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・【04 運動音痴を笑うな】
・
俺は”運動をさせて、運動音痴を笑うヤツら”の情報を得た。
場所は校庭の隅にある鉄棒のところ。
早速、橋の下から現場に急行している時だった。
最近は本当にずっといつも近くにいる真梨子から、とあることを聞かれた。
「その情報ってどこから入るんですかっ!」
俺は走りながら答える。
「そういう情報を得ることが得意なヤツがいて、ソイツから教えてもらうんだ」
「じゃあ私のライバルですね!」
「全然ライバルじゃないだろ、むしろ味方だろ」
「恋敵という意味です!」
めっちゃハッキリ言ってくるなと思いつつ、俺は答えた。
「ソイツ男だから」
「でもダロさん! 恋愛感情は誰にでも芽生えるモノですよ!」
まあそういうもんかなぁ、確かに未来はどうなるか分からないもんな、と思いつつも、
「だが味方と思ってくれ、ただ人前に出るヤツじゃないからオマエと顔を会わせることは無いだろうけども」
「まあ一応今は味方ということにしておきます! でもダロさんの心を奪いそうになった時は!」
そう言って真梨子は走りながらも側転と前宙を決めて、またすぐさま一緒に走る。
いや!
「運動神経の良さをこの会話の時に見せるな! ボコボコにやってやるぜ、じゃないんだよ!」
「いざとなったら喧嘩も辞さない構えです!」
「会話でやれ! 会話でやらないと俺がオマエをディスることになるぞ!」
「それは困ります!」
まあ真梨子は運動神経抜群で元気そうなのは内心ホッとするところだけども、これからイジメの現場へ行くのに、何か気が緩んでいる。
ここはハッキリ言ってやるか。
「ふざける気なら、俺は即オマエのことを斬るからな」
そうドスの利いた声で言うと、真梨子の顔は一気に緊張感が走り、
「すみませんでした! ふざける気は無かったんですが、ついダロさんの隣にいることが嬉しくて!」
と申し訳無さそうな顔をしたので、まあいいかと思いつつも、
「こっからはガチのバトルだから気を引き締めろ」
「はい! 分かりました!」
そして俺と真梨子は現場に到着した。
そこでは鉄棒をしている一人の男子を、数人の男子たちが囲んでいた。
囲んでいる数人の男子はだらだらと立っていたり、ヤンキー座りをしていたりと、鉄棒の指導をしているような雰囲気は無かった。
ザッと近付き、俺は言った。
「オマエらか、クソつまんねぇことしてる連中はよぉ?」
俺を見るなり、座っていた連中は立ち上がり、囲んでいた数人の男子の一人が喋り出した。
「おっ、ダロじゃん、本当に来るんだ、すげぇすげぇ」
馬鹿にしたようにヘラヘラ笑い、それに釣られて周りの連中も笑いだした。
俺は毅然とした態度で言う。
「何がおかしいんだよ、というか俺が来ることを知っていたということは”そういうこと”をしていたってことで間違いないんだな」
「そういうこと? あぁ、イジメってことね、当たり前じゃん、俺がこの運動音痴と友達なわけないじゃん!」
その台詞に爆笑の渦が起こった。
何がおかしいのか全く分からない。
いや分かる必要も無い。
やることは、コイツらを打ち負かすことだけだから。
俺はコイツらを睨むと、一番喋ってくる男子がこう言った。
「オレたちさ、ダロくんが来ること知ってたんだよねぇ、こういうことしていると来るって話だからさぁー」
「だからどうした、用件は早く言え」
「そう粋がっていられるのも今のうちだぜぇ、なんせ、コイツは、ラップバトルの優勝者なんだぜぇ」
そう言ってその喋ってくる男子は、ドレッドヘアの男を前へ押し出した。
そのさっきまでしゃがんでいたドレッドヘアの男は明らかにデカくて貫禄もあり、高校生というよりは、大人といった感じだった。
ドレッドヘアの男は、押し出したその喋ってくる男子にこう言った。
「触んなガキが」
押し出した男子はひぃっと体を凍らせて、その場で固まった。
ドレッドヘアの男はこう言った。
