「旦那様、祝言をあげてから一度も奥様にお会いしてないそうよ」
「それじゃあ、奥様と旦那様は初夜もしてないってこと?」
「そうなのよ」
「じゃあ、奥様は『お飾り妻』なのね」
今日も噂好きな女中たちは、話に花を咲かせている。
その話が耳に入るたび、思うことがある。
(はやく、この家を出て平穏に暮らしたい!)
叶うわけがないのだと知っている。なぜなら、この結婚は政略結婚であるからだ。
数か月前、私はお父様に呼び出された。今まで家族と言えるほどのことは一度もしてもらえなかった。
というか、家族だと思っていないのだろう。父は母と結婚した後、私が生まれた。だけど、そのことにより母は体調を崩してしまい、もう子供産めるような体ではなくなった。跡継ぎを産めない母と女の私を離れに住まわせた。
私が十歳の時、母は亡くなった。離れには、私と母とそして仲の良かった使用人が数人ほどが住んでいた。だが、母が死んだことによって使用人たちは解雇され、私は一人になった。そして、父は母が死んだことを理由に後妻を迎えた。
それから、六年ほどは一人離れで住んでいた。独りになる私を哀れんだ使用にたちが洗濯や料理を教えてくれた。そのおかげか、一人で生きてこれた。
「お前にはある家に嫁いでもらう」
父の言葉に、絶望しなかった。もともと、親だと思っていなかったというのもあるが、なんとなく自分の未来は想像できていた。
「・・・わかりました」
「祝言は一週間後だ」
それだけ言って、父は仕事に戻った。
離れで一人で住んでいたと言っても母が生前に一通りマナーなどは教わっていた。一週間でマナーを詰めることもないだろうし、中学では学年一位の座を確保し続けていた。一週間は、ほんとに何もしなくてよさそうだ。
そう思って、軽い足取りで離れに戻ろうした。だが、離れに戻る途中に女中たちに遭遇してしまった。
「お嬢様、祝言はあと一週間しかありません。その間に着物をいくつか買うと旦那様から申し付けられております。なので、こちらに」
女中が笑顔で指しているのは、玄関を出てすぐに止めてあるだろう車。思わずため息を吐きたくなるのを我慢し、ニコッと女中に笑いかける。
「別に、私が行く必要がありますか?」
「お嬢様の着物を買うのですよ?」
女中の昔ながらの者たちは解雇されてしまった後、新しい人たちが入ってきた。その人たちは大っぴらに私を助けてくれることはなかったが、話し相手になってくれたり、父が見ていない所で食事を分けてくれたり、お世話になった。
かれこれ、六年ほどの付き合いになる。そのせいだろう。私が考えていることが分かるのか、父の執務室から出てすぐのところで待機していた。
「どうせ、冷遇されるんだから別になんでもいいと思うのだけれど」
「そんなことを言ってはなりませんよ。一つ報告があります。あちらの家に嫁ぐとき、私もご一緒することになりました。よろしくお願いします」
彼女は、鈴。私より五歳年上であり私の考えてることがバレてしまっている人物の一人である。そして、彼女は自分に厳しければ、他人にも厳しい。だから、屋敷の使用人のから信頼を得ている。
「こちらこそ、お願いします。ということで、部屋に帰らせてもらい・・・っ!」
逃げようとした瞬間、服の襟をつかまれそのまま、引きずられるように車に乗せられたのだった。 こうして、鈴が私を引きずり回したおかげなのか、予定通りに祝言があげられてしまった。
祝言は、すごく気まずかった。なぜなら、私の夫となる相手がいなかったからだ。そんな祝言だったからだろう。夜遅くまで酒を交わすのではなく、すぐにお開きなったのは。
私は旦那様の顔を知らずに、嫁いだ。そして、一度も会っていないせいだろうか。屋敷中の使用人が私のことを「お飾り妻」と言われるようになった。
「奥様、どうします?御父上に申し、顔を見せるように言いつけますか?」
「そんなことしてももっと噂がじ、鈴が私を引きずり回したおかげなのか、予定通りに祝言があげられてしまった。
祝言は、すごく気まずかった。なぜなら、私の夫となる相手がいなかったからだ。そんな祝言だったからだろう。夜遅くまで酒を交わすのではなく、すぐにお開きなったのは。
私は旦那様の顔を知らずに、嫁いだ。そして、一度も会っていないせいだろうか。屋敷中の使用人が私のことを「お飾り妻」と言われるようになった。
「奥様、どうします?御父上に申し、顔を見せるように言いつけますか?」
「そんなことしてももっと噂が増長するだけよ」
「それはそうですね。軽薄な考えでした。すみません」
「いいよ。別に」
どうせ、”初対面”な夫婦なことには変わりはしない。そんな相手を愛せ、なんて言われたら私だって嫌。というか、祝言にも来ない男の人ってどんなひとなのだろう?
噂では、冷静沈着で綺麗な顔立ちだという。そして、切れ長の瞳は常に冷たい温度。そんな私の旦那様は「氷の魔王」だった気がする。氷のように冷たく、泣く子も黙る?魔王。そう言われてた・・・はず。
「この結婚って意味があると思いますか?」
「御父上がそうおっしゃったのからには意味があるのだと思いますが」
もし、逃げたとしてもお父様が使える力を全て駆使し、私を連れ戻すだろうし、お金なんてないから逃げ出した先で幸せに生きていけるわけでもない。
そんなこんなで旦那様とは一年ほど顔を合せなかった。
「それじゃあ、奥様と旦那様は初夜もしてないってこと?」
「そうなのよ」
「じゃあ、奥様は『お飾り妻』なのね」
今日も噂好きな女中たちは、話に花を咲かせている。
その話が耳に入るたび、思うことがある。
(はやく、この家を出て平穏に暮らしたい!)
