命の祈り



「天宮の、件なんだが」

いつか結愛と莉愛に連れて行かれた、廊下の片隅。

そこで開口一番に言われ、私は「叶羽?」と聞き返した。

仁科先生はうなずき、そして続ける。

「そのお母さんから聞いたんだが、今日天宮の見舞いに行くのか」

「あ……まぁ、はい」

本当はあまり乗り気じゃないですけど、と心の中でつけ加えておく。

さすがに先生にそれを言えるほど、私は問題児ではない。

すると仁科先生はなぜか視線を泳がせながら、「だいじょうぶか?」と聞いてくる。

「…なにがですか?」

「いや、神楽は天宮の第二発見者だろう。その上、植物状態になった天宮の見舞いにまで……精神的に、支障をきたさないかと思って」

なんだ、そんなことか。

「だいじょうぶですよ」

血まみれの叶羽を見ても、スクールカウンセラーなんかいらないも思えるほどだったんだから、これくらい平気に決まっている。

そう思って首を縦に振ると、仁科先生はホッとしたような顔になった。