「オレがラップバトルでコイツを打ち負かせば金くれるんだよな、それだけの関係だ、触んじゃねぇよ」
なるほど、お金で雇われたラッパーというわけか。
そんなことまでして俺を倒したいというわけか、上等だ。
ドレッドヘアの男は続ける。
「コイツが来なきゃ、毎回このイジメ現場へ来る度に小銭がもらえたんだが、まあこんな連中と一緒にいるのもつまんねぇし、早く来てくれて助かったわ。じゃあラップバトルだ、調子乗ったラッパーもどきはオレが殺す」
そう言ってポケットからマイクを取り出したドレッドヘアの男。
俺もマイクを取り出して構える。
別の囲んでいた男子がスマホからシンプルなビートを流し始めた。
さぁ、ここからガチのバトルだ。
真梨子は固唾を飲んで見守っているようだった。
ギャグをするタイミングも無かったみたいで、そこは良かった。
《ドレッドヘアの男》
オレの刃、オマエの命を裂いた 着火ライター、すぐさま勝利の余韻
コイントスで勝負したほうが良かったか 運での勝負じゃなきゃ終わったな
オマエの時計の針はもう止まったな オマエは所詮汚く怒鳴った蛾
に、なるだろうな、それは確定 オマエは汚い声を上げ続ける濁点
《ダロ》
作戦皆無なつまんねぇ押韻 落選マイクだ、不安定送信
誰にも響かないwi-fi オマエと勝負は意味が無い相対
解体する壊れた刃、切れ味無いや 着火ライターとか言うヤツはもう去ったライアー
バッタモン、恥ずかしく顔が発火モン オマエには無い、俺にはある家紋
《ドレッドヘアの男》
結構やるじゃん、言葉が拡散 でもオレにはある技がたくさん
刃の次は言葉の弾丸 ガンガン攻める、オマエはジリ損だ、だんだん
最後は沈める、このワンパン 正直オレの勝利はやっぱ簡単
全然雑魚だった、オマエはアホだった まだまだ未熟なアホだった
《ダロ》
いやオマエの言葉は過疎なんだ 記憶に残らない過去単打
弾丸がガンガンか、散々だ案半端 オマエのワンマンは閑散だ
俺を倒すのに、ピンはまだ早い オマエは全然、韻が語らない
ただ課題ばかりで何を言うんだ つまらない相手、俺は灰の気分だ
ここでドレッドヘアの男子は意気消沈した。
ビートは流れるが次の言葉が出てこない。
その様子に、他の囲んでいた男子たちが焦っているような表情を浮かべる。
そしてドレッドヘアの男は言った。
「負けた。オマエのほうが押韻の量は多いし、うまく言葉を返している。こっちも曲がりなりにもプロだ。負けは認める」
そう言ってその場を去っていったドレッドヘアの男。
囲んでいた男子は戦々恐々としている。
こうなればきっと俺に殴りかかってくるヤツはいないだろう。
じゃあここから俺のラップタイムだ。
・【04 運動音痴を笑うな】
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俺は”運動をさせて、運動音痴を笑うヤツら”の情報を得た。
場所は校庭の隅にある鉄棒のところ。
早速、橋の下から現場に急行している時だった。
最近は本当にずっといつも近くにいる真梨子から、とあることを聞かれた。
「その情報ってどこから入るんですかっ!」
俺は走りながら答える。
「そういう情報を得ることが得意なヤツがいて、ソイツから教えてもらうんだ」
「じゃあ私のライバルですね!」
「全然ライバルじゃないだろ、むしろ味方だろ」
「恋敵という意味です!」
めっちゃハッキリ言ってくるなと思いつつ、俺は答えた。
「ソイツ男だから」
「でもダロさん! 恋愛感情は誰にでも芽生えるモノですよ!」
まあそういうもんかなぁ、確かに未来はどうなるか分からないもんな、と思いつつも、
「だが味方と思ってくれ、ただ人前に出るヤツじゃないからオマエと顔を会わせることは無いだろうけども」
「まあ一応今は味方ということにしておきます! でもダロさんの心を奪いそうになった時は!」
そう言って真梨子は走りながらも側転と前宙を決めて、またすぐさま一緒に走る。
いや!
