〇都の外れ・星宿庵・翌朝
唇を重ね合った翌朝。お互いに強烈に意識し合ってしまい、これまでにないほど甘酸っぱく、ぎこちない空気の二人。
しかし、二人の胸を繋ぐ双命符は、淡い黄金色の光を絶やすことなく放ち続けている。
もはや「感情を断ち切る」ことは不可能であり、一生命を分け合う覚悟が二人の間に静かに満ちはじめる。
その時、激しい地鳴りが庵を揺らす。
外へ飛び出すと、遠くの霞ノ都の上空が、見たこともない不気味な赤黒い霊気で染まり始めている。
〇霞ノ都・陰陽寮・地下深くの禁域
青研が、強行突破して陰陽寮の最深部へ侵入。
宗介の資料を元に、都の基盤の下に封印されていた伝説の最上格あやかし「冥主」の祭壇へ辿り着く。青研は血走った目で、手に入れた記録を掲げ持ちながら、冥主の封印を解く呪言を唱え始める。都全域の結界が崩壊し、街中に狂暴化したあやかし達が溢れ出し、良識派の陰陽師たち※国家陰陽寮所属の大多数は良識派 が必死の防戦に追われる大混乱となる。
〇星宿庵・居間
庵に、黒霧の使役する蒼鴉がボロボロになって飛び込んでくる。足に走り書きの紙の切れ端が結び付けられている。
伝令の内容は、青研が伝説の『冥主』を呼び出そうとしていること、そして冥主を完全に意のままに支配するため、朱音の『繋束』の力を強制的に吸い上げる罠を街中に張り巡らせていることが告げられる。
驚愕する朱音に、白嶺はついに、一年前の朱音の父、宗介の死の真実を告げる。
白嶺「……宗介さんは、あやかしに無惨に殺されたのではありません。青研が宗介さんの異能『繋束』の力を奪おうとして仕掛けた、むごい罠の身代わりになって亡くなられたのです。私はっ……間に合いませんでした……」
白嶺の抱えていた最大の後悔を知る朱音。
朱音「繋束って……」
白嶺「朱音さん、今やその異能を揮うのは、貴女ただ一人です。あやかしを、友として繋ぎとめる力です」
そして自分の異能の意味を知り呆然とする。
白嶺「ここなら、距離的にもギリギリですが、隠れていられます。少しここが痛みますが」
薄く笑い、親指で自分の胸を示す白嶺。
危険すぎる都へ朱音を連れて行くわけにはいかない。
白嶺は「私一人で行きます。結界は強めていきますので」
朱音は、背中を向けた白嶺の袖をつかみ引き留める。
朱音「だめです! あやかしたちがまた沢山死ぬんでしょう? それに、私と白嶺さんの心臓は繋がっているんですから、勝手に一人で死なせてあげるもんですか!」
強い意志で白嶺を見つめる朱音。小火、水猫たちあやかしたちも、朱音を守るように一斉に鳴き声を上げたり光ったり。華音と茂助は息を呑みながら、やり取りを見守っている。
白嶺、ついに降参したように微笑み、朱音の手を強く握り返す。
過保護な眼差しの奥に、絶対に彼女を死なせないという修羅の決意を宿して。
白嶺「……分かりました。お供を。私の命を、君に預けます」
〇霞ノ都・入り口・夜
茂助と華音、あやかし達に庵を託し、二人は赤く燃える都へと戻ってくる。
結界が破れた都の門前には、青研が放った無数の六つ目の鷹や三つ目の猿、など、操られているあやかしの軍勢が、二人を捕らえるべく待ち構えている。
白嶺が扇をバッと開き、朱音が番傘を開く戦闘態勢に入る。
〇霞ノ都・正門〜大通り・夜 !!戦闘開始!!
