命の祈り



そして田口さんが叶羽の両親に挨拶している時、私は……ふと、去年死んだ父方のおばあちゃんを思い出した。

おっとりした生活と口調のおばあちゃんは心臓の持病を持っていて、私が中学に入学すると同時に入院した。

『祈里、次来る時はぜひ制服で来てねぇ。孫の制服姿をぜひ見たいんでねぇ』

私服姿で初めてお見舞いに行った時、おばあちゃんにそう言われた。

今の叶羽と同じよう、体中に管を繋がれた姿で。

しかし中学生になってから、今まで見て見ぬふりしてきた叶羽の好きではない部分が浮き彫りになってきたのだ。

音楽を聴いて叶羽を寄せつけないようにしたいがそれも通じつ、うんざりな中学校生活を送ることになる。

両親も共働きで忙しいため、おばあちゃんのお見舞いはしばらく行けなかった。

そして――


『神楽ユキ子さんが、亡くなりました』


主治医の先生からかかってきた、電話。

おばあちゃんは孫の――私の制服姿を見られないまま、命に嫌われて土に還っていったのだ。