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・【12 真梨子の病状】
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真梨子に会えたのは三日後だった。キッズケータイである理由は、余計なことをネット検索させないための両親からの配慮だった。でも真梨子はなんせ本人だからもう気付いていたみたいだけども。
その作り物のように綺麗なポニーテールは実際作り物で、それを外すと下から、明らかに不健康なぼさぼさの短い髪が出てきた。
血色が悪いのはまあその通りで、簡単に言えば真梨子は病気だったのだ。
それをひた隠しにして俺と一緒にいたらしい。
汗をかきやすいってヤツも、運動している人間特有の発汗しやすいということよりはむしろ。
真梨子は病室のベッドで何度も俺に謝った。
そしてこんなことを言っていた。
「病気だと知ったら笑いづらいでしょ」
そんなわけないだろ。
バカにするなよ。
真梨子と一緒に会話出来たら、いつだって最高だろ。
真梨子の謝罪が止まったと思ったら、静かにこんなことを言い出した。
「私、もう長くないみたい。でも一応落ち着いたらまた学校通えるみたいだから、また喋れるよっ。もう処置の施しようは無いから退院していていいんだってさ」
「また一緒にいれるなぁ、なんて手放しで喜べるはずないだろ。処置の施しようがないって本当か? まずは病気のことを教えろ、全てだ」
「病名とかも? まあ私もあんま詳しくないんだけどもっ」
と、やつれた笑顔をした真梨子。
そこから俺は病室の外にいる真梨子の両親からもいろいろ聞きだして、病名なども分かった。
改めて俺と真梨子が二人きりで喋れるようにしてもらい、俺は真梨子にこう言った。
「海外で手術すれば治るって」
「それは何か知ってるよ、でもね、お金が無くてそんなのどうせ無理だから、ね、ね、ダロさん。だから生きている間は出来るだけ楽しい世界にしたかったから、その、だから、いっぱいボケて、ね、また退院したらいっぱい喋ろう」
「決めた。俺、音楽で金儲けして手術費を出すよ」
「そんなっ、ダロさんでもそんな冗談言うんですね、海外で手術なんて億越えですよ? それにそれってダロさんが嫌がっていた、セルアウトなんじゃないんですか?」
「いいや、俺は真梨子のためならなんだってやる」
俺は真梨子から目を逸らさずそう言うと、真梨子のほうが俺から目を逸らした。まるで最初の頃とは真逆だ。
俺は振り向かすために、つい大きな声が出てしまう。
「何度も言うが伝えるには言葉しかないだろ! 言えよ! 本当に!」
「でも気付いてくれたから」
「早いほうがいいだろ! SOSは早く出せば出すほどいいんだから!」
「でも言ったとてさ」
「どうにかしてやるに決まってるだろ! 今が楽しければいい? 未来も楽しくあれよ! というか俺はオマエと一緒にいると楽しいからやってやるよ!」
俺は真梨子と別れて、病院から出て行った。
何をどうすればいいか分からないが、とにかく衝動だけで路上ライブを敢行した。
でもお金なんて数千円しか集まらず、いや数千円でも実際はすごいことだと自覚はしているけども、こんな遊ぶ金程度じゃダメだ。
俺は生きる金が欲しいんだよ。
真梨子もまた退院して、学校で会話するわけだけども、今までの元気そうな雰囲気は無い。前回の吐血が決定打になってしまったらしい。
だからあれ以降、俺が真梨子の教室へ行って会話している。
「真梨子、芽以はSNSのフォロワーとやらも多いみたいで、真梨子が病気だって言えばきっと助けてくれると思うんだ。俺との仲もあるし」
でも真梨子は首を縦には振ってくれず、
「ううん、せっかく出来た友達のこと心配させたくない。私はみんなの中では元気な女の子として生きていきたいんだ」
「でも真梨子、本当にお金が集まるかもしれないんだ」
「無理だって、そんな無理な話よりも、虫の話をしよう、デッカいカブトムシの話を」
「そんな小ボケはどうでもいいんだよ」
「デッカいカブトムシを、大盛りごはんに刺してさぁ」
「大きめのボケを言えばいいって話じゃなくて」
と俺は少しイラついてしまっていることに気付き、心の中で落ち着きを取り戻そうとする。
一緒にいると楽しいからずっと生きてほしいって話なのに、一緒にいるパートでイライラしてしまったら、本末転倒だ。
でも真梨子は同じような調子でボケる。
「デッカいカブトムシが刺さった大盛りごはんに昆虫ゼリー掛けて、おあがりよー」
「誰向けの新メニュー? いやそうじゃなくてさ、本当に芽以には言ったほうがいいんだよ、ここだけは真面目に答えてほしい」
すると真梨子はう~んと唸ってから、
「やっぱり言わないで。私は元気な私のままで死にたい」
と笑った真梨子に、さすがに俺はキレそうになってしまい、
「死にたいなんて俺の前で言うなよ」
とドスの効いた声で言ってしまうと、真梨子は後ろ頭をかきながら、
「ま、まあ勿論生きたいよ、私だってずっと私のことが大好きなダロさんと一緒に生きていたいよ」
「そう、俺は真梨子のことが大好きだから一緒に生きていたい」
「こういうの恥ずかしがらずに言うんですねっ……」
と恥ずかしそうに俯いた真梨子。
