○沙賀羅の過去回想 人の世界の撮影スタジオ・昼
裸眼でブラックコーデの沙賀羅は、ポーズを取り、写真撮影される。
カメラマン「いいよ!」
終了後、スタッフが話しかけてくる。
スタッフ「前回の人気投票で一位だって!本格的に芸能界、目指してみない?」
沙賀羅「ありがとうございます。考えさせて下さい」※クールな笑顔
若者が多い通りを歩く沙賀羅。女子達が見惚れ、こそこそ話す。
沙賀羅(リスクを犯して、人の世界に紛れてみたが……心は動かない。もう、戻るか)※無表情
○沙賀羅の過去回想 人の世界の学校の図書館・夕方(皆、制服)
「初等部学童ボランティア」のゼッケンをつけた葵葉。葵葉を見つめる男友達が、眼鏡の沙賀羅に話しかける。
男友達「あの子、最近決まった巫女姫だろ。二年生だって。可愛いな」
沙賀羅「そうなんだ」(あの子か。巫女と言っても、所詮、神の真似事)
沙賀羅は、人差し指と親指で唇をなぞりながら、葵葉を目で追いかける。
沙賀羅(神である清らかな巫女姫が、妖の物になる。なかなか、面白いショーになりそうだな。奴隷にしたら、いい見せしめになる。あとは、タイミング……か)※冷酷な顔
○沙賀羅の過去回想 学校の図書館の絵本広場・夕方(皆、制服)
ゼッケンをつけた魁人と葵葉が、空っぽの棚の中に体育座りした小学一年生の朝陽を叱りつける。
魁人「そこに入るな。早く出て来い!読み聞かせ、始まるぞ」
朝陽「行かない。ここにいる」
魁人「あ?」
書棚の裏で、腕を組む沙賀羅。
沙賀羅(半妖か?)
葵葉「魁人、行って。朝陽君、新しく届いたばかりの本だから楽しいよ」
不服そうな魁人は、立ち去る。
朝陽「楽しい事なんかない。毎日つまらない」
葵葉「朝陽君、これから楽しい事、いっ~ぱいあるんだよ!友達とテーマパーク行ったり、旅行はどう?まだ、行ってない所あるでしょ?外国も、いいよね!美味しい物もいっぱいあるよ。将来は、得意な事を仕事にして、お金も自由に使って。それで、大好きな人とデートして、結婚……」
葵葉の片目から、涙がこぼれる。
朝陽「なんで、泣いてるの?」※不思議そう
葵葉「目にゴミが入ったみたい」※目をこする
朝陽「……行く」
葵葉「うん!朝陽君、好きな本ある?白雪姫って、知ってる?」※笑顔
○沙賀羅の過去回想 学校の図書館・夕方
葵葉は、人のいない窓辺へ行く。夕日を見て、声を殺して泣き始める。
由夢「葵葉」
声に気づいて、慌てて涙を拭う葵葉。
由夢「こんな所にいたの?帰ろう!」
葵葉は笑顔で頷く。
その様子を、陰から見る沙賀羅。
沙賀羅(「巫女姫様」は儚げで、壊れそうな。壊したいのか、俺は。いや、守りたい?自分でも、よく分からない。自分の物になったら……)
○現在に戻る 洋室(クラシックな家具)・夜
黒い軍服、裸眼の沙賀羅が、椅子に足を組んで、片肘をついて座る。軍服の部下たちと会議を始める。
沙賀羅「決まった。全面報復といこうか」※クール
○学校の中庭 下校・昼
魁人と葵葉が歩く。
○葵葉の回想 沙賀羅邸洋室・朝
軍服、裸眼の沙賀羅。見守る葵葉と紋音。
葵葉「ご無事をお祈りします」
頷く、沙賀羅の横顔。
○現在に戻る
魁人「聞いたか?人の攻撃で、劇場が破壊されたって。勝てるわけないのに。沙賀羅先輩も、叔父さんも参戦してるし」
葵葉「うん」(沙賀羅先輩は、まだ帰って来ない。今の私には、何が出来るだろう)※遠くを見つめる
魁人「俺、最近思いついたんだけど、半妖を隠して、人の世界で暮らしてただろ。葵葉も巫女を隠して、前みたいに暮らせないかって」
葵葉「そんな事出来るのかな」※曖昧な顔
魁人「妖の友達も出来たし、情報収集してみる!」※やる気満々
