泥棒は、しない方がいいです



 
「……っ⁉︎」

 俺が目を覚ますと、もう朝だった。

 締め切ったカーテンの隙間から朝の陽が溢れでている。

(ここは、どこだ……?)

 大きな部屋に気味の悪い絵画。
 
 大きな椅子に座っている俺。
 
 俺は辺りを見渡してから、思い出した。
 
 ……ああ、そうだった。

 金庫の中を盗みに来たら、急に眠くなって……。
 
 それからここに来たみたいだ。
 
 ……だったら早く逃げないとじゃないか。

 あのロボットが通報してるかもしれない。
 
 
 俺は前に身を乗り出す。

 なのに――。

「く……っ」

 俺の足は鎖につけられ、手は椅子の肘置きに固定れている。

 すると、目の前の壁に貼ってあるポスターと肘置きの隣に置かれた、アルファベットが書かれれた謎のボタンが目に入った。

【逃げたければ、金庫の番号の謎を解き、答えをボタンで示せ】

 金庫の番号謎……?

 どういうことだ?

 そのポスターの隣には、アルファベットがかかれたポスターも貼ってある。

 A,B,C,D,E……。

 ごく普通のアルファベット表だな……。

 ……いや待て。
  
 金庫の番号は「右6、左8、右1、左4、右2、右2」。

 だが右2が連続しているのはおかしい……。

 ……そうか!

 俺はその瞬間、ひらめいた。

「数字をアルファベットに変換すればいいのか」

 俺がひらめいたのは、数字を変換し、ボタンを押す、ということ。

 アルファベットは数字に、こう変換できる。

 A→1

 B→2

 C →3

 D →4

 E →5

 F →6

 G→7

 I→8

 J →9

 これを元に、金庫の番号を変換すればいいはず。

 金庫の番号を変換すると――[F-I-A-D-B-B]。

 これなはずだ……合っていてくれよ……。

 俺は心で願いながら、肘置き横のボタンを順番に押す。

 最後のBを押すと――。

 ガコン、ガコンッ!

「……‼︎」

 俺の足の鎖や肘置きに固定された手は解放された。

「よかった……っ」

 俺が小さくガッツポーズをした時、タイミングよく、ロボットがこちらに来て、言った。

「あなたも賢いですね。これで3人目ですが1番早いです……本当だったら私の()()にでもしようと思っていたのに」

 俺が1番早いのか。

 そういえば、会長に見つかってない……。

「ここは誰もいないのか?」

「私がいるじゃないですか」
 
「悪い……人間での話だ」

「そうですね……会長もとっくの前に食べてしまったので、人間はあなただけですね」
 
 ……は?

「食べる……?」
 
「ええ、意外と人間って美味しいですから」

 ロボットはジュルッと音を鳴らす。

「あなたも美味しいかどうか、試してみますか?」

 ロボットは落ちていた、血だらけの包丁をむけてきた。

「いい……っ、俺はまだ、生きたいんだよぉ」

 俺は恐ろしさのあまり、勢いよく走って不気味な館を出た。