兄はまだ少し仕事があるから、と自室へと戻っていった。
僕とはるは、はるの寝巻きを探すために僕の部屋へと行く。
はるを先に部屋に入れ、扉を閉める。一度深呼吸をして……
「改めて、こっちが僕の素。日曜日ぶりだね?」
「最初は親戚とかだと思ったけど、璃斗本人だったんだね」
「そう、あの時は僕もはるの事気づいてなくってさ、次の日教室で会ってやっと誰か思い出したんだ」
「誰かと似てるな、って俺はなって次の日璃斗に会って、璃斗に似てるってなった」
「そうだったんだ……だとしてもいつ気づいたの?」
そう。そこが僕には不思議で仕方がない。
雰囲気が似てる、それは僕だからまだわかる。知り合いとかにもバレたくないからコスプレレベルで顔を作ったはずなのだが……
「ところどころ、璃斗が素を出してくれたでしょ?」
「そういう。バレたくんなかったのに、結局僕の身から出た錆なんだねぇ」
「でも、あの委員長璃斗も璃斗なんでしょ?」
「……そうですね。外敵から身を守るための一種の毛皮……と言いましょうか」
「そっか、でもまずは体を温めるところからだから、この話は後で色々聞かせてね」
「もちろんです」
彼は、素の僕も学校での僕もどちらも、ちゃんと僕自身だって言ってくれた。
嬉しい。素でいることが嫌になってしまった僕の、作り上げた僕が『もし、ギャルじゃなかったら』というキャラクター。
はるにはどちらの僕でも接したいと思ってしまった。
(はるには、ちゃんと僕という人間を知ってほしい)
ちゃんと後で話さなきゃ。そんなことを思いながらも、はるのためにクローゼットを開けて寝巻きを探す。
「ね〜はるはどんなの着たい?」
「可愛すぎなければいいかな」
「ん〜このシマシマのパーカーみたいなのどうです?」
「短パン似合うと思う……?」
「うん似合う。はるの事ずっとワンコ見たいって思ってたからかわいいよ」
この際、思ってたことは全て口にしようと思う。
にしても残念。動物の耳の付いたのとか着せたかったな。
「ワンコ……もう喜んでくれるならなんでもいいや」
「あはは、諦めちゃった。ほらほら決まったしお風呂行こ〜」
「抵抗とかないの?」
「ん〜、ないかなむしろ役得?」
そう、別に一緒に入ることへの抵抗はない。恥ずかしさはあるけど、一緒に入れることへの嬉しさの方が勝る。
今日の寝巻きを持って一階へと降りていき、お風呂場へと案内する。
「ここが洗面所兼脱衣所ね、脱いだのはこのカゴに入れてね。ちょっと心配なものはネットに入れちゃって〜」
「わかった、ありがとう」
「歯ブラシは来客用の使い捨てがあるからこれ使ってね」
「何から何まで申し訳ない……」
「全然気にしないで、さ入ろ」
◇◇◇ ◇◇◇
お風呂場は兄がお風呂を沸かしてくれたからか、湯気がもくもくとしている。
浴槽の蓋を開けると、白く濁ったお湯が出てきた。きっと兄が入浴剤でも入れたのだろう。
「あは、瑠夏兄ってば用意周到」
「ちょっとありがたいかも」
「じゃん、これが僕のお風呂セット!はるは特別に使っていーよ」
「璃斗と同じ匂いになれるんだ……嬉しい」
どうせお風呂に入るなら、両親たちが使ってるものではなく僕が普段愛用しているもの使って、僕と同じ匂いになって欲しい。
僕好みの匂いだから、少し甘めの匂いがするが大丈夫だろうか?