「だって伝えるには言葉しかないだろ、こんなこと恥ずかしいなんて思わないわ。それと同時に、生きようとすることは恥ずかしいことじゃないんだ。仲間のことを頼ってほしい。絶対芽以にも言ったほうがいいって」
「ううん、でもそれはいい。病気の話って最期までする気無かったんだから。私、可哀想と思われたくないんだ。可哀想さんだからかまってあげようじゃ、絶対嫌なんだ」
真剣な瞳でそう言った真梨子。
俺は深呼吸してから、
「分かった。じゃあ言わない。ただ俺は普通に芽以のチカラを借りて金を得ようとするが、それはいいか?」
「全然。むしろ私のために何かしてくれるなんて嬉しいなぁ……」
そう遠い目をしたところで予鈴のチャイムが鳴ったので、俺は自分の教室に戻る。
最終的にデッドラインがいつになるかは分からないけども、出来るだけ早く達成しなければならない。
日々過ごす時でもでも何かやらないといけない。だからホームルームをしつつも俺はリリックノートに韻を書き溜めていくことにした。
授業中も時間があれば、パンチラインを考えたり、ただの授業&授業と日々を流したくない。
とは言え、ただ曲を作ってアップロードするだけじゃお金にはならない。
最近の短文系SNSにもお金を得る方法はあるらしいが、フォロワー数が無いと全然無理らしいし、そんな稼げるものでもないらしい。
俺は真梨子の病気の話は出来ないけども、芽以にも助けを求めることにした。今までの俺だったらプライドが許さず、自分から頭を下げることや連絡することすら出来なかったけども、もうそんなことを言っている場合じゃない。
昼休みに芽以へLINEして、もっと人気を出すにはどうしたらいいかと聞くと、
『急にセルアウトに目覚めたん?』
からスタートしたので、まどろっこしいなと思いつつも、自分がそういう方向性だったので、まあ仕方無いか、と思いながら、
『お金が無いとダメなことになった』
と真梨子のことは言わずに返信すると、
『何かデカいゲーミングパソコンでも欲しくなったわけだな』
というズレた解釈を恥ずかしげもなく送ってきやがった。
でもいい、それでいい、それを容認はしないけども、とにかく、
『とにかくお金が必要なんだ』
『分かった。じゃあとりあえずラップ動画撮ろう。新曲ある?』
『まだ目途は立っていない』
『じゃあとりあえずストリートライブでもして その動画を撮ってネットに上げようか 撮るのは今日ならしてあげられるよ ユーチュート・チャンネルも作っておいて』
俺はネット検索して、ユーチュート・チャンネルの作り方を調べて、とにかくやれることは芽以に会う前に全部やった。
真梨子は定期検査ということで、真梨子は病院に、俺は芽以が待つ公園へ行くと、もう芽以がいて、何故か嬉しそうに、
「いやぁ! ダロもセルアウトに目覚めたかぁ! でもそれもいい! やっぱメイク・マネーしないと活動は続かないからね! そういうプロ意識が目覚めてアタシはライバルとして嬉しいよ!」
「まあ、まあな……」
と歯切れ悪く返事してしまうと、芽以はガッツポーズしながら、
「最初は恥ずかしさもあるかもだけども、やってりゃ慣れるから! 早速ストリートライブやって、撮影しとくわ!」
と言ったところまでは本当に有難かったのだが、
「で、真梨子は?」
と聞かれた時に、俺は輪をかけて歯切れ悪く、
「よ、用事が、あって……」
と答えると、芽以は快活に、
「まあそういう日もあるか、人間生活だもんね」
と言って、簡単に納得してくれたので、ホッと一息ついた……のも束の間、テンションをしっかり上げて、本気でラップをし、いつしか人も六人くらい集まってきてくれて、最後は拍手とおひねりを少しもらえた。
動画を撮っていた芽以もバッチリみたいで、すぐに動画を送ってもらって、ユーチュート・チャンネルの文字を見ながら、動画をアップロードし、SNSにリンクを貼って、芽以にもリポストしてもらった。
でも反応はイマイチで、やっぱり既にアップロードしてしまった曲だけだったから、新鮮味が無かったようだ。
ただ何も考えずに、一週間に三本ずつアップロードなんてしなきゃ良かった。もっと金稼ぎの動線を作っていれば、と悔やまれる。
芽以のSNSもお金になっているほどフォロワーが多い状況じゃないので、芽以だけに頼っていてもジリ損だと思う。
ここは、でも、いや、とにかく俺に躊躇なんてしている暇無い。
夜のうちにアイツに連絡をとっておき、明日会えるようにしないとな。
結局俺は次の日、高校を休んだ。アイツに会って即座に次の行動をしなければならないからだ。
俺はアポをとった通り、佐々木……いや、笹木の家を訪れた。
玄関のチャイムを鳴らすと、カギが開いた音がして、開けて入ると、廊下から直通の部屋にソイツはいた。
ゲーミングPCの前で、ゲーミングチェアの上で体育座りをしている、笹木些細。
「笹木」
と声を出すと、即座にこっちを向き、笹木はこう言った。
「その笹木はちゃんと笹の木か?」
「当たり前だろ、オマエがそう思考しろって言ってんだから」
「それが当たり前ではないでしょw オマエはずっと僕のこういう活動をバカにしてさぁ」
「バカにしているわけじゃないだろ、水と油という話だ」
「でも、それが交わる時が来た、と。そうでしょ? まさか本当に高校休んでまで来るなんてね」
