ダイニングキッチンから、トントントン__と玉ねぎやにんじん、じゃがいもなどを切る音だけが静かなリビングに響く。
兄とはるは何を話しているのだろうか……兄のことだし僕に関することなのはわかっている。
けど、いじめられてたりしないか心配。兄が過保護なのは今に始まったことではないから……
(父と母はどう思うんだろう……?息子が同性が好きってどう思うのかな)
(瑠夏兄みたく受け入れてもらえるといいな……)
隠してもいつかはバレるだろうし、いつかは伝えなくては行けないことだ。
それなら、最初から話してしまえばダメージは少ないだろう。もし反対されたらどうしよう、と思わなくもないが正直受け入れてくる自信はあるにはある。だって、僕と瑠夏兄を産み育てた両親だ。
(色々話し合いはあるだろうけど、きっと味方でいてくれるはず)
牛肉を一口大に切りながらも、頭はぐるぐると考えることをやめられない。
塩と胡椒を両面に振りかけ、下準備は完了だ。
「璃斗何作ってるの?」
「瑠夏兄!えっと、ビーフシチュー作ってて……お話し合いはもういいの?はるお疲れ様」
「ビーフシチューか、璃斗の作るビーフシチュー僕好きなんだよねぇ。うん、ちゃんと大事にしてもらうんだよ?」
「ありがとう、璃斗。何か手伝えることある?」
はるの顔色を見るがいつも通りで安心した。何を話してきたのかは聞いてはダメだろう、きっと瑠夏兄から見た僕についてを先に話されたのだろう。最後は大事にしないと許さない、とか脅してそうだけど。
「んふふ、ちなみにまだ何も伝えてないんだ〜。あ、ならブロッコリー切って茹でてほしい」
「え、じゃぁ気づきあってるだけなの?!お兄ちゃんびっくり」
「また後でゆっくり話し合おうかな、と。わかった、この包丁使っていい?」
「あ、それ牛肉切っちゃってるので洗ってから使ってね」
「僕もなんかしたーい」
「んぇ、じゃぁ瑠夏兄は鍋にバター溶かしてお肉とか野菜焼いて」
そう、僕らは別にまだ付き合ってはいないのだ。まぁ相手もそうだろうな〜ってのを感じているだけで言葉にはしていない。
それにしても、兄と好きな人とで料理してるのすごく胸がポカポカする、嬉しい。
◇◇◇ ◇◇◇
一時間くらいかけて全ての料理を作り上げた。
両親が帰ってくるまでまだ時間はある、帰ってくるまでの間僕ははるを連れてはるの泊まる部屋へと案内した、その後僕の部屋へと戻って話し合いを始めた。
「えっと、何からはなそっか……」
「じゃぁ俺から言わせて?」
「どうぞ……」
気まずい空気感が流れる中、僕とはるはローテーブルを挟んで向き合って座っている。
緊張からか、すごく心臓がバクバクしていてはるに聞かれてないか、と心配だ。
「俺、璃斗のことが好きだよ。ちゃんとLOVEの意味でね」
「でも、異性愛者じゃないですよね……?なぜ……」
「うん、所謂元ノンケってやつだよ。最初はナンパから始まったんだけど、璃斗がちゃんと男なんだってわかっても、頭の中を占拠してて……こういうこと言ったら情に訴えかけるみたいで嫌なんだけど、俺家だと完璧を求められててそれが辛くて……でも璃斗に出会ってからすごく精神的に楽で、何より璃斗の素かなって思えるところが見れるようになってから何というか、すごくきゅんってしたと言うか……」
あぁ、はるも僕と同じで”苦労してきた側”で現在進行形でもある。
それにしても、ギャップで壁乗り越えたってすごいな……初めてキャラを偽っていてよかったと思ったかもしれない。
「はるも苦労してたんだね、ふふ……初めてキャラを偽るきっかけになった出来事に感謝したかも」
「も?ってことはやっぱ璃斗も何かしらあってなんだ?」
