数秒にも数十秒にも感じられた崩壊がようやく収まり、澪は体を起こした。かかった粉塵やコンクリートの欠片をよける。
瞬発的に瓦礫の崩落具合を見て、あまり落ちてこないであろう壁際に転がったせいか、体のあちこちが痛い。否、そのせいだけではなさそうだ。
澪は頬に触れた。指先がかすかに赤く染まる。腕や脚はどうかと見てみると、いくつかあざや擦り傷ができていた。避ける際にかすったか、もしくは避けきれなかったのだろう。
その次に、澪は周りの状況を把握しようと立ち上がった。
この部屋にはドアも窓もある。外に出ることは可能なはずだ。
そう思ったが、どれもダメだった。窓は枠が歪んでいるせいで動かず、廊下へのドアは錆びていてドアノブが回らない。柊がいるところへのドアは、びくともしなかった。向こうも少なからず崩壊しているということだ。
このドアはこちらからだと押さないと出られないが、瓦礫が邪魔をして押すことができない。つまり、あちらが障害物をよけてくれるまで開けることは不可能。ここから出ることができるのがあとになるのは明確だ。
――柊は、生きているのか?
浮かんだ疑問に対して間を置かずに絶対にそうだと決めつけ、澪は通信端末を探す。それはコンクリートの下敷きになっていて、画面は割れていた。電源は入るが、ネットワークに接続できないせいで柊と連絡を取ることはできなさそうだ。
無意識のうちにポケットを探って柊から預かった腕時計を出した。壊れていないのを見て安心すると同時に、柊が一人で処理をしていることを思い出す。
――そうだ。
澪は再び通信端末の電源を入れた。素早く操作して『接続を試みています』という文字が現れた状態にすると、自分の記憶をたどっていく。
残っていたコードの本数、配置。どれも鮮明に浮かんでくる。
コードがどんな状態だったか、どこからどのようにつながっていたか。覚えていて当たり前だ。
柊がどのコードを切りそうか、どのコードで悩みそうか。そんなこと、手玉に取るように分かる。
澪は接続を待つ間に、自分の脳内で処理を始めた。
