***
そして、玲一と結婚してから、一日、三日、一週間と経ち、あと三日というところまできた。
玲斗の肺は結婚して翌日、すぐに治す事ができたものの、玲一がどんなに調べても、愛莉の病の原因は分からない日が続いた。
いつも通り玲一は仕事に出かけていき、私はなぜか玲斗の遊び相手になるのが日常茶飯事になっていた。
「姉ちゃん、いくよ〜!」
「どうぞ」
「ワン、ツー、スリー!」
玲斗の掛け声と同時に、玲斗のシルクハットの中から、2羽の鳩が飛び出してきた。
その内1羽は私の肩にとまり、もう1羽は玲斗の差し出した右手の人差し指に止まった。
私は玲斗に向かって微笑む。
「へえ、なかなかやるじゃない」
「へへ、だろ!」
玲斗がニカっと笑う。
玲斗は、なぜかマジックが得意だ。
そういえば、玲斗のマジックは飽きるほど見させてもらったけど、霊力を使うところは見た事がないわ。
「ねえ、玲斗」
「何だ?」
「玲斗は、霊力を使ってどんな技をできるの?」
「……」
しゅん、と明らかに玲斗のテンションが下がってしまった。
「あ、…聞いてはいけない事だったら、ごめんなさ——」
「俺は」
慌てて謝った私の言葉を、玲斗は遮り、ポツポツと話し始めた。
「霊力を使えない」
「そう…だったのね」
「うん。妖最強の龍園家に生まれたのに、お前は無能だって散々言われて、俺はそれが悔しくて。だから、マジックをできるようにしたんだ。俺だって、できることはあるんだって、証明したくて」
…玲斗のマジックは、大人も顔負けだろうと思うほどだったわ。きっと、相当練習したのね。
「誰も相手にしてくれなかったけど、兄ちゃんだけは違って、いつも俺の気にかけてくれる上に、いじめっ子から庇ってくれたリモしてくれた。一人が嫌で、兄ちゃんにかまってほしくても、兄ちゃんはいつも忙しそうだった」
龍園家の跡取り息子ですものね。私でさえ、愛莉と遊ぶ時間は限られていたのだから、玲一はもっと家にいる時間が少なかったのね。
「でも、かまってもらえるやり方が、当時の俺には分からなかった。だから、あちこちにイタズラを仕掛けたら、かまってもらえて、新しくできるようになったマジックも見てもらえるかと思ったんだ…」
「そういうことだったのね。でも流石に、上から水をかけるのは、ちょっとやりすぎじゃないかしら」
「あ、あれは、今の話関係なく、中々イタズラに引っ掛かんない兄ちゃんにちょっとだけ、ほんのちょっとだけイラッときて…」
見れば玲斗の顔がみるみる内に真っ赤になっていく。
私は思わずフッと吹き出してしまった。
「じゃあ、玲一を今日なるべく早く帰らせ、玲斗のお得意のマジックを披露しましょう」
「え…ホントに、できるのか?」
「ええ。私ができると言ったらできるのよ、良い?」
「で、でも、兄ちゃん仕事で忙しいんじゃ…」
「では、こうしましょう。玲斗は今日の夜、玲一が帰るまでにマジックの準備をする。私はすぐに仕事が終わるように、今から玲一の仕事を手伝いに行く。これでどうかしら?」
「良いけど、仕事の手伝いって、姉ちゃん、政治とか分かんの?」
「ああ、言ってなかったわね。京極家にいた頃は、お母様に継いで、私が政治の実権を握っていたの。父はパチンコとかに遊びに行くしか脳のない愚か者だったから」
「へ、へえ…そう」
玲斗の顔が少し引き攣っているが、そこはスルーする事にした。
「では決まりね。使用人には、私が言って聞かせとくわ」
「うん、姉ちゃんありがとう!」
私は自信満々の顔を浮かべ、玲一のいる会社へと向かった。
