「ここが……うちの会長の家か……見るからに大豪邸だな」
俺は、夜の都会の中心にある、大きな家の庭に忍び込んで、小さく言った。
俺はどこにでもいる、ごく普通の会社員。
まあ、勤めているのは大企業だが、くそ下っ端の方だ。
ただ1つ、困っていることがある。
それは金がないこと。
明日の朝食に困るくらいでは済まない。
家は、誰もいない空き家に勝手に住んでいるだけ。
もちろん、水道もガスも電気も通っていない。
……なぜかって?
答えは簡単さ。
給料が低いからさ。
大企業といえど、全員の給料が高いわけじゃない。
満足した給料を得られるのは、社員の中の5%くらい。
俺はもちろんのその5%には入っていない。
別に生活ができないくらいの給料なわけだではなく、俺はその金の使い道に困っていた。
それが――借金だ。
死んだ親父の借金を肩代わりさせられているんだ。
かわいそうだと思うわないか?
クソ親父のせいで、俺の給料はドブに捨ててるのと同じになっているわけさ。
だから、金が余るほど手元にある大金持ちから少し、盗んでやることにした。
ちょうど今から中に入るところだ。
……え?
盗みはダメだって……?
んなこと、誰でも知ってるさ。
でも、死に物狂いで働く俺が生活に困るのに、何にもしていない会長が贅沢な暮らしをするのはおかしいと思うだろう?
俺だっておんなじさ。
それに全部を盗むわけじゃない。
少し盗んだところで、盗まれたことに気づかないくらいの量があるだろうからな。
きっとバレないでいけるだろう。
(おっ、ラッキー)
俺は開いている窓を見つけ、こっそりと中に入っていった。
俺が調べた情報では、大広間にある金庫に大金が入っている。
金庫の番号は――。
右に6、左に8、右に1、左に4、右に2、もう一周右に回って2。
あっているかどうかは知らないけれど、こんな具体的に出ているんだからやってみる価値はありそうだ。
スマホのライトをつけ、服の中に忍ばせながらゆっくり進むと、確かに大広間があった。
「ここか……さすが大金持ちだな」
俺はすぐに金庫も見つけ、金庫の前にしゃがみ込む。
その時――。
「やめた方がいいですよ」
何者かの声があたりに響いた。
「な……っ⁉︎」
もしや誰かいたのかっ⁉︎
俺は不安を抱えながらも、声がする方に振り返った。
そこにあったのは――小さな人型ロボットだった。
「なんだ、ロボットか……」
俺はほっと胸を撫で下ろした。
それからまた金庫のロックを解除しようと、金庫に触れる。
「ですから‼︎やめた方がいいですよって言ってるじゃないですか!大人しく聞いたほうが身のタメになりますよ」
ロボットは少し怒った口調でいう。
はぁ……面倒くさいロボットだな……。
「はいはい。分かったって。お願いだから静かにしてくれよ」
「でしたら、早く外に出てください!」
「それはお前が防犯対策のロボットだからだろ?それだったらお断りだな」
俺は冷たく返してからダイヤルを回す。
「違います。こうやってこの家に忍び込んでくるのは貴方が8人目ですけど、誰1人として、すぐに帰れた人はいません。無事かどうかは置いておいて」
すぐに……?
なんだよそれ。
絶対嘘だろ。
俺はそれからもガミガミとうるさいロボットを無視し続けて、最後のロックの[右に2]を解除した。
そういえば[右に2]が連続してるな……。
これは……まぁ、偶然にすぎないか。
俺はロックが完全に解除された金庫のレバーを持った。
ガチャッ
重い扉を開けると、中には――小さな紙切れが入っていた。
【今からは君が[囚われの身]になる番だ】
「え……?」
その瞬間、急に眠気に襲われる。
(体が、思うように……うごか、ない……)
俺の目が完全に閉じる少し前。
あのロボットの悲しそうな声が聞こえた。
「だからやめたほうがいいって言いましたのに……自業自得とはまさにこのことですね……」
俺はその場にパタリと倒れた。
俺は、夜の都会の中心にある、大きな家の庭に忍び込んで、小さく言った。
俺はどこにでもいる、ごく普通の会社員。
まあ、勤めているのは大企業だが、くそ下っ端の方だ。
ただ1つ、困っていることがある。
それは金がないこと。
明日の朝食に困るくらいでは済まない。
家は、誰もいない空き家に勝手に住んでいるだけ。
もちろん、水道もガスも電気も通っていない。
……なぜかって?