俺は溜息をつきながら、
「笹木がこの時間を指定してきたんだろ」
「でも割と高校が好きなダロにしては本当に休むとは思わなくてなぁ、まあそれほど本気というのもまた趣深いw」
明らかにバカにしたように笑った笹木。
まあ元々そういうヤツということは分かっているので、特になんとも思わない。
というか、
「なんせいつも感謝しているからな、イジメの情報を掴んで俺に教えてくれてさ」
「本当ぉ? そんなこと感謝してくれてるぅ?ww」
「してるって。で、本題だけどもさ、高校生でもお金を効率的に稼ぐ方法を教えてほしい」
「いやいやマジでぇw ずっとセルアウトと言ってバカにしてたじゃぁ~ん、僕のことぉw」
「だからバカにしていたわけではないだろ」
「いいやバカにしていたね!」
「じゃあこういうのはそう受け取ったほうが正しいわけだから申し訳無かった」
俺は深々と頭を下げると、笹木はクスクス笑ってから、
「まあまあ、とりまお茶でも飲んでw」
と言いながら冷蔵庫を指差した。
その冷蔵庫は透明の冷蔵庫でネオンで飾られている。中にはエナジードリンクがいっぱい入っているっぽい。
「別にエナジードリンクは俺飲まないけども」
「エナドリじゃないってぇw これはドーノというヨントリーが発売した、スパイス炭酸飲料! 今よく宣伝してんじゃん! この刺激はギルティーってさ!」
「じゃあお茶ではないだろ」
「僕からしたらお茶みたいなもんだからww 勝手に取って飲んで雑に床に座っててぇw」
「オマエはチェアで俺は床か」
「えぇー、プライド高そうで嫌かもぉーww」
「座るよ、エナジードリンクは要らないけども」
俺はそのまま床に座ると、笹木は、
「で、どういう風の吹き回し? ダロがセルアウトに目覚めるなんてさ」
「とにかく金が必要なんだ」
「遊ぶ金?」
「まあ確かに一緒に遊ぶため、かもな」
「おっww 彼女ぉっ?ww 激熱ネットニュースおつww」
「彼女ではないけども大切な人だ。とにかくこれ以上は言えない」
「もう全部言ってるじゃぁ~ん、それでセルアウトなんてねぇw ドチャクソにウケるわぁww」
俺は真っ直ぐ笹木のほうを見ながら、
「そんなことはいいとして、儲かる方法、何か知らないか? 普通にバイトならもう詰みなんだ」
「僕がバイトなんて勧めるはずないじゃぁ~ん、金払いが良いのはやっぱりオタクだねぇ」
「オタク。スパチャというヤツか?」
「そーゆーことぉ、まあダロは腹立つけどもイケメンだから生身でMVを出しつつ、Vtuter活動したらいいと思うわぁ」
俺は小首を傾げながら、
「何か、ちょっと勉強しただけだけどもさ、生身とVtuterって両立していいのか? Vtuterってアニメになるってことだろ。やっぱりチャンネルは別々のほうがいいのか?」
笹木はハハッと高笑いしてから、
「いやいや! オタクってのは勝手に妄想してくれるから、両立して全然おkだし、同じチャンネルでも気にしないよっ。効率良く稼げるぜぇ~ww 生身が見たい日とVで見たい日それぞれあるもんなんでねww まあ作品が中身で、日常がVって考えて、おk」
「その、MVはなんとなく分かるから、Vtuterってヤツを教えてほしい。頼む」
改めてまた頭を下げると、笹木は吹き出して笑ってから、
「あー、楽しーw あんなセルアウトをバカにしていたヤツの手のひら返しくるくる、おもしろーww じゃあ機材は僕のお古でおkね、絵もまあ適当に僕が描いていたストックから適当に選んでぇw ホントはお金とりたいけども、まあ彼女と遊ぶ金ほしさww ってとこで、後回しでいいよぉーw 儲かってきたらちょっとは返してねぇーw」
ずっと腹立つ喋りだが、こっちが教えを乞うている立場なので全然良い。
俺は笹木からVtuterのやり方から、やったほうが良い所作まで全部教えてもらって、おさがりの機材を持って家へ戻ってきて、早速試しに動画を撮ってみた。
動画を作ることは一応出来て、まずは人気獲得のためにゲーム実況をしたらいいと笹木から教えてもらっていたので、ゲーム実況をすることにした。
とにかくゲーム実況は見ているだけで、それなりに面白いし、喋りが真面目で拙い俺でも大丈夫って言っていた……って、誰が喋りは真面目で拙いだ、即興でラップとかしてんだよ。
まあいいか、ゲーム実況はみんな家にいる、午後八時以降が良いという話なので、それまでの時間、笹木からもらったインテンドースイッチ1の操作に慣れるため、いろいろイジっていた。
午後八時になり、芽以にもLINEで予告していたので、Vtuterデビューの生配信を開始し、リポストしてもらった。
笹木のオススメである、金太郎電鉄というボードゲームをすることにした。とにかくこのゲームはやっているだけであらゆるミラクルが起きるので、初心者にはオススメらしい。
というわけでゲーム実況を開始したわけだが、何か盛り上がっているという感覚があまり無い。なんというか手応えが無いに近いかもしれない。
俺はもうすごい量の持ち金マイナスになり、コンピューターとの対決は勝ち目ゼロみたいな感じで、見せ場があるようには思えない。
でもまあコメント欄はそれなりに活気があり、何が何やらという感じだ。俺の不幸が蜜の味みたいなこと? でもこれ、カッコ悪くないか?