そして、玲一と結婚してから、一日、三日、一週間と経ち、あと三日というところまできた。
玲斗の肺は結婚して翌日、すぐに治す事ができたものの、玲一がどんなに調べても、愛莉の病の原因は分からない日が続いた。
いつも通り玲一は仕事に出かけていき、私はなぜか玲斗の遊び相手になるのが日常茶飯事になっていた。
「姉ちゃん、いくよ〜!」
「どうぞ」
「ワン、ツー、スリー!」
玲斗の掛け声と同時に、玲斗のシルクハットの中から、2羽の鳩が飛び出してきた。
その内1羽は私の肩にとまり、もう1羽は玲斗の差し出した右手の人差し指に止まった。
私は玲斗に向かって微笑む。
「へえ、なかなかやるじゃない」
「へへ、だろ!」
玲斗がニカっと笑う。
玲斗は、なぜかマジックが得意だ。
そういえば、玲斗のマジックは飽きるほど見させてもらったけど、霊力を使うところは見た事がないわ。
「ねえ、玲斗」
「何だ?」
「玲斗は、霊力を使ってどんな技をできるの?」
「……」
しゅん、と明らかに玲斗のテンションが下がってしまった。
「あ、…聞いてはいけない事だったら、ごめんなさ——」
「俺は」
慌てて謝った私の言葉を、玲斗は遮り、ポツポツと話し始めた。
「霊力を使えない」
「そう…だったのね」
「うん。妖最強の龍園家に生まれたのに、お前は無能だって散々言われて、俺はそれが悔しくて。だから、マジックをできるようにしたんだ。俺だって、できることはあるんだって、証明したくて」
…玲斗のマジックは、大人も顔負けだろうと思うほどだったわ。きっと、相当練習したのね。
「誰も相手にしてくれなかったけど、兄ちゃんだけは違って、いつも俺の気にかけてくれる上に、いじめっ子から庇ってくれたリモしてくれた。一人が嫌で、兄ちゃんにかまってほしくても、兄ちゃんはいつも忙しそうだった」
龍園家の跡取り息子ですものね。私でさえ、愛莉と遊ぶ時間は限られていたのだから、玲一はもっと家にいる時間が少なかったのね。
「でも、かまってもらえるやり方が、当時の俺には分からなかった。だから、あちこちにイタズラを仕掛けたら、かまってもらえて、新しくできるようになったマジックも見てもらえるかと思ったんだ…」
「そういうことだったのね。でも流石に、上から水をかけるのは、ちょっとやりすぎじゃないかしら」
「あ、あれは、今の話関係なく、中々イタズラに引っ掛かんない兄ちゃんにちょっとだけ、ほんのちょっとだけイラッときて…」
見れば玲斗の顔がみるみる内に真っ赤になっていく。
私は思わずフッと吹き出してしまった。
「じゃあ、玲一を今日なるべく早く帰らせ、玲斗のお得意のマジックを披露しましょう」
「え…ホントに、できるのか?」
「ええ。私ができると言ったらできるのよ、良い?」
「で、でも、兄ちゃん仕事で忙しいんじゃ…」
「では、こうしましょう。玲斗は今日の夜、玲一が帰るまでにマジックの準備をする。私はすぐに仕事が終わるように、今から玲一の仕事を手伝いに行く。これでどうかしら?」
「良いけど、仕事の手伝いって、姉ちゃん、政治とか分かんの?」
「ああ、言ってなかったわね。京極家にいた頃は、お母様に継いで、私が政治の実権を握っていたの。父はパチンコとかに遊びに行くしか脳のない愚か者だったから」
「へ、へえ…そう」
玲斗の顔が少し引き攣っているが、そこはスルーする事にした。
「では決まりね。使用人には、私が言って聞かせとくわ」
「うん、姉ちゃんありがとう!」
私は自信満々の顔を浮かべ、玲一のいる会社へと向かった。

