昼休憩、持参した弁当を食べ終わった楓は、消しゴムを返してもらうために中庭へと足を運んだ。校舎に挟まれた中庭にはほとんど人の姿は無く、植え込みなどの死角が多いため周囲からは見え難い構造になっている。その中でも校舎の2階、3階からも見えない場所で川崎を始めとする6人は楓を待ち構えていた。
この状況に至ったのは、ほんの些細な理由からだ。川崎は特に楓か気に入らないという訳ではない。最初に生意気な態度をとった赤坂。締めている途中に現れて見事なスルーをした楓。その態度にメンツを潰されたと感じた川崎が、グループがクラスの中心であることを誇示しようとしているだけだ。こんな目立たない場所で示しをつけても無意味かも知れないが、既に楓以外のクラスメートにクラスの頂点だと認められている今、下手に問題を起して教師に目を付けられてはマイナスの方が大きくなってしまうのだ。
楓が中庭に足を踏み入れると、少し奥まった位置から川崎の声が聞こえた。
「黒崎さん、こっちに来てくれるかな」
川崎に手招きをされ、楓は6人が待ち構えている方向へと進む。川崎の前まで辿り着くと、周囲に潜んでいた他の5人が楓を取り囲むように姿を現した。楓は6人の真ん中に立っているが、特に気にする素振りも見せず川崎に話し掛ける。
「消しゴム、約束したとおりに返して下さい」
そんな態度の楓を目にし、川崎の不快感はMAXに達した。クラスの中心であり、最近では学年でも注目されている自分を軽視しているようにしか思えなかったからだ。
「消しゴム?これが、アンタの消しゴムだって言ったでしょ」
川崎が自らの手で細切れにした消しゴムを、楓の頭の上に落とした。消しゴムは楓の頭を滑り落ち、バラバラと地面へと落ちていく。それを目にした楓は、今朝と同じように首を左右に振った。
「ですから、私の消しゴムはこんな小さくはなくて、まだ買ったばかりなので」
「あのさ、わざとなの?それとも、本物のバカなの?アンタから借りた消しゴムは、アタシが、この手で、カッターナイフでバラバラにしたんだから、これがアンタの消しゴムなのよ」
川崎は楓の肩口を強く押して地面に倒した。
楓は自分の目の前に散らばる消しゴムの残骸を手に取り、そのままの姿勢で振り返った。
「使えない状態にしたということは、約束を破ったということですか?」
「約束?どんな約束したっけ。ぜんっぜん、覚えてないんだけど。アハハッ」
楓の言葉を聞いた川崎が、嘲笑いながら答える。
「オマエみたいな底辺と、オレ達のようなトップとの約束が守られるはずがないだろ!!」
「そうよ、アンタのようなゴミは、アタシ達の遊び度具でしかないんだから。同じ目線な訳がないでしょ。なに勘違いしてんの?」
楓を取り囲んでいる者達が、約束を反故にしたことを当然のように口にし、自分達を格上として正当化する。
「そういうことであれば、先生に報告します」
立ち上がろうとした楓が秋山に押されて、今度は地面に転がってしまう。
「それは、ちょっと困るなあ」
「だよね。二度と反抗的な態度ができないように、しっかり心を折っておくかな」
取り巻きの一人が手にしていたペットボトルのキャップを回し、中の水を倒れ伏している楓の頭にダバダバと垂らした。一瞬にして地面が水を含んで濃い色に変わり、楓の長い髪が水浸しになって頭に張り付いた。
「もう1本いっとく?」
ゲラゲラと大声で笑いながら、別の男子生徒が新しいペットボトルを開けて再び頭のうえから容赦なくかける。楓が倒れている場所に水溜りができ、髪だけではなく制服もずぶ濡れになった。
普通であれば泣き叫ぶ状況であるが、楓は平然とした顔で周囲を見渡した。
「なぜ、こんな酷いことをするんですか?私は貴女に対して、何も悪いことをしていないと思いますけど」
少しも動じていない気丈な態度に、川崎が一瞬気圧されえる。それでも、川崎はここで引く訳にはいかない。それに、まだ躾はまだ始まったばかりなのだ。
「ふん、いつまでそんな生意気な態度でいれるのかしらね」
川崎は横に立っている秋山に視線で合図を送る。
「いや、炭酸はマズイだろ?髪とか制服に残ったら、さすがに誤魔化せないぞ」
糖質を含んだ炭酸飲料をかければ、無駄に長い髪も制服もベタベタになって授業を受けるどころではないだろうと川崎は考えた。しかし、後のことを考えて秋山に止められる。
「それなら、無理矢理飲ませればいいんじゃね?炭酸飲料を口に流し込まれたら、苦しいなんてもんじゃないぞ。頭からぶっ掛けるより、よっぽど効果的だと思うぞ」
秋山とは反対がに立ってる男子生徒が、笑いながら提案する。
「それはいい案かもね。ソイツの頭を押さえて、炭酸飲料を思い切り流し込んで。多少苦しくて吐くかも知れないけど、死にはしないでしょ。それに、何度か繰り返せば、アタシ達に舐めた態度を取ったことを泣きながら謝るでしょ」