なんというか、これなら別に俺じゃなくてもいいじゃん感が常にある。新人の拙さを見に来ているだけ? 何か腹立つな。
あぁ、そうだ、俺ラッパーなんだから、即興でラップしながらやりゃいいじゃん、と思って、最後の一年の前に、俺は決算画面でボタンを停止させてから、
「まあ俺ラッパーなんで、最後の一年は即興でラップしながら、ゲーム実況します」
と宣言してから、俺はゲーム実況を再開させた。
《ダロ》
四月スタート、気持ちはフラット 実際は借金で喰らうよ、どんよりクラウド
桜舞ってる、というか既に散ってる いやみんな知ってる、カードはもう切ってる
カード袋はゼロ、虚ろな目を しているがVtuterだからバレていない
でもまあここからあえて期待 したい未来、良好視界でありたい
振るサイコロ、はい5と 焼け石に水、こんな状況じゃ誰も見ず?
でも同時接続17で有難い この気持ちは何者にも代えがたい
コンピュータ、サイコロ投球だ 1でラッキー、あ、ゴール?
背筋がもう、あぁ、凍る 目的地の観客、何かしているコール
もう大差、俺は包帯だ でも交代はいない、まあ崩壊さ
もう一人のコンピュータすぐカード 吸うカード? いやお金!
コンピュータがコンピュータへ攻撃している 俺は蚊帳の外から見ている
何か悪魔にお金を吸われてく 逆にラッキー、裏セーフ
独走は最悪だから、ささっ 五月は改革、頭から
ってやることサイコロ振るだけで 結局俺はすぐダメで
2って2じゃん、一手じゃ効かん というかもう知ってるわ
次のコンピュータはカード切る 喰らうのは、あっ、どいつ?
えっ全員? しっぺ返し? 待て! というか俺は何もしてない喘ぎだけ
剛速球? 危険そう! もう号泣! 試練そう!
あ、俺大丈夫だった、ラッキー 別コンピュータがカード割られた、ラッキー
というか俺カードナシだったから ラッキーとかじゃなくて意味無しだから?
蚊帳の外、悲しいし どうせなら当たり引き、すぐ割られる
とかが良かった、見せ場無し終わった したかった物件駅で店話(みせはなし)とかっ、さ
したいわ、数%の計算とか この土地にスーパー銭湯を提案とか
名案とか浮かばないし コンピュータと分かれる明暗
あぁ、コメント有難う 自ら物件を決めて建てる機能は無いと
無知とか無理とか思っていたのに 不意に自分が無知無知無知
まあ無味の配信よりはマシか 味は爽やかがいいのに、しょっぱい涙
大なりにならない経営小なり しょうもない也(なり)、韻もしょうもない恥
旅の恥は掻き捨てって サイコロの数小さい、このまま本当にマズイ未来
旅の範囲が狭過ぎる 俺が鉄道会社? デマ過ぎる
こんな会社についてくる秘書、偉過ぎる でもさすがに秘書は、今悔いる?
そんなこんなでもう八月、トップは勝ち確 俺は下位確
下位確なんて言葉ねぇだろ 改革したい、再開発したい
でも結局最下位確みたい ネガティブな造語、こんな大会隠したい
実際はネットで生配信、流れ 俺の人生のただ最新なだけ
俺の今現在の人生見てくれて有難う ところで俺の伸びしろ在り処どこ?
……あー、カード駅行ったほうがいい? エンジェルとったほうがいい?
その前に徳政令? 大丈夫か、そんな国政で?
ヘリ行くと借金がゼロになる? 飛ぶってか、海外に行くの? あぁ、似合う
有難う、コメントいっぱい でも今回はどう考えても失敗
十月ヘリ! ゼロ借金! 今さら好発進! ゴールの近くだ! 脱皮!
やっぱり何事も知らないと バカが一番なんて幻想要らないよ
カード駅ゴー 無駄に英語 コメント欄はエンジェル連呼
あ! 出た! いいのこれっ? コメント欄全てが「いいよ! これぇ!」
間に合う? 改革? どうなるの、今日がまさか大作?
ミカエルになればって全て運次第? でも運だけの社長って君子かい?
まあいいまあいい勝負は勝ってこそ 何か緊張してきた、待って鼓動
十二月に初到着! 表す頭角! 将来をこれからどう書く?
物件全BET、お金吸われるかもだから さすがにあの攻撃、過度だから
え? でも大丈夫? 確かにそのカードは無くてそれは過去だから?
まあでも何が起こるかだし ん? 闇が覆う……当たり?
トップにキング、この世界にはいない神父 キングのオーラはまるで鱗粉
一月サイコロ 1だけど隣の物件買える 新たな人々に会える
おい! 二番手! ゴールするなよ! セーフ! 俺今デカい声の芸風
そんな系譜じゃなかったのに まだまだ俺の頭脳は青い
つか紫画面、何あの火炎 黒いサイコロ、めっちゃ振ってめっちゃマイナス
もう韻踏んでる場合じゃない! でもここで踏まなきゃ、俺の課題!
トップ転落? この情報正確? 人生の折れ線グラフは鋭角
二月も物件買う 復権増す いや元々底辺だから成り上がりか、ハズっ
おい! おい! おぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!
二番手ゴール! 到着! 俺にキングじゃん! 最悪!
三月ラスト耐えてくれ 俺の社長人生変えてくれ
えっ、このエフェクトなに? 御神籤? 危険そう? 危険、濃口?
おい! おい! そんなはずないだろ! マイナス百億っ?
獲得じゃなくてマイナス? はいはい、ではこの造語で終わりましょう。
マイナスで下位確!
