特別警報イコールイコール




 ……え?


 何で?


 もう、終わるんじゃないの?





 世界は、何一つ変わっていなかった。
 
 二人並んで並木道を歩いていた。
 道中、二人の間の会話はとても違和感があった。

 いつも通りの会話。

 それを二人で紡いでいるようにも思えたが、ほとんどは日和が言葉を紡いでいた。
 私は、相槌を打つだけ。それしかできなかったんだ

 会話が弾みかけても、複雑な感情がそれを阻止した。


 人が集まる駅では多少の混沌とした状況が生まれているのだはないかと思った。

 だって、あの警報は――世界の終わり――を告げるのだから。


「ねえ、柚葉」

 もうすぐ駅に着こうとしたという時。

「何買うー?」

 空を仰ぎながら尋ねてきた。
 同じように見上げてみれば、真っ青な空がそこには広がっていた。

「ポテト、食べたいかも」

 頭の中にパッと浮かび上がったもの、『ポテト』。

「柚葉らしい」

「お腹空いたからね」

 まさか、最後に食べたくなるものがフライドポテトとは思わなかった。

 確かに大好物。

 でも、この状況下で食べるものでもない気がする。

「日和は? 何買う?」

 しばらく考え込む素振りをする日和が可愛らしくってふと笑みが零れる。

 ――こういう表情も、見れなくなるのか。

「リップかな」

 え?

 リップと言うとは思わなかった。
 だって、もう使えないのに。今日だけだ。最後だから可愛くしようなんて思考、こんなにも可愛い子に存在しているのかを疑う。

「ずっと買いたかったけど、買えなかったの。少し高くってさ。最後ぐらい、贅沢してもいいかなって思ったの」

 そうだ。日和、節約家だった。出来る限り安いものを選んで買って長く使う。
 なかなか高いものには手を出せなかったのだろう。

 買うかを悩めば、店を出て百円台のアイスを一つ買う子だった。