さかなクンの敬称とさかなクンの継承

「お盆って、なにするの?」
 夏休み、おばあちゃんに聞いてみた。
 おばあちゃんは答えた。
「お盆はね、さかなクンに感謝する日なんだよ」
「さかなクン?」
「そう。人間のご先祖様がイクチオステガだってのは知ってるかい?」
「イクチオステガ?」
「おっきなお魚に、四本足が生えていて、陸上脊椎動物の祖先になったていう生き物さね。学名は、Ichthyostega。ギリシャ語のichthys。魚。それとstegos。屋根とか覆う物。って意味の言葉が一緒になって、できた名前さね」
「イクトゥスとステゴスで、イクチオステガ? 魚と屋根。あれっ、それって?」
「そう、イクチオステガは?」
「魚の屋根で、さかなクン!」
「人間のご先祖様がイクチオステガ。だから?」
「さかなクンは、人間のご先祖様!」
「そう。だから、お盆は、人間のご先祖様。さかなクンに感謝するんだよ」
「うん! 分かった!」
 私は、お鈴をチーン。と鳴らし、手を合わせる。
 写真に写っている人は、お魚のお帽子をかぶって、とっても優しい目をしていた。
 私は、目をつむる。合わせた手をもっと強く合わせて、
 そうして、ちょっと。顔を下に向ける。
 まぶたの上を、すっと帽子が覆った。