葵葉「ありがとう。いろいろ、考えてくれて」※薄く笑う
魁人が、葵葉を心配そうに見つめる。
千瑛が来る。
千瑛「お~い、お前たちも、時間あるなら、辰家の撫子を探してくれない?今日は、早帰りのとこ悪いが」
魁人「どこ探したらいいの?なんで、いなくなった?」
千瑛「学校の中。いつもの事だから、本人に聞いて」
葵葉「私は校舎の裏を見て来ます!」
千瑛「よろしく!」
○校舎の裏・昼
探し回る葵葉。
葵葉「撫子さ~ん?誰もいないか」
撫子「くしゅん」
葵葉が見回すと、背後の壁に何かを感じ、振り返る。壁の中に「ポニーテールの額に星のマークがある」撫子と目が合う。
葵葉「あ!」
撫子「あ……」
葵葉「撫子さん!帰りましょう」
撫子「壁の中は、ひんやりして気持ちいい。また、星が読めなくて、怒られて……いずれ、人の世界に逃げるつもり」
葵葉「星を読む?逃げる!?」
撫子「うちの家は、星読みで、政治、戦とかに使われるから、的中率90%にしないといけなくて、めちゃめちゃ難しいの。で、すっごい怒られる。私が間違えたら、誰かが、死ぬなんて、分かってるんだよ!」
葵葉「大変なんですね」※辛そうな顔
撫子「うん」
葵葉「でも、撫子さんのために怒ってくれる家族がいて、少しうらやましい……。あ、余計な事、ごめんなさい!」※焦る
撫子「家族いないの?」
葵葉「今は離れて暮らしていて」
撫子「ごめん。家庭の事情はいろいろあるよね。ねぇ、人の世界、行った事ある?」
葵葉「あ、あります」
撫子「楽しい?」
葵葉「はい!楽しい事いっぱいあります!」
葵葉は、家族や友達の顔が浮かび、寂しげな顔になる。
撫子「庚家の葵葉さんだよね?葵葉って、呼んでいい?話したら、スッキリした!」
葵葉「はい!」※笑顔
撫子が、壁から出てくる。
遠くに、魁人が引く台車の上に、猫の姿の三玖二が、ちょこんとお行儀良く座る。
葵葉(三玖二さん、可愛すぎる)※メロメロ
三玖二「あ、いたぞ!魁人、走れ!葵葉のお手柄か!」
魁人が走り、息切れし、台車が到着。
魁人「すげ―!!」
撫子「ベビーカ―?いや、キャットカ―か」
三玖二「うらやましいだろ?お前を探して、疲れてんだよ!何回目だ!」
魁人「え、俺が押して、ずっと乗ってただけじゃん!」
皆で笑い合う。
葵葉(由夢ちゃんや智也達といるみたい)※笑顔
○沙賀羅邸 縁側・昼
座って、本を開く葵葉。
葵葉(紋音さんが用意しくれた「妖の歴史書」読まないと)
葵葉「人質は、見せしめに串刺しや火あぶり。奴隷……」
葵葉(読まない方がよかった……)※目が横棒
葵葉(ん、妻妾となった場合、人の世界に戻る事はなかった。好きになったら、その人のそばにいたいよね……)
紋音が、お茶とお菓子を持ってくる。
紋音「よろしかったら、どうぞ」
葵葉「紋音さん、いつも、お気遣いありがとうございます」※頭を下げる
紋音「いえ。もうすぐ、沙賀羅様がお帰りになられるはずです。人の世界にひどい嵐が来て、戦どころでは、なくなったようです」
葵葉「ひどい嵐……」※思い悩む
紋音「我が一族も、そのような時は停戦致しますので」
葵葉(早く平和になりますように……。これ以上、悲しむ人が出ませんように)
○学校隣の大きな公園入口近く・下校時
葵葉が歩いていると、大木に隠れながら、(二話で助けた)人である着物の中年男性が、葵葉に手招きする。驚く葵葉は、駆け寄る。
葵葉「あなたは……人の世界に戻れたんですよね?」※心配そうに
中年男性「戻れましたが、ちょっといいですか?」
葵葉「はぁ」
人気のない茂みから、着物を着た若い男性が、二人出てくる。