無我夢中でゲーム実況しながらラップをしていただけだったのだが、どうやら芽以が後半のラップ部分でゲーム実況の宣伝になるような切り抜きとやらを作ってくれて、動画への動線を作ってくれたおかげで、俺のユーチュート・チャンネルの登録者数が一気に増えたのであった。
・【12 真梨子の病状】
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真梨子に会えたのは三日後だった。キッズケータイである理由は、余計なことをネット検索させないための両親からの配慮だった。でも真梨子はなんせ本人だからもう気付いていたみたいだけども。
その作り物のように綺麗なポニーテールは実際作り物で、それを外すと下から、明らかに不健康なぼさぼさの短い髪が出てきた。
血色が悪いのはまあその通りで、簡単に言えば真梨子は病気だったのだ。
それをひた隠しにして俺と一緒にいたらしい。
汗をかきやすいってヤツも、運動している人間特有の発汗しやすいということよりはむしろ。
真梨子は病室のベッドで何度も俺に謝った。
そしてこんなことを言っていた。
「病気だと知ったら笑いづらいでしょ」
そんなわけないだろ。
バカにするなよ。
真梨子と一緒に会話出来たら、いつだって最高だろ。
真梨子の謝罪が止まったと思ったら、静かにこんなことを言い出した。
「私、もう長くないみたい。でも一応落ち着いたらまた学校通えるみたいだから、また喋れるよっ。もう処置の施しようは無いから退院していていいんだってさ」
「また一緒にいれるなぁ、なんて手放しで喜べるはずないだろ。処置の施しようがないって本当か? まずは病気のことを教えろ、全てだ」
「病名とかも? まあ私もあんま詳しくないんだけどもっ」
と、やつれた笑顔をした真梨子。
そこから俺は病室の外にいる真梨子の両親からもいろいろ聞きだして、病名なども分かった。
改めて俺と真梨子が二人きりで喋れるようにしてもらい、俺は真梨子にこう言った。
「海外で手術すれば治るって」
「それは何か知ってるよ、でもね、お金が無くてそんなのどうせ無理だから、ね、ね、ダロさん。だから生きている間は出来るだけ楽しい世界にしたかったから、その、だから、いっぱいボケて、ね、また退院したらいっぱい喋ろう」
「決めた。俺、音楽で金儲けして手術費を出すよ」
「そんなっ、ダロさんでもそんな冗談言うんですね、海外で手術なんて億越えですよ? それにそれってダロさんが嫌がっていた、セルアウトなんじゃないんですか?」
「いいや、俺は真梨子のためならなんだってやる」
俺は真梨子から目を逸らさずそう言うと、真梨子のほうが俺から目を逸らした。まるで最初の頃とは真逆だ。
俺は振り向かすために、つい大きな声が出てしまう。
「何度も言うが伝えるには言葉しかないだろ! 言えよ! 本当に!」
「でも気付いてくれたから」
「早いほうがいいだろ! SOSは早く出せば出すほどいいんだから!」
「でも言ったとてさ」
「どうにかしてやるに決まってるだろ! 今が楽しければいい? 未来も楽しくあれよ! というか俺はオマエと一緒にいると楽しいからやってやるよ!」
俺は真梨子と別れて、病院から出て行った。
何をどうすればいいか分からないが、とにかく衝動だけで路上ライブを敢行した。
でもお金なんて数千円しか集まらず、いや数千円でも実際はすごいことだと自覚はしているけども、こんな遊ぶ金程度じゃダメだ。
俺は生きる金が欲しいんだよ。
真梨子もまた退院して、学校で会話するわけだけども、今までの元気そうな雰囲気は無い。前回の吐血が決定打になってしまったらしい。
だからあれ以降、俺が真梨子の教室へ行って会話している。
「真梨子、芽以はSNSのフォロワーとやらも多いみたいで、真梨子が病気だって言えばきっと助けてくれると思うんだ。俺との仲もあるし」
でも真梨子は首を縦には振ってくれず、
「ううん、せっかく出来た友達のこと心配させたくない。私はみんなの中では元気な女の子として生きていきたいんだ」
「でも真梨子、本当にお金が集まるかもしれないんだ」
「無理だって、そんな無理な話よりも、虫の話をしよう、デッカいカブトムシの話を」
「そんな小ボケはどうでもいいんだよ」
「デッカいカブトムシを、大盛りごはんに刺してさぁ」
「大きめのボケを言えばいいって話じゃなくて」
と俺は少しイラついてしまっていることに気付き、心の中で落ち着きを取り戻そうとする。
一緒にいると楽しいからずっと生きてほしいって話なのに、一緒にいるパートでイライラしてしまったら、本末転倒だ。
でも真梨子は同じような調子でボケる。
「デッカいカブトムシが刺さった大盛りごはんに昆虫ゼリー掛けて、おあがりよー」
「誰向けの新メニュー? いやそうじゃなくてさ、本当に芽以には言ったほうがいいんだよ、ここだけは真面目に答えてほしい」
すると真梨子はう~んと唸ってから、
「やっぱり言わないで。私は元気な私のままで死にたい」
と笑った真梨子に、さすがに俺はキレそうになってしまい、
「死にたいなんて俺の前で言うなよ」
とドスの効いた声で言ってしまうと、真梨子は後ろ頭をかきながら、
「ま、まあ勿論生きたいよ、私だってずっと私のことが大好きなダロさんと一緒に生きていたいよ」
「そう、俺は真梨子のことが大好きだから一緒に生きていたい」
