「知り合いなのかい?」
おじいさんにそう聞かれ、私はハッとした。
「あ……はい。…幼なじみ、です」
こんな事態に遭遇しても、『友達』とはどうしても言えなかった。
「そうか、なら最悪な事態が来る前に助けなければっ。君、スマホとやらは持っているか?」
「あ、はい」
言われて、やっと気づく。
ポケットの中にあるスマホに繋がっているイヤホンが、ソレを引きずるように動いていたので血の海につくギリギリのところにいることを。
命に嫌われているを再生停止にしなかったため、別の曲がだれの耳にも挿されていないイヤホンに寂しく流れていることを。
私はその曲を再生停止にし、プラグからイヤホンを抜き取る間もなく操作する。
使うことがないだろうと思っていた、【119】を押す指が、私にとっては大量の血を見たため震えているのは見て見ぬふりをした。
「もしもし……幼なじみが、頭から血を流して倒れていて――」
