楓は細身の女子生徒だ。外見は。
身長も平均よりも少し高いくらいの女子生徒だ。外見は。
事情を知らない者が見れば、大柄な男子生徒に襲われているようにしか見えないだろう。実際、蛭子に言われて動い男子生徒は、一瞬で終わるものだと思っていた。その後は、自分たちが弄るだと想像したいた。
「ぶべっ」
しかし、現実は全く予想していない状況になった。
先陣を切った男子生徒が、非力そうに見えた女子生徒に殴り飛ばされたからだ。しかも、たったの1撃で後方に吹き飛んで白目を剥いている。その光景を目にした蛭子の配下達はその場で足を止める。先行するよりも状況を確認することを選択したからだ。
そんな男子生徒たちに、楓はゆっくりと近付いていく。
「しょうもないのう」
そう吐き捨てた楓を睨み付け、1人の男子生徒が飛び出した。やはり、どう見ても、たかが女子高生に負けるはずがないと思ったからだ。しかし、その男子生徒は現実を思い知ることになった。
楓は勢いをつけて駆け込んできた男子生徒の拳を悠々と躱し、すれ違いざまにアッパーカットを突き上げた。180センチほどはある大柄な男子生徒の身体が浮き上がり、音を立てて前のめりに倒れる。
「おい、同時にかかれ。手加減するんじゃねえぞ」
蛭子の声が響き、男子生徒たちが我に返った。蛭子の指示に頷き、楓の周囲を取り囲む。集団リンチの構図であるが、楓は全く動じる素振りを見せず、取り囲んだ者たちを見渡した。
「十・・・八か。面倒臭いが、仕方がないのう」
楓がため息を吐いた瞬間、取り囲んだ男子生徒たちが一斉に襲い掛かる。しかし、その激しい暴力の中を、楓は舞うように華麗に身を躍らせた。
「せっかく数的に優位なのに、ぜんぜん活かせてないのう。これじゃあ、1人ずつ潰しゃあ仕舞いじゃ」
楓は突っ込んできた男子生徒を往なすと、その勢いを利用して集団の中に投げ飛ばす。2、3人が巻き添えになって倒れている所に飛び込み、サッカーボールのように1人、2人と蹴り飛ばす。もう1人に向かって前方に向かって宙返りをすると、鳩尾に膝を落として沈黙させた。
目の前で起きた予想外の出来事に、唖然として固まる残りの男子生徒たち。当然、楓はその隙を見逃すことはなかった。素早く囲んでいる男子生徒の前に移動すると、鳩尾に肘を叩き込み、身体がくの字なった瞬間を狙ってハイキックを放つ。地面を転がる様を目で追うこともなく、隣に立っている男子生徒に向かって走り寸前でジャンプすると、あご先を膝で打ち抜く。あご先を蹴られた男子生徒は反撃する素振りさえ見せることなく、その場に崩れ落ちた。
そうして20人余りいた蛭子の配下たちは数を減らしていき、残りの人数が5人になった。その状況に少しは焦ったのか、蛭子は次の指示を出した。
「道具を使えや、道具を。キレイにやる必要はないだろうが。刃物で刺して、鈍器で殴れや。後始末は父親に頼みゃあどうとでも揉み消せる。思う存分やっていいぞ」
蛭子の言葉に、残った5人はズボンのポケットから得物を取り出した。各々が特殊警棒やサバイバルナイフを手にした。それらを慣れた手つきでクルクルと回す。よく見ると、高校生と呼ぶには似つかわしくない年齢に思えた。楓がそう思うのは当然のことで、残った5人は蛭子がボディガードとして連れてきているプロだったのだ。
「へえ・・・」
その様子を目にした楓が初めて目を弧の字にする。
一番近い位置にいた男が素早く楓に近付き、手にしていたナイフを躊躇することなく突き出した。楓はそのナイフを半身になって躱す。しかし、男のナイフはそれが分かっていたかの要に横に薙いでくる。それを身体を反らして避け、ナイフの柄を蹴り飛ばす。予期しなかった反撃にナイフを弾かれた男の動きが止まった一瞬に、楓は懐に飛び込んでローキックで膝を蹴り、態勢を崩した男の顔面を思い切り殴り飛ばした。
「それでも、ヒマ潰しにもならんがのう」
同時に駆け出す4人の男。プロのはずであったが、それでも、男子生徒たちと大差なく地面に転がされた。
「で?」
楓は残った蛭子と川崎を眺める。
1人きりになってしまった蛭子であったが、特に動揺する素振りも見せずに楓の前に立った。連れてきたボディガードよりも、蛭子の方が強い。それに、蛭子には圧倒的な暴力で、学校とこの地域を支配してきたという自負があった。
昼休憩終了のチャイムが鳴り、楓は自分の教室に向かって歩き始めた。
その背後の中庭には、蛭子を始めとする男たちの残骸がそこかしこに散らばり、地べたにへたり込んだ川崎が、股間を濡らして動けなくなっていた。
広島弁バージョンでキレキレだった楓は、教室の前で待っていた鬼島に「どうぞ」と言って渡された乳酸菌飲料によって元に戻った。
身長も平均よりも少し高いくらいの女子生徒だ。外見は。
事情を知らない者が見れば、大柄な男子生徒に襲われているようにしか見えないだろう。実際、蛭子に言われて動い男子生徒は、一瞬で終わるものだと思っていた。その後は、自分たちが弄るだと想像したいた。
「ぶべっ」
しかし、現実は全く予想していない状況になった。
先陣を切った男子生徒が、非力そうに見えた女子生徒に殴り飛ばされたからだ。しかも、たったの1撃で後方に吹き飛んで白目を剥いている。その光景を目にした蛭子の配下達はその場で足を止める。先行するよりも状況を確認することを選択したからだ。
そんな男子生徒たちに、楓はゆっくりと近付いていく。
「しょうもないのう」
そう吐き捨てた楓を睨み付け、1人の男子生徒が飛び出した。やはり、どう見ても、たかが女子高生に負けるはずがないと思ったからだ。しかし、その男子生徒は現実を思い知ることになった。
楓は勢いをつけて駆け込んできた男子生徒の拳を悠々と躱し、すれ違いざまにアッパーカットを突き上げた。180センチほどはある大柄な男子生徒の身体が浮き上がり、音を立てて前のめりに倒れる。
「おい、同時にかかれ。手加減するんじゃねえぞ」
蛭子の声が響き、男子生徒たちが我に返った。蛭子の指示に頷き、楓の周囲を取り囲む。集団リンチの構図であるが、楓は全く動じる素振りを見せず、取り囲んだ者たちを見渡した。
「十・・・八か。面倒臭いが、仕方がないのう」
楓がため息を吐いた瞬間、取り囲んだ男子生徒たちが一斉に襲い掛かる。しかし、その激しい暴力の中を、楓は舞うように華麗に身を躍らせた。
「せっかく数的に優位なのに、ぜんぜん活かせてないのう。これじゃあ、1人ずつ潰しゃあ仕舞いじゃ」
楓は突っ込んできた男子生徒を往なすと、その勢いを利用して集団の中に投げ飛ばす。2、3人が巻き添えになって倒れている所に飛び込み、サッカーボールのように1人、2人と蹴り飛ばす。もう1人に向かって前方に向かって宙返りをすると、鳩尾に膝を落として沈黙させた。
目の前で起きた予想外の出来事に、唖然として固まる残りの男子生徒たち。当然、楓はその隙を見逃すことはなかった。素早く囲んでいる男子生徒の前に移動すると、鳩尾に肘を叩き込み、身体がくの字なった瞬間を狙ってハイキックを放つ。地面を転がる様を目で追うこともなく、隣に立っている男子生徒に向かって走り寸前でジャンプすると、あご先を膝で打ち抜く。あご先を蹴られた男子生徒は反撃する素振りさえ見せることなく、その場に崩れ落ちた。
そうして20人余りいた蛭子の配下たちは数を減らしていき、残りの人数が5人になった。その状況に少しは焦ったのか、蛭子は次の指示を出した。
「道具を使えや、道具を。キレイにやる必要はないだろうが。刃物で刺して、鈍器で殴れや。後始末は父親に頼みゃあどうとでも揉み消せる。思う存分やっていいぞ」
蛭子の言葉に、残った5人はズボンのポケットから得物を取り出した。各々が特殊警棒やサバイバルナイフを手にした。それらを慣れた手つきでクルクルと回す。よく見ると、高校生と呼ぶには似つかわしくない年齢に思えた。楓がそう思うのは当然のことで、残った5人は蛭子がボディガードとして連れてきているプロだったのだ。
「へえ・・・」
その様子を目にした楓が初めて目を弧の字にする。
一番近い位置にいた男が素早く楓に近付き、手にしていたナイフを躊躇することなく突き出した。楓はそのナイフを半身になって躱す。しかし、男のナイフはそれが分かっていたかの要に横に薙いでくる。それを身体を反らして避け、ナイフの柄を蹴り飛ばす。予期しなかった反撃にナイフを弾かれた男の動きが止まった一瞬に、楓は懐に飛び込んでローキックで膝を蹴り、態勢を崩した男の顔面を思い切り殴り飛ばした。
「それでも、ヒマ潰しにもならんがのう」
同時に駆け出す4人の男。プロのはずであったが、それでも、男子生徒たちと大差なく地面に転がされた。
「で?」
楓は残った蛭子と川崎を眺める。
1人きりになってしまった蛭子であったが、特に動揺する素振りも見せずに楓の前に立った。連れてきたボディガードよりも、蛭子の方が強い。それに、蛭子には圧倒的な暴力で、学校とこの地域を支配してきたという自負があった。
昼休憩終了のチャイムが鳴り、楓は自分の教室に向かって歩き始めた。
その背後の中庭には、蛭子を始めとする男たちの残骸がそこかしこに散らばり、地べたにへたり込んだ川崎が、股間を濡らして動けなくなっていた。
広島弁バージョンでキレキレだった楓は、教室の前で待っていた鬼島に「どうぞ」と言って渡された乳酸菌飲料によって元に戻った。