「こういうの恥ずかしがらずに言うんですねっ……」
と恥ずかしそうに俯いた真梨子。
「だって伝えるには言葉しかないだろ、こんなこと恥ずかしいなんて思わないわ。それと同時に、生きようとすることは恥ずかしいことじゃないんだ。仲間のことを頼ってほしい。絶対芽以にも言ったほうがいいって」
「ううん、でもそれはいい。病気の話って最期までする気無かったんだから。私、可哀想と思われたくないんだ。可哀想さんだからかまってあげようじゃ、絶対嫌なんだ」
真剣な瞳でそう言った真梨子。
俺は深呼吸してから、
「分かった。じゃあ言わない。ただ俺は普通に芽以のチカラを借りて金を得ようとするが、それはいいか?」
「全然。むしろ私のために何かしてくれるなんて嬉しいなぁ……」
そう遠い目をしたところで予鈴のチャイムが鳴ったので、俺は自分の教室に戻る。
最終的にデッドラインがいつになるかは分からないけども、出来るだけ早く達成しなければならない。
日々過ごす時でもでも何かやらないといけない。だからホームルームをしつつも俺はリリックノートに韻を書き溜めていくことにした。
授業中も時間があれば、パンチラインを考えたり、ただの授業&授業と日々を流したくない。
とは言え、ただ曲を作ってアップロードするだけじゃお金にはならない。
最近の短文系SNSにもお金を得る方法はあるらしいが、フォロワー数が無いと全然無理らしいし、そんな稼げるものでもないらしい。
俺は真梨子の病気の話は出来ないけども、芽以にも助けを求めることにした。今までの俺だったらプライドが許さず、自分から頭を下げることや連絡することすら出来なかったけども、もうそんなことを言っている場合じゃない。
昼休みに芽以へLINEして、もっと人気を出すにはどうしたらいいかと聞くと、
『急にセルアウトに目覚めたん?』
からスタートしたので、まどろっこしいなと思いつつも、自分がそういう方向性だったので、まあ仕方無いか、と思いながら、
『お金が無いとダメなことになった』
と真梨子のことは言わずに返信すると、
『何かデカいゲーミングパソコンでも欲しくなったわけだな』
というズレた解釈を恥ずかしげもなく送ってきやがった。
でもいい、それでいい、それを容認はしないけども、とにかく、
『とにかくお金が必要なんだ』
『分かった。じゃあとりあえずラップ動画撮ろう。新曲ある?』
『まだ目途は立っていない』
『じゃあとりあえずストリートライブでもして その動画を撮ってネットに上げようか 撮るのは今日ならしてあげられるよ ユーチュート・チャンネルも作っておいて』
俺はネット検索して、ユーチュート・チャンネルの作り方を調べて、とにかくやれることは芽以に会う前に全部やった。
真梨子は定期検査ということで、真梨子は病院に、俺は芽以が待つ公園へ行くと、もう芽以がいて、何故か嬉しそうに、
「いやぁ! ダロもセルアウトに目覚めたかぁ! でもそれもいい! やっぱメイク・マネーしないと活動は続かないからね! そういうプロ意識が目覚めてアタシはライバルとして嬉しいよ!」
「まあ、まあな……」
と歯切れ悪く返事してしまうと、芽以はガッツポーズしながら、
「最初は恥ずかしさもあるかもだけども、やってりゃ慣れるから! 早速ストリートライブやって、撮影しとくわ!」
と言ったところまでは本当に有難かったのだが、
「で、真梨子は?」
と聞かれた時に、俺は輪をかけて歯切れ悪く、
「よ、用事が、あって……」
と答えると、芽以は快活に、
「まあそういう日もあるか、人間生活だもんね」
と言って、簡単に納得してくれたので、ホッと一息ついた……のも束の間、テンションをしっかり上げて、本気でラップをし、いつしか人も六人くらい集まってきてくれて、最後は拍手とおひねりを少しもらえた。
動画を撮っていた芽以もバッチリみたいで、すぐに動画を送ってもらって、ユーチュート・チャンネルの文字を見ながら、動画をアップロードし、SNSにリンクを貼って、芽以にもリポストしてもらった。
でも反応はイマイチで、やっぱり既にアップロードしてしまった曲だけだったから、新鮮味が無かったようだ。
ただ何も考えずに、一週間に三本ずつアップロードなんてしなきゃ良かった。もっと金稼ぎの動線を作っていれば、と悔やまれる。
芽以のSNSもお金になっているほどフォロワーが多い状況じゃないので、芽以だけに頼っていてもジリ損だと思う。
ここは、でも、いや、とにかく俺に躊躇なんてしている暇無い。
夜のうちにアイツに連絡をとっておき、明日会えるようにしないとな。
結局俺は次の日、高校を休んだ。アイツに会って即座に次の行動をしなければならないからだ。
俺はアポをとった通り、佐々木……いや、笹木の家を訪れた。
玄関のチャイムを鳴らすと、カギが開いた音がして、開けて入ると、廊下から直通の部屋にソイツはいた。
ゲーミングPCの前で、ゲーミングチェアの上で体育座りをしている、笹木些細。
「笹木」
と声を出すと、即座にこっちを向き、笹木はこう言った。
「その笹木はちゃんと笹の木か?」
「当たり前だろ、オマエがそう思考しろって言ってんだから」
「それが当たり前ではないでしょw オマエはずっと僕のこういう活動をバカにしてさぁ」
「バカにしているわけじゃないだろ、水と油という話だ」
