龍と悪女の運命の契り

***

コンコン。

「龍園様」

「何だ?」

「きょうご…龍園藍子様がおいでです」

「わかっ…え、藍子?」

扉の向こうから戸惑っている玲一の声が聞こえる。

まあ、当然よね。

「入るわよ」

案内人が自分の立ち位置に戻っていくのを確認し、私は遠慮なく玲一の仕事部屋の扉を開ける。

玲一が珍しくオロオロしてうろたえている。

「あ、藍子急にどうしたんだ、何かあったのか?」

「いいえ、何も」

玲一の問いに即答する。

私の返事に、玲一の右肩ががくっと落ちた。

「あ、藍子、悪いが帰って——」

「帰るつもりはさらさらないわ」

「なっ」

「玲一の仕事を早く終わらせに来たのよ」

「え…?いやありがたいとは思うが、なぜ急に?」

「ただの気まぐれよ」

「…理由になっているようでなっていないぞ」

何か言っている玲一を無視し、私は勝手に書類仕事などを終わらせていく。

玲一はため息をつきながらも、仕事机の前にある椅子に座った。