門を破り、赤く染まった都へと突入する二人。襲いかかってくる三つ目の猿や六つ目の鷹の軍勢。
白嶺が強大な白焔の術で道を切り開き、朱音は手にした番傘を盾にして敵の爪や妖力を弾き返す。
朱音、ただ防戦するだけでなく、番傘の骨組みに自身の「繋束」の霊力を乗せて展開する。※無意識
朱音の番傘が放つ温かい光に触れたあやかし達は、青研の呪縛※操っている糸みたいな が一瞬で解け、正気を取り戻して霧のように逃げ去っていく。
白嶺「……素晴らしいです、朱音さん。まさか君の『繋束』が、これほど戦場で美しく映えるとは」
白嶺、いつもの涼やかな笑顔に愛おしさを滲ませながらも、苛烈に朱音の死角を補うように扇を振るう。二人の息の合った共闘。舞闘みたいな感じ。
〇霞ノ都・大通り・混戦と危機
陰陽寮の最深部?付近から溢れ出すあやかしの数は無限。青研の術で完全に狂暴化させられた大型のあやかし※四格級が、二人の行く手を阻む。双命符による距離制限を気にしながらの戦いのため、徐々に体力を削られ、包囲されそうになる二人。
朱音「……数が多い……!」
絶望しそうな朱音の声に、白嶺がぐっと引き寄せ、背中を合わせる。
万事休すかと思われた瞬間、背後から無数の墨色の呪符が飛来し、包囲していたあやかし達を一斉に爆破する。
霞の向こうから現れたのは、墨色の狩衣を纏った黒霧、そして彼が率いる陰陽寮の良識派※たとえば老人2や宗介を慕っていた者たち の陰陽師たちの集団。
黒霧「……遅くなったな、白嶺。都の防衛は俺たちが引き受ける」
白嶺「黒霧……! 規律に厳しい君が、ずいぶんな大造反ですね」
黒霧「造反ではない。都を危機に陥れているのは青研だ。俺たちは陰陽寮の正義に従うだけだ。……お前たちは、あいつのいる最深部へ行け!」
黒霧の心強い言葉に、朱音と白嶺は深く頷く。
〇陰陽寮・地下禁域への大階段
黒霧たちに背後を任せ、二人は陰陽寮の地下へと続く巨大な螺旋階段を駆け下りる。
手足にはいくつもの細かいかすり傷。冥主の目覚めが近づいているせいか、地下深くなるにつれて、双命符の鎖がギリギリと鳴り、激しい不快感が二人を襲う。
白嶺「……冥主の霊気が、私たちの双命符を乱しているようです。朱音さん、大丈夫ですか」
朱音「平気です! 早く、あの男を止めましょう!」
お互いに手を固く繋ぎ合い、痛みを分かち合いながら、暗闇の階段を突き進む。
〇地下深くの禁域・冥主の祭壇
重厚な石扉を白嶺が術で吹き飛ばし、ついに最深部の祭壇へとたどり着く。
巨大な地下空洞の中心。禍々しい赤黒い泥のような霊気の繭※半ば目覚めかけた伝説の最上格あやかし冥主 の前に、青研が平然と立っている。
青研「おや、意外と早かったね。……ありがとう白嶺……その可愛いお嬢さんを私の元へ届けてくれて」
青研の邪悪な笑みと、二人の目の前でドクンと大きく脈動を始める冥主の繭の圧倒的な絶望感。
唇を重ね合った翌朝。お互いに強烈に意識し合ってしまい、これまでにないほど甘酸っぱく、ぎこちない空気の二人。
しかし、二人の胸を繋ぐ双命符は、淡い黄金色の光を絶やすことなく放ち続けている。
もはや「感情を断ち切る」ことは不可能であり、一生命を分け合う覚悟が二人の間に静かに満ちはじめる。
その時、激しい地鳴りが庵を揺らす。
外へ飛び出すと、遠くの霞ノ都の上空が、見たこともない不気味な赤黒い霊気で染まり始めている。
〇霞ノ都・陰陽寮・地下深くの禁域
青研が、強行突破して陰陽寮の最深部へ侵入。
宗介の資料を元に、都の基盤の下に封印されていた伝説の最上格あやかし「冥主」の祭壇へ辿り着く。青研は血走った目で、手に入れた記録を掲げ持ちながら、冥主の封印を解く呪言を唱え始める。都全域の結界が崩壊し、街中に狂暴化したあやかし達が溢れ出し、良識派の陰陽師たち※国家陰陽寮所属の大多数は良識派 が必死の防戦に追われる大混乱となる。
〇星宿庵・居間
庵に、黒霧の使役する蒼鴉がボロボロになって飛び込んでくる。足に走り書きの紙の切れ端が結び付けられている。
伝令の内容は、青研が伝説の『冥主』を呼び出そうとしていること、そして冥主を完全に意のままに支配するため、朱音の『繋束』の力を強制的に吸い上げる罠を街中に張り巡らせていることが告げられる。
驚愕する朱音に、白嶺はついに、一年前の朱音の父、宗介の死の真実を告げる。
白嶺「……宗介さんは、あやかしに無惨に殺されたのではありません。青研が宗介さんの異能『繋束』の力を奪おうとして仕掛けた、むごい罠の身代わりになって亡くなられたのです。私はっ……間に合いませんでした……」
白嶺の抱えていた最大の後悔を知る朱音。
朱音「繋束って……」
白嶺「朱音さん、今やその異能を揮うのは、貴女ただ一人です。あやかしを、友として繋ぎとめる力です」
そして自分の異能の意味を知り呆然とする。
白嶺「ここなら、距離的にもギリギリですが、隠れていられます。少しここが痛みますが」
薄く笑い、親指で自分の胸を示す白嶺。
危険すぎる都へ朱音を連れて行くわけにはいかない。
白嶺は「私一人で行きます。結界は強めていきますので」
朱音は、背中を向けた白嶺の袖をつかみ引き留める。
朱音「だめです! あやかしたちがまた沢山死ぬんでしょう? それに、私と白嶺さんの心臓は繋がっているんですから、勝手に一人で死なせてあげるもんですか!」
強い意志で白嶺を見つめる朱音。小火、水猫たちあやかしたちも、朱音を守るように一斉に鳴き声を上げたり光ったり。華音と茂助は息を呑みながら、やり取りを見守っている。
白嶺、ついに降参したように微笑み、朱音の手を強く握り返す。
過保護な眼差しの奥に、絶対に彼女を死なせないという修羅の決意を宿して。
白嶺「……分かりました。お供を。私の命を、君に預けます」
〇霞ノ都・入り口・夜
茂助と華音、あやかし達に庵を託し、二人は赤く燃える都へと戻ってくる。
結界が破れた都の門前には、青研が放った無数の六つ目の鷹や三つ目の猿、など、操られているあやかしの軍勢が、二人を捕らえるべく待ち構えている。
白嶺が扇をバッと開き、朱音が番傘を開く戦闘態勢に入る。
〇霞ノ都・正門〜大通り・夜 !!戦闘開始!!