「でも、それが交わる時が来た、と。そうでしょ? まさか本当に高校休んでまで来るなんてね」
俺は溜息をつきながら、
「笹木がこの時間を指定してきたんだろ」
「でも割と高校が好きなダロにしては本当に休むとは思わなくてなぁ、まあそれほど本気というのもまた趣深いw」
明らかにバカにしたように笑った笹木。
まあ元々そういうヤツということは分かっているので、特になんとも思わない。
というか、
「なんせいつも感謝しているからな、イジメの情報を掴んで俺に教えてくれてさ」
「本当ぉ? そんなこと感謝してくれてるぅ?ww」
「してるって。で、本題だけどもさ、高校生でもお金を効率的に稼ぐ方法を教えてほしい」
「いやいやマジでぇw ずっとセルアウトと言ってバカにしてたじゃぁ~ん、僕のことぉw」
「だからバカにしていたわけではないだろ」
「いいやバカにしていたね!」
「じゃあこういうのはそう受け取ったほうが正しいわけだから申し訳無かった」
俺は深々と頭を下げると、笹木はクスクス笑ってから、
「まあまあ、とりまお茶でも飲んでw」
と言いながら冷蔵庫を指差した。
その冷蔵庫は透明の冷蔵庫でネオンで飾られている。中にはエナジードリンクがいっぱい入っているっぽい。
「別にエナジードリンクは俺飲まないけども」
「エナドリじゃないってぇw これはドーノというヨントリーが発売した、スパイス炭酸飲料! 今よく宣伝してんじゃん! この刺激はギルティーってさ!」
「じゃあお茶ではないだろ」
「僕からしたらお茶みたいなもんだからww 勝手に取って飲んで雑に床に座っててぇw」
「オマエはチェアで俺は床か」
「えぇー、プライド高そうで嫌かもぉーww」
「座るよ、エナジードリンクは要らないけども」
俺はそのまま床に座ると、笹木は、
「で、どういう風の吹き回し? ダロがセルアウトに目覚めるなんてさ」
「とにかく金が必要なんだ」
「遊ぶ金?」
「まあ確かに一緒に遊ぶため、かもな」
「おっww 彼女ぉっ?ww 激熱ネットニュースおつww」
「彼女ではないけども大切な人だ。とにかくこれ以上は言えない」
「もう全部言ってるじゃぁ~ん、それでセルアウトなんてねぇw ドチャクソにウケるわぁww」
俺は真っ直ぐ笹木のほうを見ながら、
「そんなことはいいとして、儲かる方法、何か知らないか? 普通にバイトならもう詰みなんだ」
「僕がバイトなんて勧めるはずないじゃぁ~ん、金払いが良いのはやっぱりオタクだねぇ」
「オタク。スパチャというヤツか?」
「そーゆーことぉ、まあダロは腹立つけどもイケメンだから生身でMVを出しつつ、Vtuter活動したらいいと思うわぁ」
俺は小首を傾げながら、
「何か、ちょっと勉強しただけだけどもさ、生身とVtuterって両立していいのか? Vtuterってアニメになるってことだろ。やっぱりチャンネルは別々のほうがいいのか?」
笹木はハハッと高笑いしてから、
「いやいや! オタクってのは勝手に妄想してくれるから、両立して全然おkだし、同じチャンネルでも気にしないよっ。効率良く稼げるぜぇ~ww 生身が見たい日とVで見たい日それぞれあるもんなんでねww まあ作品が中身で、日常がVって考えて、おk」
「その、MVはなんとなく分かるから、Vtuterってヤツを教えてほしい。頼む」
改めてまた頭を下げると、笹木は吹き出して笑ってから、
「あー、楽しーw あんなセルアウトをバカにしていたヤツの手のひら返しくるくる、おもしろーww じゃあ機材は僕のお古でおkね、絵もまあ適当に僕が描いていたストックから適当に選んでぇw ホントはお金とりたいけども、まあ彼女と遊ぶ金ほしさww ってとこで、後回しでいいよぉーw 儲かってきたらちょっとは返してねぇーw」
ずっと腹立つ喋りだが、こっちが教えを乞うている立場なので全然良い。
俺は笹木からVtuterのやり方から、やったほうが良い所作まで全部教えてもらって、おさがりの機材を持って家へ戻ってきて、早速試しに動画を撮ってみた。
動画を作ることは一応出来て、まずは人気獲得のためにゲーム実況をしたらいいと笹木から教えてもらっていたので、ゲーム実況をすることにした。
とにかくゲーム実況は見ているだけで、それなりに面白いし、喋りが真面目で拙い俺でも大丈夫って言っていた……って、誰が喋りは真面目で拙いだ、即興でラップとかしてんだよ。
まあいいか、ゲーム実況はみんな家にいる、午後八時以降が良いという話なので、それまでの時間、笹木からもらったインテンドースイッチ1の操作に慣れるため、いろいろイジっていた。
午後八時になり、芽以にもLINEで予告していたので、Vtuterデビューの生配信を開始し、リポストしてもらった。
笹木のオススメである、金太郎電鉄というボードゲームをすることにした。とにかくこのゲームはやっているだけであらゆるミラクルが起きるので、初心者にはオススメらしい。
というわけでゲーム実況を開始したわけだが、何か盛り上がっているという感覚があまり無い。なんというか手応えが無いに近いかもしれない。
俺はもうすごい量の持ち金マイナスになり、コンピューターとの対決は勝ち目ゼロみたいな感じで、見せ場があるようには思えない。
でもまあコメント欄はそれなりに活気があり、何が何やらという感じだ。俺の不幸が蜜の味みたいなこと? でもこれ、カッコ悪くないか?