若い男性1「あなたは巫女姫様ですね?ご安心下さい。私達は、人で、救出に参りました特殊部隊です。妖の世界から戻った人達に、懸賞金をかけて、調査したのです」
葵葉「えっ」
若い男性1「近頃の攻撃も、巫女姫様奪還のためです。さぁ、参りましょう」
葵葉(奪還!え、何?体が何かに触れて、動けない)
葵葉を後ろから抱きしめるショートカットの女性軍人が、透けていた体を現す。
葵葉(乙家の千瑛さんも、前に体が透けてた)※三話の透けた千瑛がよぎる
金髪の短髪、黒い軍服の騎王と銃を構える部下達が、ざっと現れ、囲まれる。騎王が、手の平をかざすと、ビリビリと電流が出る。
騎王「はいはい、そこまで。都の中心で、好きに出来る訳ないだろう。まっ、泳がすのも楽しいよねぇ」
女性軍人「失礼しました。お怪我はないですか?お車をご用意してます。沙賀羅様も、お喜びになるでしょう」※にっこり
騎王「初めまして。雷家の騎王と申します。以後、お見知りおきを」
葵葉「あ、あの」
女性軍人「どうぞ、お車へ」※笑顔
女性軍人に、茫然とした葵葉は連れて行かれる。
人の男達の声「ぎゃぁぁぁ」
緊張した顔の葵葉は、振り返る。
○沙賀羅邸の玄関・夜
裸眼の沙賀羅が軍服のジャケットを脱ぎ、紋音が受け取る。
紋音「お帰りなさいませ。ご無事で何よりです。すぐに、葵葉様をお呼びいたしましょう」
沙賀羅「いい。俺が声をかける」
○葵葉の洋室・夜
ベッドに座り、静かに泣く葵葉(私のせいだ……)
ノックがして、すぐ扉が開く。涙を拭きながら、立ち上ろうとする葵葉。
葵葉「あ、お帰りなさい!ご無事で、よかったです。玄関にお迎えに行くつもりだったのですが」
葵葉(せっかく、先輩が無事に帰って来てくれたのに……)
沙賀羅「ただいま。そのままでいいよ」
葵葉を見ながら、ネクタイを緩め、隣に座る沙賀羅。
沙賀羅「……泣いてたの?」
葵葉「騎王さん達が……」
沙賀羅「分かった?君があの男を助けなかったら、特殊部隊は、死んでなかったかもしれない。えらく弱かったけど」※クール
葵葉「……」※涙がこぼれる
沙賀羅「葵葉、人は神にはなれないんだよ。上の者が、判断を間違えると、取り返しのつかない事になる。覚えておくといい。人は、よくやるけどね」
葵葉「……」※涙を手で拭う
葵葉の肩に手を回して、ぐっと引き寄せ、顔を覗き込む。
沙賀羅「もう、自分を責めてなくていいよ」※微笑む
葵葉は、俯きながら、頷く。
沙賀羅「会いたかった。葵葉の顔、よく見せて」
葵葉が、沙賀羅を見る。
沙賀羅「戦の後だから、高ぶるな。この前の続き、しようか?」
葵葉「え」
沙賀羅が、葵葉を押し倒し、葵葉の耳たぶを甘噛みする。
葵葉「あ」
沙賀羅「ねぇ、人の世界にいた時、俺の事、どうしたかった?皆、俺をほしがるから」
沙賀羅が、濡れた目で葵葉を見つめる。
沙賀羅「葵葉も、俺がほしかったの?誰にも見せない顔、俺だけに見せて」※色香漂う
キスしようとすると、沙賀羅の動きが止まる。
沙賀羅「来るか」
沙賀羅が起き上がり、ベッドに座る。
ノックの音がして、葵も体を起こし、髪を整える。
紋音「失礼します。沙賀羅様、いらっしゃいますか?」
沙賀羅「いるよ」
ドアが、ほんの少しだけ開く。
紋音「申し訳ございません。急な事で」
沙賀羅「すぐ行く」
沙賀羅は立ち上がり、部屋を出る。葵葉も立ち上がる。
紋音が、部屋に入って来る。
紋音「失礼します。内密ですが、人の使者が急ぎで参りまして、和平のための大幅な譲歩案を出してきたようです」
葵葉「どういう事ですか?」
紋音「もしかしたら、葵葉様は、人の世界にお戻りになる事が出来るかも……しれません」