門を破り、赤く染まった都へと突入する二人。襲いかかってくる三つ目の猿や六つ目の鷹の軍勢。
白嶺が強大な白焔の術で道を切り開き、朱音は手にした番傘を盾にして敵の爪や妖力を弾き返す。
朱音、ただ防戦するだけでなく、番傘の骨組みに自身の「繋束」の霊力を乗せて展開する。※無意識
朱音の番傘が放つ温かい光に触れたあやかし達は、青研の呪縛※操っている糸みたいな が一瞬で解け、正気を取り戻して霧のように逃げ去っていく。
白嶺「……素晴らしいです、朱音さん。まさか君の『繋束』が、これほど戦場で美しく映えるとは」
白嶺、いつもの涼やかな笑顔に愛おしさを滲ませながらも、苛烈に朱音の死角を補うように扇を振るう。二人の息の合った共闘。舞闘みたいな感じ。
〇霞ノ都・大通り・混戦と危機
陰陽寮の最深部?付近から溢れ出すあやかしの数は無限。青研の術で完全に狂暴化させられた大型のあやかし※四格級が、二人の行く手を阻む。双命符による距離制限を気にしながらの戦いのため、徐々に体力を削られ、包囲されそうになる二人。
朱音「……数が多い……!」
絶望しそうな朱音の声に、白嶺がぐっと引き寄せ、背中を合わせる。
万事休すかと思われた瞬間、背後から無数の墨色の呪符が飛来し、包囲していたあやかし達を一斉に爆破する。
霞の向こうから現れたのは、墨色の狩衣を纏った黒霧、そして彼が率いる陰陽寮の良識派※たとえば老人2や宗介を慕っていた者たち の陰陽師たちの集団。
黒霧「……遅くなったな、白嶺。都の防衛は俺たちが引き受ける」
白嶺「黒霧……! 規律に厳しい君が、ずいぶんな大造反ですね」
黒霧「造反ではない。都を危機に陥れているのは青研だ。俺たちは陰陽寮の正義に従うだけだ。……お前たちは、あいつのいる最深部へ行け!」
黒霧の心強い言葉に、朱音と白嶺は深く頷く。
〇陰陽寮・地下禁域への大階段
黒霧たちに背後を任せ、二人は陰陽寮の地下へと続く巨大な螺旋階段を駆け下りる。
手足にはいくつもの細かいかすり傷。冥主の目覚めが近づいているせいか、地下深くなるにつれて、双命符の鎖がギリギリと鳴り、激しい不快感が二人を襲う。
白嶺「……冥主の霊気が、私たちの双命符を乱しているようです。朱音さん、大丈夫ですか」
朱音「平気です! 早く、あの男を止めましょう!」
お互いに手を固く繋ぎ合い、痛みを分かち合いながら、暗闇の階段を突き進む。
〇地下深くの禁域・冥主の祭壇
重厚な石扉を白嶺が術で吹き飛ばし、ついに最深部の祭壇へとたどり着く。
巨大な地下空洞の中心。禍々しい赤黒い泥のような霊気の繭※半ば目覚めかけた伝説の最上格あやかし冥主 の前に、青研が平然と立っている。
青研「おや、意外と早かったね。……ありがとう白嶺……その可愛いお嬢さんを私の元へ届けてくれて」
青研の邪悪な笑みと、二人の目の前でドクンと大きく脈動を始める冥主の繭の圧倒的な絶望感。



