながら学ぶ、今じゃ少し難しいのかな?)
頭のなかでぶつぶつ、と教科書の内容を読みつつ疑問に思った事を後で調べられるように、とノートにも赤いインクのボールペンで線を引いとく。
そんな調子で授業を受けているといつの間にかチャイムが鳴り5コマ目があっという間に終わる。
集中できるゾーンに入っていたのか休憩中もずっとノートと睨めっこしていて、隣で面白くなさそうな顔をする仙石には気づかなかった。
6コマ目も世界史で途中だったヘレニズム時代についてから始まった。
沢山の科学者について一つ一つノートに書いていきつつ、しっかり先生の話にも耳を傾ける。
キーンコーンカーンコーン__。
いつの間にか、6コマ目の終わりを告げるチャイムが鳴っていた。
「それでは、本日の授業はここまでです。巴さんお願いします」
「はい。起立、気をつけ……礼。ありがとうございました」
「ありがとうございました〜!」
「ありがとーございました!」
「皆さん、この後のホームルームに遅れないように教室に戻ってくださいね」
先生が言い終わると同時に、ゾロゾロと荷物を持って生徒たちが移動し始めた。
僕も教室に戻るために荷物を整理して席を立つ。
「あ、りっくーん待って〜!」
「仙石どうしました?」
「今日の放課後空いてる?良かったらまたテストの直しとか、復習とかしたくて……」
「実は、僕もいつ言おうか迷ってました。空いてますよ」
「まじか!場所はどうする?りっくん家行ってもいい〜?」
「いいですけど……絶対に汚さないでくださいね」
「もちろん!じゃぁHR終わったら迎えに行くね〜またね!」
「はい、また」
HR後にまた会う約束をして、それぞれの教室へと戻っていった。
僕は世界史の教室、明真さんは化学の教室だ。
気まずさや申し訳なさをそのままに僕は教室を後にした。
◇◇◇ ◇◇◇
久しぶりに昼休みの時間をいっぱいまで使った気がする。
いつもなら余裕を持って教室を出るのだが、今日は一緒にご飯を食べたて会話したりしたことで教室に移動できたのが、担当の先生のくるギリギリになってしまった。
「あれ、りっくんがギリギリなの珍しいね。なんかあった?」
「こんにちは、仙石。ちょっと色々ありまして」
目の前の男はニヤニヤとした顔で僕の腕をツンツンと突いてくる。
「はーいこんにちは。その色々ってさ、2年女子が噂してた”Aクラスの王子と堅物委員長が一緒にお昼食べて会話してた”ってやつ?」
「なんです?その噂。まぁ事実ですけど……」
渾名で呼んで声を掛けてくれたのは、同じ専攻でたまたま席が近かったことや委員会の関係で仲良くなった仙石 碧唯だ。
(数分前までの事なのに、もう噂として2学年で広まっているとは……!!!)
「え〜!事実なの?!ちなみにどんな話してたかとか……」
「元を辿ると、珍しく彼が朝早くてたまたま二人きりで向こうから話しかけられて、そこから初めて会話をしました。休み時間は本当に文字通り何もなかったんですけど、昼休みの時に話しかけられて一緒にお昼を食べることになりました」
「いつも早いりっくんよりも早かったんだね。なるほどね〜」
「ここに来る前に、気まずい別れ方をしてしまったのでこれから仲良くしてもらえるか怪しいですが……」
「どゆこと?何したんだよ璃斗」
「いや、距離感を間違えてしまったというか……なんというか……」
仙石に聞いてもらおうとしたところで__
__ガラガラガラ
と、教室の扉が開く。
「皆さん、揃ってますか?……はい、揃っているようなので世界史の授業を始めたいと思います。どなたか号令をお願いできますか?」
「先生、僕がやります」
「巴さん、ではお願いします」
「はい、起立……気をつけ、礼。よろしくお願いします」
「お願いしまーす」
「お願いします!」
挨拶を終えるとちょうどキーンコーンカーンコーンと本鈴が鳴り、5コマ目の世界史の授業が始まった。
「じゃぁまず、期末テストの返却を行います。呼ばれた方から取りに来てくださいね」
再び50音順で名前が呼ばれていく、それを僕はぼーっとしながら眺めている。
少しでも気を抜くと、思い浮かぶのはさっきのクラスでの明真さんとの会話。
(帰りのHR後にでも声掛けましょうか……でも普段のノリで行けないし、難しいですね)
ふむ……と考えていると、横からツンツンと突かれる。
「?どうしました?仙石」
「りっくんはテストの手応えどうかな〜ってで、実際どうなの?」
「自信ありますよ。復習もしっかりしましたし……そういう仙石はどうなんです?」
「俺〜?あるにはあるんだけど、ずっとここ間違えたかもって思ってる所がってさ」
「しっかり勉強もしてたんですし合ってるといいですね?」
「本当に……「次、仙石さん」呼ばれたから行くわ」
「はい、行ってらっしゃいませ」
上の空だったことに気づいていたのかいないのか……意識を授業に戻してくれた仙石には感謝だ。
(本当、チャラいくせにちゃんと周りを見ているんだよなぁ……いや、アイツの場合周りってよりも身近な人?)