川崎の言葉を聞いた秋山が楓に近寄ると、頭を掴んで上を向かせる。そこにもう1人男子生徒がペットボトルを手にして近付いた。そして、炭酸飲料のペッとボトルを開封し、頬を挟んで強引に楓の口を開かせた。
この状況に至ったのは、ほんの些細な理由からだ。川崎は特に楓か気に入らないという訳ではない。最初に生意気な態度をとった赤坂。締めている途中に現れて見事なスルーをした楓。その態度にメンツを潰されたと感じた川崎が、グループがクラスの中心であることを誇示しようとしているだけだ。こんな目立たない場所で示しをつけても無意味かも知れないが、既に楓以外のクラスメートにクラスの頂点だと認められている今、下手に問題を起して教師に目を付けられてはマイナスの方が大きくなってしまうのだ。
楓が中庭に足を踏み入れると、少し奥まった位置から川崎の声が聞こえた。
「黒崎さん、こっちに来てくれるかな」
川崎に手招きをされ、楓は6人が待ち構えている方向へと進む。川崎の前まで辿り着くと、周囲に潜んでいた他の5人が楓を取り囲むように姿を現した。楓は6人の真ん中に立っているが、特に気にする素振りも見せず川崎に話し掛ける。
「消しゴム、約束したとおりに返して下さい」
そんな態度の楓を目にし、川崎の不快感はMAXに達した。クラスの中心であり、最近では学年でも注目されている自分を軽視しているようにしか思えなかったからだ。
「消しゴム?これが、アンタの消しゴムだって言ったでしょ」
川崎が自らの手で細切れにした消しゴムを、楓の頭の上に落とした。消しゴムは楓の頭を滑り落ち、バラバラと地面へと落ちていく。それを目にした楓は、今朝と同じように首を左右に振った。
「ですから、私の消しゴムはこんな小さくはなくて、まだ買ったばかりなので」
「あのさ、わざとなの?それとも、本物のバカなの?アンタから借りた消しゴムは、アタシが、この手で、カッターナイフでバラバラにしたんだから、これがアンタの消しゴムなのよ」
川崎は楓の肩口を強く押して地面に倒した。
楓は自分の目の前に散らばる消しゴムの残骸を手に取り、そのままの姿勢で振り返った。
「使えない状態にしたということは、約束を破ったということですか?」
「約束?どんな約束したっけ。ぜんっぜん、覚えてないんだけど。アハハッ」
楓の言葉を聞いた川崎が、嘲笑いながら答える。
「オマエみたいな底辺と、オレ達のようなトップとの約束が守られるはずがないだろ!!」
「そうよ、アンタのようなゴミは、アタシ達の遊び度具でしかないんだから。同じ目線な訳がないでしょ。なに勘違いしてんの?」
楓を取り囲んでいる者達が、約束を反故にしたことを当然のように口にし、自分達を格上として正当化する。
「そういうことであれば、先生に報告します」
立ち上がろうとした楓が秋山に押されて、今度は地面に転がってしまう。
「それは、ちょっと困るなあ」
「だよね。二度と反抗的な態度ができないように、しっかり心を折っておくかな」
取り巻きの一人が手にしていたペットボトルのキャップを回し、中の水を倒れ伏している楓の頭にダバダバと垂らした。一瞬にして地面が水を含んで濃い色に変わり、楓の長い髪が水浸しになって頭に張り付いた。
「もう1本いっとく?」
ゲラゲラと大声で笑いながら、別の男子生徒が新しいペットボトルを開けて再び頭のうえから容赦なくかける。楓が倒れている場所に水溜りができ、髪だけではなく制服もずぶ濡れになった。
普通であれば泣き叫ぶ状況であるが、楓は平然とした顔で周囲を見渡した。
「なぜ、こんな酷いことをするんですか?私は貴女に対して、何も悪いことをしていないと思いますけど」
少しも動じていない気丈な態度に、川崎が一瞬気圧されえる。それでも、川崎はここで引く訳にはいかない。それに、まだ躾はまだ始まったばかりなのだ。
「ふん、いつまでそんな生意気な態度でいれるのかしらね」
川崎は横に立っている秋山に視線で合図を送る。
「いや、炭酸はマズイだろ?髪とか制服に残ったら、さすがに誤魔化せないぞ」
糖質を含んだ炭酸飲料をかければ、無駄に長い髪も制服もベタベタになって授業を受けるどころではないだろうと川崎は考えた。しかし、後のことを考えて秋山に止められる。
「それなら、無理矢理飲ませればいいんじゃね?炭酸飲料を口に流し込まれたら、苦しいなんてもんじゃないぞ。頭からぶっ掛けるより、よっぽど効果的だと思うぞ」
秋山とは反対がに立ってる男子生徒が、笑いながら提案する。
「それはいい案かもね。ソイツの頭を押さえて、炭酸飲料を思い切り流し込んで。多少苦しくて吐くかも知れないけど、死にはしないでしょ。それに、何度か繰り返せば、アタシ達に舐めた態度を取ったことを泣きながら謝るでしょ」
川崎の言葉を聞いた秋山が楓に近寄ると、頭を掴んで上を向かせる。そこにもう1人男子生徒がペットボトルを手にして近付いた。そして、炭酸飲料のペッとボトルを開封し、頬を挟んで強引に楓の口を開かせた。



