憂鬱に溺れる

 火球にぶつかって死ねたらどんなにロマンチックだろうね。
 時計塔が崩壊した初夏に僕は生まれた。ふかふかの幻覚は悪魔の落とし物。
 言葉にしたくない感情は言葉にしなかったためにスパンコールの雨にかき消されていった。パステルカラー中毒の箱庭で、しだれ梅の怨念だけが深窓を破るだろう。
 見栄っ張りのボタンを弾いた季節の変わり目に、憂鬱に身を浸し眠る少女の瞼の上で悔恨を歌うてんとう虫。を、眺める僕に、イマジナリーフレンドは囁く。すべてのこたえは心臓に刻まれていますよ。門を飛び出せば雑念と誘惑。手帳に記された想いは偽りに過ぎない。あなたの瞳の中にいる僕だけが本物であったら良かったのに。美しい切手は客間を遊泳、スプーンは黒く染まり、レースは朽ちた。お道具箱のなかで夢を咀嚼し続ける。