命の祈り

「祈里ってあいかわらず、この難しそうな曲聴くよね〜。でもやっぱり、流行りのこの音楽を聴いたほうがいいよ!」

この子の無自覚さは、私にとってかなり嫌な部分なのだ。

私は無言を貫くが、そんな心情にこれっぽっちも気づかない叶羽は、なにやら自分のスマホを操作し始めた。

ラメ入りのスマホケースをぼんやり見ていると、「これ聞いてみて!」と私にスマホを突き出してくる。

「……これが、流行りの音楽?」

「うん、知らない?」

「知らない」

「えー、そんなんじゃ祈里、嫌われちゃうよ!流行りに追いついてたほうが絶対いい!」

「……そうだね」

愛想笑いで、叶羽のスマホにイヤホンを挿す。

叶羽の言っている論理が、私には1ミリも分からない。

風が吹いたら一瞬で崩れる砂の城のように、次から次えと変わる流行りなんか知っていても意味がない。

叶羽は流行りの裏側も知らないの?

まぁ、察してはいたけど。