[シナリオ]朧廻国 心を繋ぐ双命の符

〇地下深くの禁域・冥主の祭壇
我を忘れて暴走した冥主の無差別な咆哮と触手の嵐。
青研の息がかかった下級陰陽師たちが次々と巻き込まれ、青研自身もその圧倒的な神威の制御に手こずり始める。血の海の中で倒れる二人。白嶺は薄れゆく意識の中で、消えかける双命符を見つめ、一つの悲壮な解呪の賭けを思いつく。

白嶺(モノ)『解呪の条件は、相手への感情を完全に断ち切ること……。ならば……私が今ここで自ら命を絶ち、現世にある私のすべてを強制的に消し去れば、符は外れ……彼女との共有も止まるはずだ――』

白嶺は朱音の血に汚れた手を強く握り返したまま、最後の力を振り絞って、いつもの涼やかな、けれど酷くかすれた声で告げる。
白嶺「朱音さん……最後に、私に一つだけ、嘘を吐かせてください……。私は君のことなんて、ただの呪いの媒介としか……思っていません、でした……。だから、……貴女は、生きなさい……」

白嶺が短刀を己に突き立てて、自らの心臓を停止させ、朱音を呪縛から解放しようとする。
その瞬間、双命符の鎖がパキパキと音を立ててひび割れ始める。白嶺の自己犠牲によって情の遮断が成立しかけ、朱音の胸の激痛が僅かに和らぐ。

しかし、朱音は白嶺の意図 ※自分を救うために一人で死のうとしていること を即座に察する。
朱音はボロボロの身体で白嶺の襟元を掴み、激しく涙を流しながら叫ぶ。

朱音「嘘つき……! そんな悲しい嘘で、私を置いていくなんて、絶対に許しま、せん! 貴方が、私を救ってくれたのに、一人で勝手に死なせて、あげるもんです、か!」 ※息も絶え絶えと言った感じ

朱音の胸の奥から、父親宗介が文献に記録していた『繋束』の真の力が、暴走ではなく完全な覚醒を果たす。
朱音の異能は、継承されていく力。親から子へ。白嶺が言っていた→『今やその異能を揮うのは、貴女ただ一人です』←一応ここで、継承を示唆。父宗介亡き後、唯一の継承者である朱音に繋束の力が収束し、父の力と元々自分が持っていた異能が合わさり、力が増幅した感じ。

そして、繋束とは、ただあやかしを友とするのみならず※支配でも使役でもない。命と命を繋ぎ、分かち合う力でもあった。
朱音は白嶺への溢れる愛情と「何があっても離れない」という強烈な執着をそのまま純粋な霊力に転換させ、朱音の命の半分程の量が、白嶺の止まりかけた心臓へと流れ込んでいく。


〇同・祭壇・符そのものの変質
感情を断ち切るのではなく、死をも凌駕するほどの絶対的な愛と執着で二人の心が完全に満たされた瞬間。
青研が仕掛けた最悪の悪戯である「心契双命符」の回路が、二人の強烈な意志によって完全に上書きされ、変質する。

呪いは消滅するのではなく、魂と命を永遠に分かち合う伴侶の誓い ※いうならば祝福 へと昇華。
祭壇全体を、まばゆいほどの黄金と純白の光が包み込む。白嶺の心臓が力強く脈動を再開し、二人の致命傷が一瞬にして完全に癒えていく。光の中から、二人が完全に復活して立ち上がる。
白嶺と朱音の胸には、より太く、美しくなった黄金の「命の鎖」が輝いている。

驚愕する青研。

青研「バカな……呪符が書き換えられただと!?」

白嶺は完全に復活し、瞳に今までにない穏やかで絶対的な強者の笑みを宿して青研を見据える。

白嶺「青研。君の負けです。君には一生、人の情も、あやかしの心も理解できないでしょう」

白嶺と朱音が手を取り合い、番傘と扇を同時に構える。白嶺の放つ純白の焔と、朱音の放つ黄金の繋束の力が完璧に調和して炸裂。青研の展開していた漆黒の結界と、あやかしを操っていた彼の術具 ※細針の総元締めみたいな※錫杖風の形 を跡形もなく完全に粉砕する。
青研は自らの仕掛けた罠の逆流と、暴走する冥主の霊気に呑まれ、絶叫と共に闇の底へと堕ちていく。

元凶である青研は消え去ったが、主を失い、無理やり引き起こされた最上格あやかし冥主の暴走は止まらない。地下空洞が崩落を始め、冥主が都を完全に圧殺せんとして咆哮を上げる。


白嶺「さあ、最後の仕上げです。お供していただけますか? 朱音さん」

朱音「はい!」

固く手を繋ぎ合った二人が、暴走する冥主を救うために真っ直ぐに踏み出す、最終決戦の直前まで。