「運動神経の良さをこの会話の時に見せるな! ボコボコにやってやるぜ、じゃないんだよ!」
「いざとなったら喧嘩も辞さない構えです!」
「会話でやれ! 会話でやらないと俺がオマエをディスることになるぞ!」
「それは困ります!」
まあ真梨子は運動神経抜群で元気そうなのは内心ホッとするところだけども、これからイジメの現場へ行くのに、何か気が緩んでいる。
ここはハッキリ言ってやるか。
「ふざける気なら、俺は即オマエのことを斬るからな」
そうドスの利いた声で言うと、真梨子の顔は一気に緊張感が走り、
「すみませんでした! ふざける気は無かったんですが、ついダロさんの隣にいることが嬉しくて!」
と申し訳無さそうな顔をしたので、まあいいかと思いつつも、
「こっからはガチのバトルだから気を引き締めろ」
「はい! 分かりました!」
そして俺と真梨子は現場に到着した。
そこでは鉄棒をしている一人の男子を、数人の男子たちが囲んでいた。
囲んでいる数人の男子はだらだらと立っていたり、ヤンキー座りをしていたりと、鉄棒の指導をしているような雰囲気は無かった。
ザッと近付き、俺は言った。
「オマエらか、クソつまんねぇことしてる連中はよぉ?」
俺を見るなり、座っていた連中は立ち上がり、囲んでいた数人の男子の一人が喋り出した。
「おっ、ダロじゃん、本当に来るんだ、すげぇすげぇ」
馬鹿にしたようにヘラヘラ笑い、それに釣られて周りの連中も笑いだした。
俺は毅然とした態度で言う。
「何がおかしいんだよ、というか俺が来ることを知っていたということは”そういうこと”をしていたってことで間違いないんだな」
「そういうこと? あぁ、イジメってことね、当たり前じゃん、俺がこの運動音痴と友達なわけないじゃん!」
その台詞に爆笑の渦が起こった。
何がおかしいのか全く分からない。
いや分かる必要も無い。
やることは、コイツらを打ち負かすことだけだから。
俺はコイツらを睨むと、一番喋ってくる男子がこう言った。
「オレたちさ、ダロくんが来ること知ってたんだよねぇ、こういうことしていると来るって話だからさぁー」
「だからどうした、用件は早く言え」
「そう粋がっていられるのも今のうちだぜぇ、なんせ、コイツは、ラップバトルの優勝者なんだぜぇ」
そう言ってその喋ってくる男子は、ドレッドヘアの男を前へ押し出した。
そのさっきまでしゃがんでいたドレッドヘアの男は明らかにデカくて貫禄もあり、高校生というよりは、大人といった感じだった。
ドレッドヘアの男は、押し出したその喋ってくる男子にこう言った。
「触んなガキが」
押し出した男子はひぃっと体を凍らせて、その場で固まった。
ドレッドヘアの男はこう言った。
「オレがラップバトルでコイツを打ち負かせば金くれるんだよな、それだけの関係だ、触んじゃねぇよ」
なるほど、お金で雇われたラッパーというわけか。
そんなことまでして俺を倒したいというわけか、上等だ。
ドレッドヘアの男は続ける。
「コイツが来なきゃ、毎回このイジメ現場へ来る度に小銭がもらえたんだが、まあこんな連中と一緒にいるのもつまんねぇし、早く来てくれて助かったわ。じゃあラップバトルだ、調子乗ったラッパーもどきはオレが殺す」
そう言ってポケットからマイクを取り出したドレッドヘアの男。
俺もマイクを取り出して構える。
別の囲んでいた男子がスマホからシンプルなビートを流し始めた。
さぁ、ここからガチのバトルだ。
真梨子は固唾を飲んで見守っているようだった。
ギャグをするタイミングも無かったみたいで、そこは良かった。
《ドレッドヘアの男》
オレの刃、オマエの命を裂いた 着火ライター、すぐさま勝利の余韻
コイントスで勝負したほうが良かったか 運での勝負じゃなきゃ終わったな
オマエの時計の針はもう止まったな オマエは所詮汚く怒鳴った蛾
に、なるだろうな、それは確定 オマエは汚い声を上げ続ける濁点
《ダロ》
作戦皆無なつまんねぇ押韻 落選マイクだ、不安定送信
誰にも響かないwi-fi オマエと勝負は意味が無い相対
解体する壊れた刃、切れ味無いや 着火ライターとか言うヤツはもう去ったライアー
バッタモン、恥ずかしく顔が発火モン オマエには無い、俺にはある家紋
《ドレッドヘアの男》
結構やるじゃん、言葉が拡散 でもオレにはある技がたくさん
刃の次は言葉の弾丸 ガンガン攻める、オマエはジリ損だ、だんだん
最後は沈める、このワンパン 正直オレの勝利はやっぱ簡単
全然雑魚だった、オマエはアホだった まだまだ未熟なアホだった
《ダロ》
いやオマエの言葉は過疎なんだ 記憶に残らない過去単打
弾丸がガンガンか、散々だ案半端 オマエのワンマンは閑散だ
俺を倒すのに、ピンはまだ早い オマエは全然、韻が語らない
ただ課題ばかりで何を言うんだ つまらない相手、俺は灰の気分だ
ここでドレッドヘアの男子は意気消沈した。
ビートは流れるが次の言葉が出てこない。
その様子に、他の囲んでいた男子たちが焦っているような表情を浮かべる。
そしてドレッドヘアの男は言った。
「負けた。オマエのほうが押韻の量は多いし、うまく言葉を返している。こっちも曲がりなりにもプロだ。負けは認める」
そう言ってその場を去っていったドレッドヘアの男。
囲んでいた男子は戦々恐々としている。
こうなればきっと俺に殴りかかってくるヤツはいないだろう。
じゃあここから俺のラップタイムだ。



