もともと、私は暗い性格ではなかった。中二の夏休みくらいまでは普通に友達と遊んでいた。けれど、夏休みが終わり文化祭準備が始まった頃から少し変わった。
 私は、友達と準備に取りかかっていた。
 その友達には幼なじみの男の子がいて、学年の中でもかっこいいと噂になっている男の子だ。名前は川上湊というらしい。
 普段は「川ちゃん」や「みなと」などの愛称で呼ばれてたりするので本名はあまり聞かなかった。いわゆる、高嶺の花のような男の子。けれど、好きとか付き合いたいとかの感情は私には無かった。

「粼ちゃん!この風船膨らませといて!空気入れが壊れちゃったの!」
 
「おっけー!やっとくよー!」

 私は小学校の頃からの友達の能城はなちゃんから頼まれた風船を2袋分くらい膨らませていた。その間、はなちゃんは湊くんと生徒会室に文化祭準備の材料を取りに行っていた。

「ふぅ。やっと終わった。」

 6時間目が終わってから風船を膨らませていたが、全部膨らませ終わった時には教室は夕日で赤く染まり、静けさが充満していた。

「そろそろ帰ろうかな。」

 私は頼まれた風船を全て膨らませ終わった事をはなちゃんと湊くんにラインで知らせてから帰ることにした。

「ただいま。」

  「おかえり。ずいぶんと遅かったじゃない。」

  「うん。文化祭の準備があったから。」

  「そうなのね。明日も同じくらい?」
 
  「たぶん。」

 それから自分の部屋に戻り、学校の課題を片付けてから就寝した。

 朝になった。今日は早く目が覚めてしまったようで、窓の外を見てみるとまだ薄暗かった。
 今日はちょうど文化祭準備が最終日だったので早めに家を出てみた。
 学校に着き教室に向かうと、もう教室に誰かいた。湊くんとはなちゃんだった。
 私が教室に入ろうとした時だった。

「湊くん、私ずっと前から…。」

「……ちょっといいか。俺から言わせてくれ。」

「…。」
 
「俺ら、幼稚園くらいから一緒だったよな。」

「うん。あの頃は私たちたくさんケンカしてたよね。どんな理由かは覚えてないけど。」
 
「そうだな。俺、けっこうお前を困らせてたよな。」

「えー?そうだったかな?」

「まぁ、色々あったよな。小学校の頃、お前別の小学校に転校して2年間くらい会えなかっただろ?」

「そうだね。5年生の2学期くらいに戻ったよね。懐かしいよ。」
 
「俺、その2年間ですごく寂しかったんだ。どうすれば会えるかずっと考えてたんだよ。お互い変なプライドがあって連絡先交換もしてなかったし。」

「それは湊くんが無駄に周りの男の子に自慢するからだよ。」

「うん。自慢だった。2年間が寂しくてお前が戻ってきた時に思ったんだ。俺はお前の事を好きだって気付いた。」

「…。」

「俺はお前の事が好きだ。告白するのも、今の話も長くなったけど、お前と付き合いたい。」

「私も。私もだよ。大好きな気持ちは私も一緒。これからもどうぞよろしくお願いします。」

 告白の現場に立ち会ってしまった。
 隠れて聞き耳を立てていたが、まさかの展開にびっくりした。そう思ったのも束の間だった。近くで誰かがすすり泣く声が聞こえた。
 
「…おめでとう。幸せになってください。」

 泣き声がする方を見てみると、女の子が泣きながら走って行ってしまっていた。
 あの子…。