そんなことを思っていると、仙石が少し神妙な顔で戻ってきた。
「たっだいま〜」
「お帰りなさい、どうでしたか?」
「んーっと……あちゃ〜、さっき言ってた所ダメだったわ」
「ありゃ、どんまいです」
「次、巴さん」
「すみません、呼ばれたので行きますね」
「おう、行ってこい」
他の生徒たちの座る席と席の間を通り、教卓へと近づく。
仙石には自信があると言ってしまった手前、こんな事を思うのはアレだが取れても97点辺りだろうなぁってのが本音だ。
少し不安を抱えつつもいつも通り、
「ありがとうございます」
と、言ってからテストを受け取る。
一旦点数を見ないように、紙の端と端をゆるく合わせ持ち席へと戻る。
「どうだった?」
「まだ見てなくて……今見ますね」
ゆるく合わせて持っていた紙を開くと……
(わ、100点……ふふ、何回取っても嬉しいなぁ)
少し嬉しさを出しつつ仙石に報告をする。
「ふふ、100点でした」
「さっすがりっくん!」
2人でコソコソと話しつつテストが全員に行き渡るのを待った。
普段は、授業中に話すなんてもってのほかだが仙石といると素の自分がひょっこりと顔を出すから少し困る。
「呼ばれなかった方は居ませんね?それでは、あまり残り時間も多くはないのでパッパと行きましょう。それでは教科書42ページを開いてください。前回のテスト前の授業ではペルシア戦争やアレクサンドロス帝国について学びましたね、今回は古代ギリシアとヘレニズム文化について教えていこうと思います」
古代ギリシアとヘレニズム文化……自然哲学や詩人、科学者と色々な偉人が出てくるイメージがある所だ。
(ちゃんと覚えておかないと……絶対テストで偉人の名前を答えよ〜とかある)
「紀元前8世紀、ホメロスがまとめた叙事書は……」
黒板に書かれたことや先生が口頭で話した重要になりそうなポイントをひたすらノートに書いていく。
(万物の根源を数とみなしたのが、”ピタゴラス”で数学の基盤をきずいた……そして病因を究明したのが”ヒッポクラテス”で医学の父と言われた……)
(国家の定例行事として演劇の競演……へ〜、裁判や政治議論に参与する市民の教育として特別な重要性があったんだ。楽しみながら学ぶ、今じゃ少し難しいのかな?)
頭のなかでぶつぶつ、と教科書の内容を読みつつ疑問に思った事を後で調べられるように、とノートにも赤いインクのボールペンで線を引いとく。
そんな調子で授業を受けているといつの間にかチャイムが鳴り5コマ目があっという間に終わる。
集中できるゾーンに入っていたのか休憩中もずっとノートと睨めっこしていて、隣で面白くなさそうな顔をする仙石には気づかなかった。
6コマ目も世界史で途中だったヘレニズム時代についてから始まった。
沢山の科学者について一つ一つノートに書いていきつつ、しっかり先生の話にも耳を傾ける。
キーンコーンカーンコーン__。
いつの間にか、6コマ目の終わりを告げるチャイムが鳴っていた。
「それでは、本日の授業はここまでです。巴さんお願いします」
「はい。起立、気をつけ……礼。ありがとうございました」
「ありがとうございました〜!」
「ありがとーございました!」
「皆さん、この後のホームルームに遅れないように教室に戻ってくださいね」
先生が言い終わると同時に、ゾロゾロと荷物を持って生徒たちが移動し始めた。
僕も教室に戻るために荷物を整理して席を立つ。
「あ、りっくーん待って〜!」
「仙石どうしました?」
「今日の放課後空いてる?良かったらまたテストの直しとか、復習とかしたくて……」
「実は、僕もいつ言おうか迷ってました。空いてますよ」
「まじか!場所はどうする?りっくん家行ってもいい〜?」
「いいですけど……絶対に汚さないでくださいね」
「もちろん!じゃぁHR終わったら迎えに行くね〜またね!」
「はい、また」
HR後にまた会う約束をして、それぞれの教室へと戻っていった。