葵葉「人の世界に……戻れる」
裸眼でブラックコーデの沙賀羅は、ポーズを取り、写真撮影される。
カメラマン「いいよ!」
終了後、スタッフが話しかけてくる。
スタッフ「前回の人気投票で一位だって!本格的に芸能界、目指してみない?」
沙賀羅「ありがとうございます。考えさせて下さい」※クールな笑顔
若者が多い通りを歩く沙賀羅。女子達が見惚れ、こそこそ話す。
沙賀羅(リスクを犯して、人の世界に紛れてみたが……心は動かない。もう、戻るか)※無表情
○沙賀羅の過去回想 人の世界の学校の図書館・夕方(皆、制服)
「初等部学童ボランティア」のゼッケンをつけた葵葉。葵葉を見つめる男友達が、眼鏡の沙賀羅に話しかける。
男友達「あの子、最近決まった巫女姫だろ。二年生だって。可愛いな」
沙賀羅「そうなんだ」(あの子か。巫女と言っても、所詮、神の真似事)
沙賀羅は、人差し指と親指で唇をなぞりながら、葵葉を目で追いかける。
沙賀羅(神である清らかな巫女姫が、妖の物になる。なかなか、面白いショーになりそうだな。奴隷にしたら、いい見せしめになる。あとは、タイミング……か)※冷酷な顔
○沙賀羅の過去回想 学校の図書館の絵本広場・夕方(皆、制服)
ゼッケンをつけた魁人と葵葉が、空っぽの棚の中に体育座りした小学一年生の朝陽を叱りつける。
魁人「そこに入るな。早く出て来い!読み聞かせ、始まるぞ」
朝陽「行かない。ここにいる」
魁人「あ?」
書棚の裏で、腕を組む沙賀羅。
沙賀羅(半妖か?)
葵葉「魁人、行って。朝陽君、新しく届いたばかりの本だから楽しいよ」
不服そうな魁人は、立ち去る。
朝陽「楽しい事なんかない。毎日つまらない」
葵葉「朝陽君、これから楽しい事、いっ~ぱいあるんだよ!友達とテーマパーク行ったり、旅行はどう?まだ、行ってない所あるでしょ?外国も、いいよね!美味しい物もいっぱいあるよ。将来は、得意な事を仕事にして、お金も自由に使って。それで、大好きな人とデートして、結婚……」
葵葉の片目から、涙がこぼれる。
朝陽「なんで、泣いてるの?」※不思議そう
葵葉「目にゴミが入ったみたい」※目をこする
朝陽「……行く」
葵葉「うん!朝陽君、好きな本ある?白雪姫って、知ってる?」※笑顔
○沙賀羅の過去回想 学校の図書館・夕方
葵葉は、人のいない窓辺へ行く。夕日を見て、声を殺して泣き始める。
由夢「葵葉」
声に気づいて、慌てて涙を拭う葵葉。
由夢「こんな所にいたの?帰ろう!」
葵葉は笑顔で頷く。
その様子を、陰から見る沙賀羅。
沙賀羅(「巫女姫様」は儚げで、壊れそうな。壊したいのか、俺は。いや、守りたい?自分でも、よく分からない。自分の物になったら……)
○現在に戻る 洋室(クラシックな家具)・夜
黒い軍服、裸眼の沙賀羅が、椅子に足を組んで、片肘をついて座る。軍服の部下たちと会議を始める。
沙賀羅「決まった。全面報復といこうか」※クール
○学校の中庭 下校・昼
魁人と葵葉が歩く。
○葵葉の回想 沙賀羅邸洋室・朝
軍服、裸眼の沙賀羅。見守る葵葉と紋音。
葵葉「ご無事をお祈りします」
頷く、沙賀羅の横顔。
○現在に戻る
魁人「聞いたか?人の攻撃で、劇場が破壊されたって。勝てるわけないのに。沙賀羅先輩も、叔父さんも参戦してるし」
葵葉「うん」(沙賀羅先輩は、まだ帰って来ない。今の私には、何が出来るだろう)※遠くを見つめる
魁人「俺、最近思いついたんだけど、半妖を隠して、人の世界で暮らしてただろ。葵葉も巫女を隠して、前みたいに暮らせないかって」
葵葉「そんな事出来るのかな」※曖昧な顔
魁人「妖の友達も出来たし、情報収集してみる!」※やる気満々
