23:59 - 恋はいつも、あと1分だった。-

彼を見つけたのは、いつものコンビニだった。

名前は知らない。
ただ、見かけるたびに少しだけ嬉しくなる人だった。

「ありがとうございました。」

レジを終えた彼が財布をしまう。

その瞬間だった。

左薬指に、細いシルバーリングが光った。

ああ。

そうなんだ。

私は勝手に納得した。

勝手に好きになって、

勝手に終わった気になった。

笑ってしまう。

話したこともないのに。

恋ですらなかったのかもしれない。

彼はコンビニを出ていく。

もう見るのはやめよう。

そう思いながら商品を受け取った、そのとき。

レジの店員が言った。

「指輪、見つかってよかったですね。」

振り返る。

彼は困ったように笑っていた。

「妹の結婚式で預かってただけなんです。」

左薬指のリングをくるりと回す。

「サイズ確認頼まれちゃって。」

私は思わず俯いた。

終わったと思った恋は、

まだ始まってすらいなかった。