「いーのりっ!」
あっ、と思った時には、右耳のイヤホンが抜かれていた。
私は顔を上げる。
そこには予想通り、幼なじみが立っていた。
「…叶羽」
「おっはよー、祈里!」
人のイヤホンをブンブン振りながら、相手が私ではなければその行為を完全に許してしまいそうな笑顔で、天宮叶羽が返事をする。
その拍子に、彼女の自慢である色素の薄い茶髪がふわりと揺れた。
背中の真ん中あたりまであるそのロングヘアーは、さらさらで癖毛とはとても無縁。
すると叶羽が「音楽?なに聴いてるのー?」と裏返しにしていた私のスマホを、イヤホンを持っていない右手で手に取った。