葵葉「ありがとう。いろいろ、考えてくれて」※薄く笑う
魁人が、葵葉を心配そうに見つめる。
千瑛が来る。
千瑛「お~い、お前たちも、時間あるなら、辰家の撫子を探してくれない?今日は、早帰りのとこ悪いが」
魁人「どこ探したらいいの?なんで、いなくなった?」
千瑛「学校の中。いつもの事だから、本人に聞いて」
葵葉「私は校舎の裏を見て来ます!」
千瑛「よろしく!」
○校舎の裏・昼
探し回る葵葉。
葵葉「撫子さ~ん?誰もいないか」
撫子「くしゅん」
葵葉が見回すと、背後の壁に何かを感じ、振り返る。壁の中に「ポニーテールの額に星のマークがある」撫子と目が合う。
葵葉「あ!」
撫子「あ……」
葵葉「撫子さん!帰りましょう」
撫子「壁の中は、ひんやりして気持ちいい。また、星が読めなくて、怒られて……いずれ、人の世界に逃げるつもり」
葵葉「星を読む?逃げる!?」
撫子「うちの家は、星読みで、政治、戦とかに使われるから、的中率90%にしないといけなくて、めちゃめちゃ難しいの。で、すっごい怒られる。私が間違えたら、誰かが、死ぬなんて、分かってるんだよ!」
葵葉「大変なんですね」※辛そうな顔
撫子「うん」
葵葉「でも、撫子さんのために怒ってくれる家族がいて、少しうらやましい……。あ、余計な事、ごめんなさい!」※焦る
撫子「家族いないの?」
葵葉「今は離れて暮らしていて」
撫子「ごめん。家庭の事情はいろいろあるよね。ねぇ、人の世界、行った事ある?」
葵葉「あ、あります」
撫子「楽しい?」
葵葉「はい!楽しい事いっぱいあります!」
葵葉は、家族や友達の顔が浮かび、寂しげな顔になる。
撫子「庚家の葵葉さんだよね?葵葉って、呼んでいい?話したら、スッキリした!」
葵葉「はい!」※笑顔
撫子が、壁から出てくる。
遠くに、魁人が引く台車の上に、猫の姿の三玖二が、ちょこんとお行儀良く座る。
葵葉(三玖二さん、可愛すぎる)※メロメロ
三玖二「あ、いたぞ!魁人、走れ!葵葉のお手柄か!」
魁人が走り、息切れし、台車が到着。
魁人「すげ―!!」
撫子「ベビーカ―?いや、キャットカ―か」
三玖二「うらやましいだろ?お前を探して、疲れてんだよ!何回目だ!」
魁人「え、俺が押して、ずっと乗ってただけじゃん!」
皆で笑い合う。
葵葉(由夢ちゃんや智也達といるみたい)※笑顔
○沙賀羅邸 縁側・昼
座って、本を開く葵葉。
葵葉(紋音さんが用意しくれた「妖の歴史書」読まないと)
葵葉「人質は、見せしめに串刺しや火あぶり。奴隷……」
葵葉(読まない方がよかった……)※目が横棒
葵葉(ん、妻妾となった場合、人の世界に戻る事はなかった。好きになったら、その人のそばにいたいよね……)
紋音が、お茶とお菓子を持ってくる。
紋音「よろしかったら、どうぞ」
葵葉「紋音さん、いつも、お気遣いありがとうございます」※頭を下げる
紋音「いえ。もうすぐ、沙賀羅様がお帰りになられるはずです。人の世界にひどい嵐が来て、戦どころでは、なくなったようです」
葵葉「ひどい嵐……」※思い悩む
紋音「我が一族も、そのような時は停戦致しますので」
葵葉(早く平和になりますように……。これ以上、悲しむ人が出ませんように)
○学校隣の大きな公園入口近く・下校時
葵葉が歩いていると、大木に隠れながら、(二話で助けた)人である着物の中年男性が、葵葉に手招きする。驚く葵葉は、駆け寄る。
葵葉「あなたは……人の世界に戻れたんですよね?」※心配そうに
中年男性「戻れましたが、ちょっといいですか?」
葵葉「はぁ」
人気のない茂みから、着物を着た若い男性が、二人出てくる。