「うん、僕はね……」
あおに打ち明けた時と同じように全て話した。
はるは虐めに関するところで顔を顰めつつ、何も言わずに最後まで聞いてくれた。
聞き終わってからはるは、「抱きしめていい?」とか聞きながら抱きしめてた。聞いた意味ないじゃんウケる。
「苦しいよ、はる」
「ごめん、ちょっと緩める……」
「抱きしめるのはやめないんだ?」
「やめない……そういえば返事聞いてない」
そういえば、はるからは告白されたけど僕からは言ってなかった。
ここまで言わせて言わない、ってのは同じ男としてどうかと思うのでちゃんと言おう。
「僕も、はるが明真が好きです……最初はナンパなんて最悪だったんです、でも貴方と関わるようになって最悪だった第一印象なんてどうでもいいくらい、大型犬みたいな貴方が可愛いなって、好みを打ち明けてもギャップがあっていいって受け入れてくれて、すごく嬉しくなったんです」
この数日間で積もっていった想い全てをはるに伝える。
さっき緩めたばかりなのに、再びギチギチ__と抱きしめられる。
「ぐぇ……苦しいです」
「あはは、嬉しい……本当にちゃんと同じ気持ちだったんだ。大事なこと忘れてた……俺と付き合ってくれますか?」
「はい……喜んで。はるを好きになっていいのかずっと不安だった」
「あ〜、すごく嬉しい……えっとそれは、俺がノンケだったから?」
「うん、僕好きになったからその人がいい、って感じで多分バイセクシュアルなんだ」
ちゃんと話さなければわからないこともある、と今回のはるとの数日間ですごく学んだ。だから思ってたことは全て共有することにする。
「そうだったんだ、過去にも男を好きになったことあるの?」
「初恋が小学校の担任の先生だったんだ……あとは中学時代の先輩とか……女性はそこまでだったかな?そう考えるとバイなのかも怪しいや」
「……付き合ってたことは?」
「はるが初めて、だって中学の先輩もノンケだったし。だからそう言うのもあって不安だったんです」
「はぁぁ……よかった俺が璃斗の最初で最後の男なんだ……」
だから、ちゃんと付き合えてすごく幸せなのだ。
それにしても不穏だ。はるってもしかして執着するタイプ……?
「そう言うはるこそどうなんですか?言っておくけど、結構重い方だって自覚はあるよ」
「女子に告白されても付き合ったことなんてないし、男は言わずもがな。だから俺も璃斗が最初で最後だよ、嬉しい?」
「うん、とっても。今すぐキスしたいくらいには」
「璃斗のファーストキスもらっていいの?」
「何を当たり前のことを……ファーストだけじゃなくこの先もずっと貴方がいいです」
「俺、プロポーズされてる……?」
あんなに王子様と言われてモテていた男が、男はもちろん女性も知らないだなんて。
顔には出さないが、心の内では仄暗い感情が沸々と湧き上がっている。
「ふふ、今の法律じゃ婚姻は厳しいですがパートナーシップなら結べますね」
「じゃぁ絶対に結ばないとね」
「結んでもらわないと困ります。これからずっと一緒、ですよ?」
「あはは、もちろん。離れるとか許さないから」
そう言い唇に触れるだけのキスをし、重い約束をする。
僕たちまだ高校生なのにね?いつか、ひっそりと二人きりで暮らすのが夢だ。
そのためにも大学受験を頑張らないと……はるはどこを受けるのだろうか?一緒のところに通うのは、何を学びたいかで変わってくるからあまり同じ大学を目指すことは視野に入れないでおこう。
「あおになんて報告しよっか」
「碧維が家に帰ってきたら、ビデオ通話でもかけてみる?」
「何それ面白そう、賛成」
あおのことだし、「お泊まりとか仲間はずれひどい〜!!!」なんて言ってきそうな感じもあるがしっかり祝福してくれるだろう。