答えは簡単さ。
給料が低いからさ。
大企業といえど、全員の給料が高いわけじゃない。
満足した給料を得られるのは、社員の中の5%くらい。
俺はもちろんのその5%には入っていない。
別に生活ができないくらいの給料なわけだではなく、俺はその金の使い道に困っていた。
それが――借金だ。
死んだ親父の借金を肩代わりさせられているんだ。
かわいそうだと思うわないか?
クソ親父のせいで、俺の給料はドブに捨ててるのと同じになっているわけさ。
だから、金が余るほど手元にある大金持ちから少し、盗んでやることにした。
ちょうど今から中に入るところだ。
……え?
盗みはダメだって……?
んなこと、誰でも知ってるさ。
でも、死に物狂いで働く俺が生活に困るのに、何にもしていない会長が贅沢な暮らしをするのはおかしいと思うだろう?
俺だっておんなじさ。
それに全部を盗むわけじゃない。
少し盗んだところで、盗まれたことに気づかないくらいの量があるだろうからな。
きっとバレないでいけるだろう。
(おっ、ラッキー)
俺は開いている窓を見つけ、こっそりと中に入っていった。
俺が調べた情報では、大広間にある金庫に大金が入っている。
金庫の番号は――。
右に6、左に8、右に1、左に4、右に2、もう一周右に回って2。
あっているかどうかは知らないけれど、こんな具体的に出ているんだからやってみる価値はありそうだ。
スマホのライトをつけ、服の中に忍ばせながらゆっくり進むと、確かに大広間があった。
「ここか……さすが大金持ちだな」
俺はすぐに金庫も見つけ、金庫の前にしゃがみ込む。
その時――。
「やめた方がいいですよ」
何者かの声があたりに響いた。
「な……っ⁉︎」
もしや誰かいたのかっ⁉︎
俺は不安を抱えながらも、声がする方に振り返った。
そこにあったのは――小さな人型ロボットだった。
「なんだ、ロボットか……」
俺はほっと胸を撫で下ろした。
それからまた金庫のロックを解除しようと、金庫に触れる。
「ですから‼︎やめた方がいいですよって言ってるじゃないですか!大人しく聞いたほうが身のタメになりますよ」
ロボットは少し怒った口調でいう。
はぁ……面倒くさいロボットだな……。
「はいはい。分かったって。お願いだから静かにしてくれよ」
「でしたら、早く外に出てください!」
「それはお前が防犯対策のロボットだからだろ?それだったらお断りだな」
俺は冷たく返してからダイヤルを回す。
「違います。こうやってこの家に忍び込んでくるのは貴方が8人目ですけど、誰1人として、すぐに帰れた人はいません。無事かどうかは置いておいて」
すぐに……?
なんだよそれ。
絶対嘘だろ。
俺はそれからもガミガミとうるさいロボットを無視し続けて、最後のロックの[右に2]を解除した。
そういえば[右に2]が連続してるな……。
これは……まぁ、偶然にすぎないか。
俺はロックが完全に解除された金庫のレバーを持った。
ガチャッ
重い扉を開けると、中には――小さな紙切れが入っていた。
【今からは君が[囚われの身]になる番だ】
「え……?」
その瞬間、急に眠気に襲われる。
(体が、思うように……うごか、ない……)
俺の目が完全に閉じる少し前。
あのロボットの悲しそうな声が聞こえた。
「だからやめたほうがいいって言いましたのに……自業自得とはまさにこのことですね……」
俺はその場にパタリと倒れた。
