親友になった日

「大丈夫だった?」

「……あ」

呆然としていると、かおりは机に彩夏のスマホを置く。

「ありがとう…私なにも言えなかった」

「気にしないで。あの2人が悪いから」

彩夏はほっと安心する。滲んでいた涙は引っ込んでいた。

「私、篠田かおり(しのだ かおり)。彩夏ちゃんだよね?入学式のときに見てずっと声かけたかったんだ」

「え…そ、そうなの?」

「うん。でも、ずっと読書してるみたいだったから邪魔しちゃ悪いかなーって。そしたら半年経っちゃった」

あはは、と笑いながら話すかおり。
かおりは彩夏の前の椅子を引くと、「富田ー、ここ座っていい?」と許可を貰って座った。

「だって、鞄にリトルライオンつけてるじゃん」

「り、リトルライオン知ってるの…!?」

リトルライオン、とは少しマイナーなキャラクターだ。彩夏は鞄にリトルライオンのぬいぐるみキーホルダーをつけていた。

「知ってるよ〜!SNS漫画もよく読んでるんだ。最近更新された話、読んだ?」

「うん!読んだ!確かリトルライオンが街までクッキーを買いに行って…」

(あれ、私自然に話せてる)

先程まで怖かった感情はどこかへ行っていた。
全てかおりという子のおかけだ。

彩夏の話を、相槌を打ちながら笑顔で聞くかおり。