「これがボディソープね、泡立てボールで泡立ててから使って」
「わかった。わ、いい匂い……」
「ふふ、でしょ?全部こんな感じの甘めの匂いだけど大丈夫?」
「うん大丈夫、むしろ匂いの好み近いかも」
「ほんと?!よかった〜」
はるがシャワーでサッと身体を清め、もこもこと泡立てボールで泡立てているのを横目に、僕もシャワーで身体を清める。
もこもこ泡を堪能してるはるが可愛くて、「ふふ」、と思わず笑ってしまう。
「もこもこ楽し?」
「うん……高校生にもなって泡ではしゃいじゃってごめんね」
「ううん、可愛くていいと思う。僕の前でははるも素のはるでいてね」
「ありがと、璃斗……あの俺、」
その先に続く言葉が、はるの目を見れば伝わってくる。
だから、泡のついてない指で唇にチョン__ってして……
「その先はまだ、だよ。後で話すときに、ね?」
好きな人からの告白がお風呂では、僕的には少しロマンチックさに欠ける。
本当はデートの後とかが嬉しいけど、今回はお家デートみたいなものだ好きなものに囲まれて、好きな人と……すごく嬉しい展開だ。
「ん、わかった……あ、シャワー欲しい」
「はいは〜い、どーぞ。あ、流したらこれ使ってねボディスクラブ!お肌つるすべになるんだ〜♪」
「へ〜、初めて使うかも。姉さんたちがなんか盛り上がってたのは聞いたことあるけど」
「そっかはるお姉さんいるんだったね」
僕も、もこもこ、と泡を泡立てて身体を洗う。
何回匂いを嗅いでもいい匂い。
(えへへ、はるも今この匂いなんだ……♪)
「えっと、これって洗い流せばいいの?」
「うん、しっかり洗い流してねぇ」
「璃斗いつもケアしてるの?」
「そうだよ、毎日ケアしないとつるすべ肌保てないからね……それに、自分磨きが趣味ってのもあるから」
「毎日継続できてるのすごいや……だからあの時も璃斗からいい香りがしたんだね」
自分の中では当たり前のことなのに褒めてもらえると、こんなに嬉しいんだ。
あの時、いい香りって思ってくれてたんだ……第一印象のままだったらキレてたかもだけど、今ならすごく嬉しく感じる。
好きな人から好まれる匂いになれたんだ……嬉しい。
「いい匂いって思ってくれてたんだ?あの日のは、香水だと思うから後で教えてあげるね」
「ふふ、いっぱい璃斗の事知れる」
「これから嫌というほど教えるから覚悟してね。あ、シャンプーはこれねで、トリートメントがこっち流せるのだからちゃんと流してね」
「望むところだよ。うん、わかったよ」
◇◇◇ ◇◇◇
我が家のお風呂は二人までなら入れる広さの浴槽をしている、だが二人して足を伸ばすのは厳しいので恋人同士がするみたく、僕がはるの足の間へと座ることで冷えた身体を浴槽で温めた。
その間もたくさん話した。一年生の頃はこうだったとか、昔はこういうことがあったとか、他愛のない会話をした。
ヘアケアもしっかりさせてからヘアドライヤーで乾かさせた。ここ最近のはると比べるとずっとふわふわの髪の毛で思わず撫でくりまわしたくなる。
「ねぇ、後で頭触らせて」
「いいけど……なんで?」
「いつもよりふわふわしてて可愛いから、僕がこれを育てたと思うと誇らしい」
「そんなことで喜んでくれるならいいよ、いっぱい触って」
頭を触らせてもらえる許可が出てすごく嬉しい。
脱衣所から出ると兄が待っていた。
「あれ、瑠夏兄盗み聞き?変態……」
「璃斗からの罵倒ならご褒美だよ♡じゃなくて、お兄ちゃんちょっと明真くんと話したいから借りてもいいかな?終わり次第夕飯の準備手伝うよ」
「えっといいけど、はるは大丈夫?手伝いは嬉しいありがと」
「大丈夫だよ、ぜひ俺からもお願いします」
「ふふ、同じようでよかったここじゃなんだし、僕の部屋で話そう大丈夫悪いようにはしないよ」