若い男性1「あなたは巫女姫様ですね?ご安心下さい。私達は、人で、救出に参りました特殊部隊です。妖の世界から戻った人達に、懸賞金をかけて、調査したのです」
葵葉「えっ」
若い男性1「近頃の攻撃も、巫女姫様奪還のためです。さぁ、参りましょう」
葵葉(奪還!え、何?体が何かに触れて、動けない)
葵葉を後ろから抱きしめるショートカットの女性軍人が、透けていた体を現す。
葵葉(乙家の千瑛さんも、前に体が透けてた)※三話の透けた千瑛がよぎる
金髪の短髪、黒い軍服の騎王と銃を構える部下達が、ざっと現れ、囲まれる。騎王が、手の平をかざすと、ビリビリと電流が出る。
騎王「はいはい、そこまで。都の中心で、好きに出来る訳ないだろう。まっ、泳がすのも楽しいよねぇ」
女性軍人「失礼しました。お怪我はないですか?お車をご用意してます。沙賀羅様も、お喜びになるでしょう」※にっこり
騎王「初めまして。雷家の騎王と申します。以後、お見知りおきを」
葵葉「あ、あの」
女性軍人「どうぞ、お車へ」※笑顔
女性軍人に、茫然とした葵葉は連れて行かれる。
人の男達の声「ぎゃぁぁぁ」
緊張した顔の葵葉は、振り返る。
○沙賀羅邸の玄関・夜
裸眼の沙賀羅が軍服のジャケットを脱ぎ、紋音が受け取る。
紋音「お帰りなさいませ。ご無事で何よりです。すぐに、葵葉様をお呼びいたしましょう」
沙賀羅「いい。俺が声をかける」
○葵葉の洋室・夜
ベッドに座り、静かに泣く葵葉(私のせいだ……)
ノックがして、すぐ扉が開く。涙を拭きながら、立ち上ろうとする葵葉。
葵葉「あ、お帰りなさい!ご無事で、よかったです。玄関にお迎えに行くつもりだったのですが」
葵葉(せっかく、先輩が無事に帰って来てくれたのに……)
沙賀羅「ただいま。そのままでいいよ」
葵葉を見ながら、ネクタイを緩め、隣に座る沙賀羅。
沙賀羅「……泣いてたの?」
葵葉「騎王さん達が……」
沙賀羅「分かった?君があの男を助けなかったら、特殊部隊は、死んでなかったかもしれない。えらく弱かったけど」※クール
葵葉「……」※涙がこぼれる
沙賀羅「葵葉、人は神にはなれないんだよ。上の者が、判断を間違えると、取り返しのつかない事になる。覚えておくといい。人は、よくやるけどね」
葵葉「……」※涙を手で拭う
葵葉の肩に手を回して、ぐっと引き寄せ、顔を覗き込む。
沙賀羅「もう、自分を責めてなくていいよ」※微笑む
葵葉は、俯きながら、頷く。
沙賀羅「会いたかった。葵葉の顔、よく見せて」
葵葉が、沙賀羅を見る。
沙賀羅「戦の後だから、高ぶるな。この前の続き、しようか?」
葵葉「え」
沙賀羅が、葵葉を押し倒し、葵葉の耳たぶを甘噛みする。
葵葉「あ」
沙賀羅「ねぇ、人の世界にいた時、俺の事、どうしたかった?皆、俺をほしがるから」
沙賀羅が、濡れた目で葵葉を見つめる。
沙賀羅「葵葉も、俺がほしかったの?誰にも見せない顔、俺だけに見せて」※色香漂う
キスしようとすると、沙賀羅の動きが止まる。
沙賀羅「来るか」
沙賀羅が起き上がり、ベッドに座る。
ノックの音がして、葵も体を起こし、髪を整える。
紋音「失礼します。沙賀羅様、いらっしゃいますか?」
沙賀羅「いるよ」
ドアが、ほんの少しだけ開く。
紋音「申し訳ございません。急な事で」
沙賀羅「すぐ行く」
沙賀羅は立ち上がり、部屋を出る。葵葉も立ち上がる。
紋音が、部屋に入って来る。
紋音「失礼します。内密ですが、人の使者が急ぎで参りまして、和平のための大幅な譲歩案を出してきたようです」
葵葉「どういう事ですか?」
紋音「もしかしたら、葵葉様は、人の世界にお戻りになる事が出来るかも……しれません」
葵葉「人の世界に……戻れる」
