Publish or Perish  四人の小説家のデスゲーム

 俺には三分以内でやらなければいけないことがあった。
 書き出しが、〇〇には三分以内でやらなければいけないことがあった、で始まり。
 文字数800字以上。
 二つを満たす小説を三分以内で書け。
 書けなければ、死ぬ。
 信じられねえが、本当だ。
 俺の前に、ここに座っていたやつは、死んだ。
 有名な時代小説家だった。 
 速筆で有名で、一分で原稿用紙一枚書けた、と豪語していた。
 だが、駄目だった。
 あのやろー、あきらめやがった。
 あきらめて、両手を上げて、許しをこいたんだ。
 俺は今、必死にキーボードを叩いている。
 今、何文字だ?
 244文字?
 タイマーは?
 残り、二分?
 間に合うか?
 間に合わねえ。
 くそっ、ここはどこなんだ?
 今、俺は、箱の中にいる。透明な箱だ。
 俺の目の前には、モニターがあって、手元にはキーボード、横にはワイヤレスのマウスがある。
 モニターには、ワープロソフトが開いていて、左下に、文字数カウントがついている。
 今は、388文字。
 モニターの左上の方には、タイマーがあって、残り時間は、一分三十秒。
 間に合うか?
 そもそも、これは小説家?
 くそっ、誤字った。
 小説か? だ。
 あの、おいぼれ作家を書いた時の、変換履歴が残って嫌がった。
 まただ、くそっ。
 ここに来て、一体なんだっていうんだ。
 あのジジイが成功していりゃ、俺たちは、ここを出れたのに。
 くそっ、お前は一体なんなんだ、
 目的はなんだ?
 なんの意味がある?
 なんとか言えよ、くそったれ。
 いや、悪かった、許してくれ、
 頼む、そいつを俺に向けないでくれ。
 今何文字?
 627文字
 タイムは
 残り二十秒
 無理だ
 不可能だ
 嫌だ嫌だいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
 670文字
 残り十秒
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない