まっくろ黒組の若頭室にある冷蔵庫。その一番奥にそれはあった。
益荒男は動かない指で懸命にスマートフォンを操作し、信頼できる組員に電話した。まっくろ黒組が本当の危機に陥ったときの切り札が、そこに保管されていた。これがあるからこそ、組長と姐は少人数の留守番を残して遠征しているのだ。
1000人の敵にを前にしても怯まず、堂々と啖呵を切る楓の手には「強炭酸水(レモン味)」と表記されたペッとボトルがあった。通常の炭酸飲料ではなく、強炭酸。いつも以上に脳が活性化され、楓の身体に眠る本来の力を最大限発揮させてしまう危険物。余りにも危険なため、楓には絶対飲ませてはいけない物であるが、本家が危機に陥ったのでは仕方がない。
楓は完全にリミッターが外れた。
「信義も理解できんゴミは、掃除せんにゃあいけんのう」
笑いながら孝蔵に向かって歩き始めた楓。それを目にした孝蔵は、周囲を見渡して顎をしゃくる。
「さっさと終わらせろ」
その指示に頷いた配下の者が10人ほ手を回しながら、あるいは首を鳴らしながら前進を開始する。
それを目にした楓は、マンホールのフタがある場所でアスファルトの道路を軽く踏んだ。すると、そこに固定したあったはずのマンホールのフタが振動で空中に弾け飛ぶ。楓は涼しい顔で40キロ以上ある鉄のフタを片手で掴むと、近付いてくる男たち向けて投げ付けた。高速で飛来する鉄の円盤を避けることができず、意気揚々と前進してきた男たちは身体をくの字にして数十メートル後方へ弾け飛ぶ。その余波で、更に50人近くの男たちが一瞬で先頭不能に陥った。
「・・・は?」
呆ける孝蔵の代わりに、蛭子が周囲の組員たちに指示を出す。
「や、殺れ!!全員で、武器を使って潰せ!!飛び道具を使っても構わないぞ!!」
「お、おう、そうだ!!全員で潰せ!!」
我に返った孝蔵も息子と一緒になり、たった1人の女子高生に対して総攻撃の号令をくだした。そうしながらも、嫌な予感がして自分たちは後方に移動する。最後尾で指示を出しても、最前線で命令をしても同じだと自分に言い聞かせて。
しかし、次の瞬間、少し離れた場所で一斉に30人ほどが高々と宙を舞った。知らない人が見れば、人間が空を飛べるようになったと勘違いするかも知れない。それほどまでに、右に左にと数十人単位で乱舞する。このペースだと数分で全滅するかも知れない。孝蔵がそう思い始めたとき、ピクリとも動かない人の山を掻き分けながら楓が姿を現した。
「私にお任せください。このために雇っているのでしょう?」
楓の前に、常に背後に待機していた大男が立ち塞がった。
「おお、藤堂がいたか!!頼むぞ、ボーナスを弾むからな!!」
「お任せを」
海外の傭兵部隊に所属し人類史上最強と謳われた男、藤堂 武。身長2メートル、体重100キロ。あらゆる格闘術を学び、存在する全ての武器を使いこなす天才。世界中にその名を轟かせる殺人マシーンは、楓の裏拳1発で30メートル以上吹き飛んで意識を失った。
「ええ・・・と、降参します。このとおりです」
目の前で土下座する蛭子親子を見下ろし、楓は無表情で足を上る。
次の瞬間、蛭子親子の顔がアスファルトの道路にめり込んだ。
「信義が分からん者は必要ないんじゃ」
益荒男は動かない指で懸命にスマートフォンを操作し、信頼できる組員に電話した。まっくろ黒組が本当の危機に陥ったときの切り札が、そこに保管されていた。これがあるからこそ、組長と姐は少人数の留守番を残して遠征しているのだ。
1000人の敵にを前にしても怯まず、堂々と啖呵を切る楓の手には「強炭酸水(レモン味)」と表記されたペッとボトルがあった。通常の炭酸飲料ではなく、強炭酸。いつも以上に脳が活性化され、楓の身体に眠る本来の力を最大限発揮させてしまう危険物。余りにも危険なため、楓には絶対飲ませてはいけない物であるが、本家が危機に陥ったのでは仕方がない。
楓は完全にリミッターが外れた。
「信義も理解できんゴミは、掃除せんにゃあいけんのう」
笑いながら孝蔵に向かって歩き始めた楓。それを目にした孝蔵は、周囲を見渡して顎をしゃくる。
「さっさと終わらせろ」
その指示に頷いた配下の者が10人ほ手を回しながら、あるいは首を鳴らしながら前進を開始する。
それを目にした楓は、マンホールのフタがある場所でアスファルトの道路を軽く踏んだ。すると、そこに固定したあったはずのマンホールのフタが振動で空中に弾け飛ぶ。楓は涼しい顔で40キロ以上ある鉄のフタを片手で掴むと、近付いてくる男たち向けて投げ付けた。高速で飛来する鉄の円盤を避けることができず、意気揚々と前進してきた男たちは身体をくの字にして数十メートル後方へ弾け飛ぶ。その余波で、更に50人近くの男たちが一瞬で先頭不能に陥った。
「・・・は?」
呆ける孝蔵の代わりに、蛭子が周囲の組員たちに指示を出す。
「や、殺れ!!全員で、武器を使って潰せ!!飛び道具を使っても構わないぞ!!」
「お、おう、そうだ!!全員で潰せ!!」
我に返った孝蔵も息子と一緒になり、たった1人の女子高生に対して総攻撃の号令をくだした。そうしながらも、嫌な予感がして自分たちは後方に移動する。最後尾で指示を出しても、最前線で命令をしても同じだと自分に言い聞かせて。
しかし、次の瞬間、少し離れた場所で一斉に30人ほどが高々と宙を舞った。知らない人が見れば、人間が空を飛べるようになったと勘違いするかも知れない。それほどまでに、右に左にと数十人単位で乱舞する。このペースだと数分で全滅するかも知れない。孝蔵がそう思い始めたとき、ピクリとも動かない人の山を掻き分けながら楓が姿を現した。
「私にお任せください。このために雇っているのでしょう?」
楓の前に、常に背後に待機していた大男が立ち塞がった。
「おお、藤堂がいたか!!頼むぞ、ボーナスを弾むからな!!」
「お任せを」
海外の傭兵部隊に所属し人類史上最強と謳われた男、藤堂 武。身長2メートル、体重100キロ。あらゆる格闘術を学び、存在する全ての武器を使いこなす天才。世界中にその名を轟かせる殺人マシーンは、楓の裏拳1発で30メートル以上吹き飛んで意識を失った。
「ええ・・・と、降参します。このとおりです」
目の前で土下座する蛭子親子を見下ろし、楓は無表情で足を上る。
次の瞬間、蛭子親子の顔がアスファルトの道路にめり込んだ。
「信義が分からん者は必要ないんじゃ」