兄とはるは何を話しているのだろうか……兄のことだし僕に関することなのはわかっている。
けど、いじめられてたりしないか心配。兄が過保護なのは今に始まったことではないから……
(父と母はどう思うんだろう……?息子が同性が好きってどう思うのかな)
(瑠夏兄みたく受け入れてもらえるといいな……)
隠してもいつかはバレるだろうし、いつかは伝えなくては行けないことだ。
それなら、最初から話してしまえばダメージは少ないだろう。もし反対されたらどうしよう、と思わなくもないが正直受け入れてくる自信はあるにはある。だって、僕と瑠夏兄を産み育てた両親だ。
(色々話し合いはあるだろうけど、きっと味方でいてくれるはず)
牛肉を一口大に切りながらも、頭はぐるぐると考えることをやめられない。
塩と胡椒を両面に振りかけ、下準備は完了だ。
「璃斗何作ってるの?」
「瑠夏兄!えっと、ビーフシチュー作ってて……お話し合いはもういいの?はるお疲れ様」
「ビーフシチューか、璃斗の作るビーフシチュー僕好きなんだよねぇ。うん、ちゃんと大事にしてもらうんだよ?」
「ありがとう、璃斗。何か手伝えることある?」
はるの顔色を見るがいつも通りで安心した。何を話してきたのかは聞いてはダメだろう、きっと瑠夏兄から見た僕についてを先に話されたのだろう。最後は大事にしないと許さない、とか脅してそうだけど。
「んふふ、ちなみにまだ何も伝えてないんだ〜。あ、ならブロッコリー切って茹でてほしい」
「え、じゃぁ気づきあってるだけなの?!お兄ちゃんびっくり」
「また後でゆっくり話し合おうかな、と。わかった、この包丁使っていい?」
「あ、それ牛肉切っちゃってるので洗ってから使ってね」
「僕もなんかしたーい」
「んぇ、じゃぁ瑠夏兄は鍋にバター溶かしてお肉とか野菜焼いて」
そう、僕らは別にまだ付き合ってはいないのだ。まぁ相手もそうだろうな〜ってのを感じているだけで言葉にはしていない。
それにしても、兄と好きな人とで料理してるのすごく胸がポカポカする、嬉しい。
◇◇◇ ◇◇◇
一時間くらいかけて全ての料理を作り上げた。
両親が帰ってくるまでまだ時間はある、帰ってくるまでの間僕ははるを連れてはるの泊まる部屋へと案内した、その後僕の部屋へと戻って話し合いを始めた。
「えっと、何からはなそっか……」
「じゃぁ俺から言わせて?」
「どうぞ……」
気まずい空気感が流れる中、僕とはるはローテーブルを挟んで向き合って座っている。
緊張からか、すごく心臓がバクバクしていてはるに聞かれてないか、と心配だ。
「俺、璃斗のことが好きだよ。ちゃんとLOVEの意味でね」
「でも、異性愛者じゃないですよね……?なぜ……」
「うん、所謂元ノンケってやつだよ。最初はナンパから始まったんだけど、璃斗がちゃんと男なんだってわかっても、頭の中を占拠してて……こういうこと言ったら情に訴えかけるみたいで嫌なんだけど、俺家だと完璧を求められててそれが辛くて……でも璃斗に出会ってからすごく精神的に楽で、何より璃斗の素かなって思えるところが見れるようになってから何というか、すごくきゅんってしたと言うか……」
あぁ、はるも僕と同じで”苦労してきた側”で現在進行形でもある。
それにしても、ギャップで壁乗り越えたってすごいな……初めてキャラを偽っていてよかったと思ったかもしれない。
「はるも苦労してたんだね、ふふ……初めてキャラを偽るきっかけになった出来事に感謝したかも」
「も?ってことはやっぱ璃斗も何かしらあってなんだ?」
「うん、僕はね……」
あおに打ち明けた時と同じように全て話した。
