蛭子組が殴り込みがあった翌日、組員からの緊急連絡により、楓の父親である組長、黒崎斑鳩は本家がある街に帰ってきた。北の制圧はひとまず幹部に任せている。すでに敵は壊滅状態であるため、2、3日現場を離れたとしても特に問題はない。
まっくろ黒組の本家へと続く道を黒塗りの高級車で走っていると、前方に同じ代紋を入れた真っ赤な車が走っていることに気が付いた。自分と同じように、姐であるや夜叉姫も帰還したのだろうと斑鳩は受け取った。
前方に自宅である本拠地が見えてくる。
蛭子組の総攻撃を受けたとの報告があったが、建物はおろか塀すら崩れている様子がなかった。正門の少し手前で真紅の高級車が停車し、その後ろに斑鳩が乗る漆黒の高級車が停まった。夜叉姫が乗る後部座席の横に斑鳩が立つと、中からなぜかスケバンスタイルの夜叉姫が降りてきた。
「この姿の方が気分が乗るのよ」
標準語で話す夜叉姫はイントネーションがおかしい。それはいつものことなので、斑鳩は慣れた様子で聞き流した。
「ひとまず、本家は無事のようだ。益荒男がやられたと聞いたときは肝が冷えたが」
組員にドアを開けられ、夜叉姫が車から降りる。
「あの子がおるけえ、まあ大丈夫とは思うちょるけど」
標準語をやめて広島弁に戻った夜叉姫は、歩き始めた斑鳩のあとに続く。
「「は?」」
しかし、2人の足は正門の前に到着すると同時に停止した。
そこには、蛭子親子を始めとする蛭子組の組員が、背筋を伸ばして正座していたからだ。
「「ああー・・・・・」」
ため息を吐く2人の前に、ジャージ姿の楓が姿を現した。
その後ろには、強炭酸水のペットボトルを複数抱え、「ボクやりましたよ!!」と満面の笑みを浮かべる組員が立っている。
「あ、あのう・・・」
斑鳩が話し掛けようとするが、それを無視して楓が口を開く。
「確か、3日ありゃあ十分言うて出て行った思うんじゃが、今日は何日目かのう?」
「か、楓、話しを・・・」
夜叉姫が言い訳をしようとするが、聞く耳を持たず楓が話しを続ける。
「帰れんときは、連絡する言うて約束した記憶があるんじゃが、気のせいかのう?」
「そこに座らんかい」
「「はい」」
「お嬢、喉を潤してください!!」
そこに、先ほどの組員が駆け寄り、強炭酸水のペットボトルのキャップを開けて楓に渡す。楓は一気に半分ほど飲むと、プハーっと息を吐いた。それを目にした蛭子組の面々が青ざめる。当然、斑鳩と夜叉姫の顔も青色に染まる。
そこは乳酸菌飲料だろうが―――――!!
斑鳩と夜叉姫の声にならない悲鳴は、誰にも届くことはない。
3日後、病院を抜け出した益荒男が帰ってくるまで、この生き地獄は続いた。
この事件の直後、関東地方の乳酸菌飲料が売り切れたとかどうとかとか。
~ fin ~
まっくろ黒組の本家へと続く道を黒塗りの高級車で走っていると、前方に同じ代紋を入れた真っ赤な車が走っていることに気が付いた。自分と同じように、姐であるや夜叉姫も帰還したのだろうと斑鳩は受け取った。
前方に自宅である本拠地が見えてくる。
蛭子組の総攻撃を受けたとの報告があったが、建物はおろか塀すら崩れている様子がなかった。正門の少し手前で真紅の高級車が停車し、その後ろに斑鳩が乗る漆黒の高級車が停まった。夜叉姫が乗る後部座席の横に斑鳩が立つと、中からなぜかスケバンスタイルの夜叉姫が降りてきた。
「この姿の方が気分が乗るのよ」
標準語で話す夜叉姫はイントネーションがおかしい。それはいつものことなので、斑鳩は慣れた様子で聞き流した。
「ひとまず、本家は無事のようだ。益荒男がやられたと聞いたときは肝が冷えたが」
組員にドアを開けられ、夜叉姫が車から降りる。
「あの子がおるけえ、まあ大丈夫とは思うちょるけど」
標準語をやめて広島弁に戻った夜叉姫は、歩き始めた斑鳩のあとに続く。
「「は?」」
しかし、2人の足は正門の前に到着すると同時に停止した。
そこには、蛭子親子を始めとする蛭子組の組員が、背筋を伸ばして正座していたからだ。
「「ああー・・・・・」」
ため息を吐く2人の前に、ジャージ姿の楓が姿を現した。
その後ろには、強炭酸水のペットボトルを複数抱え、「ボクやりましたよ!!」と満面の笑みを浮かべる組員が立っている。
「あ、あのう・・・」
斑鳩が話し掛けようとするが、それを無視して楓が口を開く。
「確か、3日ありゃあ十分言うて出て行った思うんじゃが、今日は何日目かのう?」
「か、楓、話しを・・・」
夜叉姫が言い訳をしようとするが、聞く耳を持たず楓が話しを続ける。
「帰れんときは、連絡する言うて約束した記憶があるんじゃが、気のせいかのう?」
「そこに座らんかい」
「「はい」」
「お嬢、喉を潤してください!!」
そこに、先ほどの組員が駆け寄り、強炭酸水のペットボトルのキャップを開けて楓に渡す。楓は一気に半分ほど飲むと、プハーっと息を吐いた。それを目にした蛭子組の面々が青ざめる。当然、斑鳩と夜叉姫の顔も青色に染まる。
そこは乳酸菌飲料だろうが―――――!!
斑鳩と夜叉姫の声にならない悲鳴は、誰にも届くことはない。
3日後、病院を抜け出した益荒男が帰ってくるまで、この生き地獄は続いた。
この事件の直後、関東地方の乳酸菌飲料が売り切れたとかどうとかとか。
~ fin ~