叶うわけがないのだと知っている。なぜなら、この結婚は政略結婚であるからだ。
数か月前、私はお父様に呼び出された。今まで家族と言えるほどのことは一度もしてもらえなかった。
というか、家族だと思っていないのだろう。父は母と結婚した後、私が生まれた。だけど、そのことにより母は体調を崩してしまい、もう子供産めるような体ではなくなった。跡継ぎを産めない母と女の私を離れに住まわせた。
私が十歳の時、母は亡くなった。離れには、私と母とそして仲の良かった使用人が数人ほどが住んでいた。だが、母が死んだことによって使用人たちは解雇され、私は一人になった。そして、父は母が死んだことを理由に後妻を迎えた。
それから、六年ほどは一人離れで住んでいた。独りになる私を哀れんだ使用にたちが洗濯や料理を教えてくれた。そのおかげか、一人で生きてこれた。
「お前にはある家に嫁いでもらう」
父の言葉に、絶望しなかった。もともと、親だと思っていなかったというのもあるが、なんとなく自分の未来は想像できていた。
「・・・わかりました」
「祝言は一週間後だ」
それだけ言って、父は仕事に戻った。
離れで一人で住んでいたと言っても母が生前に一通りマナーなどは教わっていた。一週間でマナーを詰めることもないだろうし、中学では学年一位の座を確保し続けていた。一週間は、ほんとに何もしなくてよさそうだ。
そう思って、軽い足取りで離れに戻ろうした。だが、離れに戻る途中に女中たちに遭遇してしまった。
「お嬢様、祝言はあと一週間しかありません。その間に着物をいくつか買うと旦那様から申し付けられております。なので、こちらに」
女中が笑顔で指しているのは、玄関を出てすぐに止めてあるだろう車。思わずため息を吐きたくなるのを我慢し、ニコッと女中に笑いかける。
「別に、私が行く必要がありますか?」
「お嬢様の着物を買うのですよ?」
女中の昔ながらの者たちは解雇されてしまった後、新しい人たちが入ってきた。その人たちは大っぴらに私を助けてくれることはなかったが、話し相手になってくれたり、父が見ていない所で食事を分けてくれたり、お世話になった。
かれこれ、六年ほどの付き合いになる。そのせいだろう。私が考えていることが分かるのか、父の執務室から出てすぐのところで待機していた。
「どうせ、冷遇されるんだから別になんでもいいと思うのだけれど」
「そんなことを言ってはなりませんよ。一つ報告があります。あちらの家に嫁ぐとき、私もご一緒することになりました。よろしくお願いします」
彼女は、鈴。私より五歳年上であり私の考えてることがバレてしまっている人物の一人である。そして、彼女は自分に厳しければ、他人にも厳しい。だから、屋敷の使用人のから信頼を得ている。
「こちらこそ、お願いします。ということで、部屋に帰らせてもらい・・・っ!」
逃げようとした瞬間、服の襟をつかまれそのまま、引きずられるように車に乗せられたのだった。 こうして、鈴が私を引きずり回したおかげなのか、予定通りに祝言があげられてしまった。
祝言は、すごく気まずかった。なぜなら、私の夫となる相手がいなかったからだ。そんな祝言だったからだろう。夜遅くまで酒を交わすのではなく、すぐにお開きなったのは。
私は旦那様の顔を知らずに、嫁いだ。そして、一度も会っていないせいだろうか。屋敷中の使用人が私のことを「お飾り妻」と言われるようになった。
「奥様、どうします?御父上に申し、顔を見せるように言いつけますか?」
「そんなことしてももっと噂がじ、鈴が私を引きずり回したおかげなのか、予定通りに祝言があげられてしまった。
祝言は、すごく気まずかった。なぜなら、私の夫となる相手がいなかったからだ。そんな祝言だったからだろう。夜遅くまで酒を交わすのではなく、すぐにお開きなったのは。
私は旦那様の顔を知らずに、嫁いだ。そして、一度も会っていないせいだろうか。屋敷中の使用人が私のことを「お飾り妻」と言われるようになった。
「奥様、どうします?御父上に申し、顔を見せるように言いつけますか?」
「そんなことしてももっと噂が増長するだけよ」
「それはそうですね。軽薄な考えでした。すみません」
「いいよ。別に」
どうせ、”初対面”な夫婦なことには変わりはしない。そんな相手を愛せ、なんて言われたら私だって嫌。というか、祝言にも来ない男の人ってどんなひとなのだろう?
噂では、冷静沈着で綺麗な顔立ちだという。そして、切れ長の瞳は常に冷たい温度。そんな私の旦那様は「氷の魔王」だった気がする。氷のように冷たく、泣く子も黙る?魔王。そう言われてた・・・はず。
「この結婚って意味があると思いますか?」
「御父上がそうおっしゃったのからには意味があるのだと思いますが」
もし、逃げたとしてもお父様が使える力を全て駆使し、私を連れ戻すだろうし、お金なんてないから逃げ出した先で幸せに生きていけるわけでもない。
そんなこんなで旦那様とは一年ほど顔を合せなかった。