はるは虐めに関するところで顔を顰めつつ、何も言わずに最後まで聞いてくれた。
聞き終わってからはるは、「抱きしめていい?」とか聞きながら抱きしめてた。聞いた意味ないじゃんウケる。
「苦しいよ、はる」
「ごめん、ちょっと緩める……」
「抱きしめるのはやめないんだ?」
「やめない……そういえば返事聞いてない」
そういえば、はるからは告白されたけど僕からは言ってなかった。
ここまで言わせて言わない、ってのは同じ男としてどうかと思うのでちゃんと言おう。
「僕も、はるが明真が好きです……最初はナンパなんて最悪だったんです、でも貴方と関わるようになって最悪だった第一印象なんてどうでもいいくらい、大型犬みたいな貴方が可愛いなって、好みを打ち明けてもギャップがあっていいって受け入れてくれて、すごく嬉しくなったんです」
この数日間で積もっていった想い全てをはるに伝える。
さっき緩めたばかりなのに、再びギチギチ__と抱きしめられる。
「ぐぇ……苦しいです」
「あはは、嬉しい……本当にちゃんと同じ気持ちだったんだ。大事なこと忘れてた……俺と付き合ってくれますか?」
「はい……喜んで。はるを好きになっていいのかずっと不安だった」
「あ〜、すごく嬉しい……えっとそれは、俺がノンケだったから?」
「うん、僕好きになったからその人がいい、って感じで多分バイセクシュアルなんだ」
ちゃんと話さなければわからないこともある、と今回のはるとの数日間ですごく学んだ。だから思ってたことは全て共有することにする。
「そうだったんだ、過去にも男を好きになったことあるの?」
「初恋が小学校の担任の先生だったんだ……あとは中学時代の先輩とか……女性はそこまでだったかな?そう考えるとバイなのかも怪しいや」
「……付き合ってたことは?」
「はるが初めて、だって中学の先輩もノンケだったし。だからそう言うのもあって不安だったんです」
「はぁぁ……よかった俺が璃斗の最初で最後の男なんだ……」
だから、ちゃんと付き合えてすごく幸せなのだ。
それにしても不穏だ。はるってもしかして執着するタイプ……?
「そう言うはるこそどうなんですか?言っておくけど、結構重い方だって自覚はあるよ」
「女子に告白されても付き合ったことなんてないし、男は言わずもがな。だから俺も璃斗が最初で最後だよ、嬉しい?」
「うん、とっても。今すぐキスしたいくらいには」
「璃斗のファーストキスもらっていいの?」
「何を当たり前のことを……ファーストだけじゃなくこの先もずっと貴方がいいです」
「俺、プロポーズされてる……?」
あんなに王子様と言われてモテていた男が、男はもちろん女性も知らないだなんて。
顔には出さないが、心の内では仄暗い感情が沸々と湧き上がっている。
「ふふ、今の法律じゃ婚姻は厳しいですがパートナーシップなら結べますね」
「じゃぁ絶対に結ばないとね」
「結んでもらわないと困ります。これからずっと一緒、ですよ?」
「あはは、もちろん。離れるとか許さないから」
そう言い唇に触れるだけのキスをし、重い約束をする。
僕たちまだ高校生なのにね?いつか、ひっそりと二人きりで暮らすのが夢だ。
そのためにも大学受験を頑張らないと……はるはどこを受けるのだろうか?一緒のところに通うのは、何を学びたいかで変わってくるからあまり同じ大学を目指すことは視野に入れないでおこう。
「あおになんて報告しよっか」
「碧維が家に帰ってきたら、ビデオ通話でもかけてみる?」
「何それ面白そう、賛成」
あおのことだし、「お泊まりとか仲間はずれひどい〜!!!」なんて言ってきそうな感じもあるがしっかり祝福してくれるだろう。
