空欄の五月

青春・恋愛

OHMY/著
空欄の五月
作品番号
1785991
最終更新
2026/07/03
総文字数
0
ページ数
0ページ
ステータス
未完結
いいね数
0
六月の函館は、夜になるとまだ肌寒い。寮の部屋で、椎名斗環はスマートフォンの画面を見つめていた。
「体調には気をつけてね」
別れた恋人・琉菜から届いた、最後のメッセージ。それだけの言葉に、もう一ヶ月も返信できずにいる。
中学二年の春、斗環は恋人だった琉花を事故で失った。明るくて、少し不器用で、隣にいるのが当たり前だと思っていた人だった。残された斗環のそばに、いつの間にか寄り添っていたのは、琉花の双子の妹・琉菜だった。
同じ喪失を抱えたふたりは、悲しみを分け合うように近づき、恋人になる。けれど函館の高校に進んだ斗環と、東京に残った琉菜は、少しずつ会えない時間を重ねていく。電話越しの声、既読のつかないメッセージ、次に会える日を数える日々。そのどれもが、確かに恋だったはずなのに、斗環の胸にはいつからか、答えの出ない問いが残り続けていた。
自分が愛していたのは、本当に琉菜だったのか。
それとも、琉花を失った空白を、琉菜という形で埋めていただけなのか。
春、ふたりは別れを選ぶ。
そして今、返せなかった一言だけが、斗環の画面に残っている。返信できないまま、斗環は三人で過ごした季節を、琉菜を愛したはずの時間を、もう一度辿り直していく。
これは、救いにも、代わりにもなりきれなかった、ひとつの恋の話。
あらすじ
失った恋人の双子の妹を愛したのは、救いだったのか、代わりだったのか。中学生の斗環は、恋人・琉花を事故で失い、その喪失を琉花の妹・琉菜と分け合うように生きてきた。二人は恋人になり、やがて函館と東京で離れて過ごす。けれど別れから一ヶ月後、琉菜が最後に送った一言にだけ、斗環はどうしても返信できずにいる。返せるはずの言葉を返せないまま、斗環は三人で過ごした季節と、琉菜を愛したはずの時間を辿り直していく。

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