兄にはるを連れて行かれてしまった。
仕方がないので、今日の夕飯のメニューを考えようと気持ちを切り替えて冷蔵庫へと向かう。
(折角はるが泊まるんだからちょっと豪華な夕飯にしたいな……ビーフシチューでも作ろうかな)
(牛肉あったっけ……ワインは両親の趣味だからワインセラーから貰えばいいけど)
冷蔵庫を開き、ビーフシチューの材料をキョロキョロと探し始める。
必要な材料は全てあった。サラダはもちろん、たまにはデザートも作ってみようかな。
(ふふ、喜んでくれると嬉しいな)
僕とはるは、はるの寝巻きを探すために僕の部屋へと行く。
はるを先に部屋に入れ、扉を閉める。一度深呼吸をして……
「改めて、こっちが僕の素。日曜日ぶりだね?」
「最初は親戚とかだと思ったけど、璃斗本人だったんだね」
「そう、あの時は僕もはるの事気づいてなくってさ、次の日教室で会ってやっと誰か思い出したんだ」
「誰かと似てるな、って俺はなって次の日璃斗に会って、璃斗に似てるってなった」
「そうだったんだ……だとしてもいつ気づいたの?」
そう。そこが僕には不思議で仕方がない。
雰囲気が似てる、それは僕だからまだわかる。知り合いとかにもバレたくないからコスプレレベルで顔を作ったはずなのだが……
「ところどころ、璃斗が素を出してくれたでしょ?」
「そういう。バレたくんなかったのに、結局僕の身から出た錆なんだねぇ」
「でも、あの委員長璃斗も璃斗なんでしょ?」
「……そうですね。外敵から身を守るための一種の毛皮……と言いましょうか」
「そっか、でもまずは体を温めるところからだから、この話は後で色々聞かせてね」
「もちろんです」
彼は、素の僕も学校での僕もどちらも、ちゃんと僕自身だって言ってくれた。
嬉しい。素でいることが嫌になってしまった僕の、作り上げた僕が『もし、ギャルじゃなかったら』というキャラクター。
はるにはどちらの僕でも接したいと思ってしまった。
(はるには、ちゃんと僕という人間を知ってほしい)
ちゃんと後で話さなきゃ。そんなことを思いながらも、はるのためにクローゼットを開けて寝巻きを探す。
「ね〜はるはどんなの着たい?」
「可愛すぎなければいいかな」
「ん〜このシマシマのパーカーみたいなのどうです?」
「短パン似合うと思う……?」
「うん似合う。はるの事ずっとワンコ見たいって思ってたからかわいいよ」
この際、思ってたことは全て口にしようと思う。
にしても残念。動物の耳の付いたのとか着せたかったな。
「ワンコ……もう喜んでくれるならなんでもいいや」
「あはは、諦めちゃった。ほらほら決まったしお風呂行こ〜」
「抵抗とかないの?」
「ん〜、ないかなむしろ役得?」
そう、別に一緒に入ることへの抵抗はない。恥ずかしさはあるけど、一緒に入れることへの嬉しさの方が勝る。
今日の寝巻きを持って一階へと降りていき、お風呂場へと案内する。
「ここが洗面所兼脱衣所ね、脱いだのはこのカゴに入れてね。ちょっと心配なものはネットに入れちゃって〜」
「わかった、ありがとう」
「歯ブラシは来客用の使い捨てがあるからこれ使ってね」
「何から何まで申し訳ない……」
「全然気にしないで、さ入ろ」
◇◇◇ ◇◇◇
お風呂場は兄がお風呂を沸かしてくれたからか、湯気がもくもくとしている。
浴槽の蓋を開けると、白く濁ったお湯が出てきた。きっと兄が入浴剤でも入れたのだろう。
「あは、瑠夏兄ってば用意周到」
「ちょっとありがたいかも」
「じゃん、これが僕のお風呂セット!はるは特別に使っていーよ」
「璃斗と同じ匂いになれるんだ……嬉しい」
どうせお風呂に入るなら、両親たちが使ってるものではなく僕が普段愛用しているもの使って、僕と同じ匂いになって欲しい。
僕好みの匂いだから、少し甘めの匂いがするが大丈夫だろうか?