なんというか、これなら別に俺じゃなくてもいいじゃん感が常にある。新人の拙さを見に来ているだけ? 何か腹立つな。
あぁ、そうだ、俺ラッパーなんだから、即興でラップしながらやりゃいいじゃん、と思って、最後の一年の前に、俺は決算画面でボタンを停止させてから、
「まあ俺ラッパーなんで、最後の一年は即興でラップしながら、ゲーム実況します」
と宣言してから、俺はゲーム実況を再開させた。
《ダロ》
四月スタート、気持ちはフラット 実際は借金で喰らうよ、どんよりクラウド
桜舞ってる、というか既に散ってる いやみんな知ってる、カードはもう切ってる
カード袋はゼロ、虚ろな目を しているがVtuterだからバレていない
でもまあここからあえて期待 したい未来、良好視界でありたい
振るサイコロ、はい5と 焼け石に水、こんな状況じゃ誰も見ず?
でも同時接続17で有難い この気持ちは何者にも代えがたい
コンピュータ、サイコロ投球だ 1でラッキー、あ、ゴール?
背筋がもう、あぁ、凍る 目的地の観客、何かしているコール
もう大差、俺は包帯だ でも交代はいない、まあ崩壊さ
もう一人のコンピュータすぐカード 吸うカード? いやお金!
コンピュータがコンピュータへ攻撃している 俺は蚊帳の外から見ている
何か悪魔にお金を吸われてく 逆にラッキー、裏セーフ
独走は最悪だから、ささっ 五月は改革、頭から
ってやることサイコロ振るだけで 結局俺はすぐダメで
2って2じゃん、一手じゃ効かん というかもう知ってるわ
次のコンピュータはカード切る 喰らうのは、あっ、どいつ?
えっ全員? しっぺ返し? 待て! というか俺は何もしてない喘ぎだけ
剛速球? 危険そう! もう号泣! 試練そう!
あ、俺大丈夫だった、ラッキー 別コンピュータがカード割られた、ラッキー
というか俺カードナシだったから ラッキーとかじゃなくて意味無しだから?
蚊帳の外、悲しいし どうせなら当たり引き、すぐ割られる
とかが良かった、見せ場無し終わった したかった物件駅で店話(みせはなし)とかっ、さ
したいわ、数%の計算とか この土地にスーパー銭湯を提案とか
名案とか浮かばないし コンピュータと分かれる明暗
あぁ、コメント有難う 自ら物件を決めて建てる機能は無いと
無知とか無理とか思っていたのに 不意に自分が無知無知無知
まあ無味の配信よりはマシか 味は爽やかがいいのに、しょっぱい涙
大なりにならない経営小なり しょうもない也(なり)、韻もしょうもない恥
旅の恥は掻き捨てって サイコロの数小さい、このまま本当にマズイ未来
旅の範囲が狭過ぎる 俺が鉄道会社? デマ過ぎる
こんな会社についてくる秘書、偉過ぎる でもさすがに秘書は、今悔いる?
そんなこんなでもう八月、トップは勝ち確 俺は下位確
下位確なんて言葉ねぇだろ 改革したい、再開発したい
でも結局最下位確みたい ネガティブな造語、こんな大会隠したい
実際はネットで生配信、流れ 俺の人生のただ最新なだけ
俺の今現在の人生見てくれて有難う ところで俺の伸びしろ在り処どこ?
……あー、カード駅行ったほうがいい? エンジェルとったほうがいい?
その前に徳政令? 大丈夫か、そんな国政で?
ヘリ行くと借金がゼロになる? 飛ぶってか、海外に行くの? あぁ、似合う
有難う、コメントいっぱい でも今回はどう考えても失敗
十月ヘリ! ゼロ借金! 今さら好発進! ゴールの近くだ! 脱皮!
やっぱり何事も知らないと バカが一番なんて幻想要らないよ
カード駅ゴー 無駄に英語 コメント欄はエンジェル連呼
あ! 出た! いいのこれっ? コメント欄全てが「いいよ! これぇ!」
間に合う? 改革? どうなるの、今日がまさか大作?
ミカエルになればって全て運次第? でも運だけの社長って君子かい?
まあいいまあいい勝負は勝ってこそ 何か緊張してきた、待って鼓動
十二月に初到着! 表す頭角! 将来をこれからどう書く?
物件全BET、お金吸われるかもだから さすがにあの攻撃、過度だから
え? でも大丈夫? 確かにそのカードは無くてそれは過去だから?
まあでも何が起こるかだし ん? 闇が覆う……当たり?
トップにキング、この世界にはいない神父 キングのオーラはまるで鱗粉
一月サイコロ 1だけど隣の物件買える 新たな人々に会える
おい! 二番手! ゴールするなよ! セーフ! 俺今デカい声の芸風
そんな系譜じゃなかったのに まだまだ俺の頭脳は青い
つか紫画面、何あの火炎 黒いサイコロ、めっちゃ振ってめっちゃマイナス
もう韻踏んでる場合じゃない! でもここで踏まなきゃ、俺の課題!
トップ転落? この情報正確? 人生の折れ線グラフは鋭角
二月も物件買う 復権増す いや元々底辺だから成り上がりか、ハズっ
おい! おい! おぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!
二番手ゴール! 到着! 俺にキングじゃん! 最悪!
三月ラスト耐えてくれ 俺の社長人生変えてくれ
えっ、このエフェクトなに? 御神籤? 危険そう? 危険、濃口?
おい! おい! そんなはずないだろ! マイナス百億っ?
獲得じゃなくてマイナス? はいはい、ではこの造語で終わりましょう。
マイナスで下位確!
無我夢中でゲーム実況しながらラップをしていただけだったのだが、どうやら芽以が後半のラップ部分でゲーム実況の宣伝になるような切り抜きとやらを作ってくれて、動画への動線を作ってくれたおかげで、俺のユーチュート・チャンネルの登録者数が一気に増えたのであった。



