お飾り妻は、氷の旦那様に甘やかされる。

「あの、一つ質問があるのですが」

「ん?なんだ」

そう彼が帰ってしまったということは『アレ』をしなければならなくなったのだ。

「あの、初夜ってなくたりしませんか?」

「んん!?」

 旦那様は、急にせき込み始めた。そして、数秒で無表情へと戻っている。と思いきや、眉がピクピクと動いている。この人のどこが無表情なのだろう。

「そりゃ、こちらも願っていたことだが、、、」

何やら奇妙なものを見るような目でこちらを見てくる。目は正直なようだ。

「君に、恥じらいというのはないのか?」

「それこそ、初対面の人とする方がどうなんです?」

「いや、政略結婚ならありがちなことだと思うのだが」

「これは契約結婚でしょう?ならば、こういうことは大切だと思います。なので、きっちりルールを決めてしまいましょう」

「それはこちらが出そうとしていたのだが、君は何かあるのか?」

始めは驚いていた旦那様も、慣れてきたのか、それとも受け入れ始めたのか、スムーズに契約内容が決まっていった。

「では、互いに踏み込まないこと、仕事関連には協力し合うこと、夫婦の嗜みはしない、必要最低限に触れないこと、以上でよろしいですか?」

「ああ、これからよろしく頼む、月葉(つきは)

「こちらこそ、よろしくお願いします。・・・・お名前ってなんというのですか?」

「嘘だろ、、、。一度も会ってないとはいえ、一様夫婦だよな?」

「この屋敷では旦那様の名前を一度も聞いたことありませんでしたし、名前を知りたいとは思っていなかったので」

「・・・・」

旦那様がだまりこんでしまった。

そんなに名前を知っていてほしかったのだろうか?

「私の名前は、竜胆藍(りんどうあおい)という。一年間夫としてよろしく頼む」

「こちらこそ、妻としてできる限りは支えるつもりではあるので、よろしくお願いします」

離婚が成立した後の生活を想像すると、楽しみすぎて思わず笑顔になる。

そのまま、自分の部屋へと戻る。後ろで固まっている旦那様を置き去りにして。