「これがボディソープね、泡立てボールで泡立ててから使って」
「わかった。わ、いい匂い……」
「ふふ、でしょ?全部こんな感じの甘めの匂いだけど大丈夫?」
「うん大丈夫、むしろ匂いの好み近いかも」
「ほんと?!よかった〜」
はるがシャワーでサッと身体を清め、もこもこと泡立てボールで泡立てているのを横目に、僕もシャワーで身体を清める。
もこもこ泡を堪能してるはるが可愛くて、「ふふ」、と思わず笑ってしまう。
「もこもこ楽し?」
「うん……高校生にもなって泡ではしゃいじゃってごめんね」
「ううん、可愛くていいと思う。僕の前でははるも素のはるでいてね」
「ありがと、璃斗……あの俺、」
その先に続く言葉が、はるの目を見れば伝わってくる。
だから、泡のついてない指で唇にチョン__ってして……
「その先はまだ、だよ。後で話すときに、ね?」
好きな人からの告白がお風呂では、僕的には少しロマンチックさに欠ける。
本当はデートの後とかが嬉しいけど、今回はお家デートみたいなものだ好きなものに囲まれて、好きな人と……すごく嬉しい展開だ。
「ん、わかった……あ、シャワー欲しい」
「はいは〜い、どーぞ。あ、流したらこれ使ってねボディスクラブ!お肌つるすべになるんだ〜♪」
「へ〜、初めて使うかも。姉さんたちがなんか盛り上がってたのは聞いたことあるけど」
「そっかはるお姉さんいるんだったね」
僕も、もこもこ、と泡を泡立てて身体を洗う。
何回匂いを嗅いでもいい匂い。
(えへへ、はるも今この匂いなんだ……♪)
「えっと、これって洗い流せばいいの?」
「うん、しっかり洗い流してねぇ」
「璃斗いつもケアしてるの?」
「そうだよ、毎日ケアしないとつるすべ肌保てないからね……それに、自分磨きが趣味ってのもあるから」
「毎日継続できてるのすごいや……だからあの時も璃斗からいい香りがしたんだね」
自分の中では当たり前のことなのに褒めてもらえると、こんなに嬉しいんだ。
あの時、いい香りって思ってくれてたんだ……第一印象のままだったらキレてたかもだけど、今ならすごく嬉しく感じる。
好きな人から好まれる匂いになれたんだ……嬉しい。
「いい匂いって思ってくれてたんだ?あの日のは、香水だと思うから後で教えてあげるね」
「ふふ、いっぱい璃斗の事知れる」
「これから嫌というほど教えるから覚悟してね。あ、シャンプーはこれねで、トリートメントがこっち流せるのだからちゃんと流してね」
「望むところだよ。うん、わかったよ」
◇◇◇ ◇◇◇
我が家のお風呂は二人までなら入れる広さの浴槽をしている、だが二人して足を伸ばすのは厳しいので恋人同士がするみたく、僕がはるの足の間へと座ることで冷えた身体を浴槽で温めた。
その間もたくさん話した。一年生の頃はこうだったとか、昔はこういうことがあったとか、他愛のない会話をした。
ヘアケアもしっかりさせてからヘアドライヤーで乾かさせた。ここ最近のはると比べるとずっとふわふわの髪の毛で思わず撫でくりまわしたくなる。
「ねぇ、後で頭触らせて」
「いいけど……なんで?」
「いつもよりふわふわしてて可愛いから、僕がこれを育てたと思うと誇らしい」
「そんなことで喜んでくれるならいいよ、いっぱい触って」
頭を触らせてもらえる許可が出てすごく嬉しい。
脱衣所から出ると兄が待っていた。
「あれ、瑠夏兄盗み聞き?変態……」
「璃斗からの罵倒ならご褒美だよ♡じゃなくて、お兄ちゃんちょっと明真くんと話したいから借りてもいいかな?終わり次第夕飯の準備手伝うよ」
「えっといいけど、はるは大丈夫?手伝いは嬉しいありがと」
「大丈夫だよ、ぜひ俺からもお願いします」
「ふふ、同じようでよかったここじゃなんだし、僕の部屋で話そう大丈夫悪いようにはしないよ」
兄にはるを連れて行かれてしまった。
仕方がないので、今日の夕飯のメニューを考えようと気持ちを切り替えて冷蔵庫へと向かう。
(折角はるが泊まるんだからちょっと豪華な夕飯にしたいな……ビーフシチューでも作ろうかな)
(牛肉あったっけ……ワインは両親の趣味だからワインセラーから貰えばいいけど)
冷蔵庫を開き、ビーフシチューの材料をキョロキョロと探し始める。
必要な材料は全てあった。サラダはもちろん、たまにはデザートも作ってみようかな。
(ふふ、喜んでくれると嬉しいな)
