龍と悪女の運命の契り

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ざわざわ。ヒソヒソ。

「まあ見て、藍子様よ。今日もいらっしゃってるわ」

当たり前でしょ。何よ、その薄気味悪いものを見るような目は。あなたに何か問題でも?

「何しに来たのかしら。愛莉様を治せなかったくせに」

見ての通りお見舞いに来たのよ、バカね。まあ、治せなかったのは詫びるけど、それが今と何か関係があるの?

「相変わらずむすっとした顔をしているわ。きっと家に居場所がないのよ、お可哀想に」

「しっ!もう少し声の音量を下げて。藍子様に聞こえてしまうわ…!」

とっくに聞こえてますよ、醜女共。いちいち陰口を言わなきゃやってられないなんて、そっちこそお可哀想。


私は聞こえていないフリをしながら、病院の廊下を堂々と進んでいき、一つの部屋の前で立ち止まった。

『京極 愛莉様』と書かれているドアをコンコンと、出来るだけ優しくノックする。

「私よ、藍子。入っても良い?」

静かながらも、凛とした声を発する。

「どうぞ…」

中からは前よりも細く、弱々しい声が聞こえた。

ゆっくりと、中にいる妹——愛莉に当たり障りが無いようにドアを開ける。

中に入り、また同じようにしてドアを閉めた。

個室の部屋には、澄んだ空気と心地よい静寂に満たされている。

ベッドには、また一段と細くなった愛莉が寝ていた。

だが、その目はしっかりと私を見ていた。

「…体の具合はどう?」

「うん、前より全然良くなったよ」

にこっ。

愛莉が嬉しそうに笑顔を浮かべる。

……嘘ね。

見て分かる。

私を心配させないために、わざと元気に振る舞ってる。

私がそんな事も分かっていないと思う?流石に落ちぶれすぎよ。

愛莉は、本当に優しい子ね。

私はその間、少し昔の事を思い出していた。