「ハァッ、ハァッ……!わっ!?」
「びっくりした……祈里さん!?」
廊下の角を曲がると、あやうくぶつかりそうになったのは大木先生だった。
足になんとか力を入れ、ほぼ無意味だが平面の壁を掴んで自分の体に急ブレーキをかける。
あの日以来1回も会っていないので、ひさしぶりの対面だ。
そう思いながら息を整えていると、大木先生の片手がなだめるように私の肩に置かれる。
「廊下は走ったら危ないわよ、気をつけてね」
そんな耳にタコだが、もうだれも守っていなさそうなルールを言う。
私は胸に手を当てながらなんとかうなずくと、大木先生は深刻そうな声色を隠そうともせず言った。
「もしかして、なにかあった?」
「…っ、あったけど言えませんっ!」
こんな状態ではそれしか言えず、私は大木先生の手も振り払った。
「祈里さんっ!」
大木先生の声が追いかけてくるけど、私は足を止めなかった。
