カラオケ店の前に着く。
「あ!」
日和の突然の声に驚く。
「どうしたの?」
なぜか落ち込んだ表情をしている日和。
「ポテト、全部食べちゃったよ……」
そんなことか。
正直私はそう思ってしまった。
この後紡ぐ言葉を、私は知っている。
「ごめん……。あの友達に取っておくよう言われてたよね」
「そんなのどうでもいいよ」
つい笑ってしまう。
あんなの、ただの冗談だよ。
わかってる。
笑って終わらせたかったんだと思う。
「あれは、あいつなりの励ましだから」
私に彼氏が出来てから、あいつは少し距離を置いていた。気遣ってくれていたのだ。
それでも、私のことを気にかけ続けてくれた。友人として。
最後まで、その役を演じきってくれたんだ。
「柚葉は、色んな人に思ってもらえているんだね」
穏やかな表情を浮かべている。
「私は、日和のこと、思ってるよ」
「もちろん、私も柚葉のこと思ってるよ」
笑い声が響いた。
私たちはずっと変わらず、互いを思い合っていた。
そのことを改めて強く感じた。
「中に、入る?」
笑いあった後、顔を覗き込みながら尋ねてくる。
「いない、気がする」
ただの勘。
でも、この勘は外れていない気がする。
たかが勘。
それでも、これは違う気がした。
「じゃあ、別の場所行こう」
どこまでも私のことを尊重してくれる日和が、大好きだ。
「ありがとう」



